目次
ランニングの目的
日々の健康維持と向上を目指す
学生時代には体育の授業や部活などで定期的に運動する機会があった方も、社会に出た途端に運動する機会が減ってしまうのではないでしょうか。体を動かすことはスタイルを維持するためだけでなく、健康維持のためにも大切です。ランニングは特別な道具は必要なく、シューズさえあれば始められる運動です。正しい方法、頻度で行うことでスタイルアップ、ストレス解消、体力増強とさまざまな効果が期待できます
日頃のストレス発散をする
ランニングをすることで仕事や家庭など日頃のストレスを発散することができます。ランニングやジョギング、ウォーキングなどのリズム運動をすると「セロトニン」という精神を安定させる物質が分泌されます。ランニングを習慣化することでセロトニンの分泌も高まるため、常に精神が安定した状態、すなわちストレスに負けない心と体になれるのです。
デスクワークなど長時間同じ姿勢でいると肩凝りや腰痛になりやすくなります。これらの身体的ストレスもランニングで解消できます。ランニングをすることで筋肉がほぐれ、血行がよくなることで凝りが解消されます。さらにセロトニンには痛みを緩和する効果もあるため、凝りによる痛みの解消も期待できます。
▼さらに詳しい解説はこちら
ランニングは美容、健康、ストレスに効果的で疲れ知らずの体になれる
筋持久力を鍛えるトレーニング効果がある
筋持久力を高めることで疲れにくく、太りにくい体になります。筋持久力とは筋肉を長時間働かせる力のことです。
筋肉には速筋(白筋)と遅筋(赤筋)があります。この2つの筋肉が体を動かし、支えているのです。筋肉は運動をする際、収縮します。1回の収縮で最大限の力を引き出そうとする運動が「最大筋力」です。
速筋は瞬間的に大きな力を発揮する最大筋力に必要な筋肉です。短距離走やウェイトリフティングなど瞬発力が必要な動きにはこの速筋が活躍します。速筋は筋肉中の糖質をエネルギー源としますが、筋肉には糖質が少ないため、長時間パワーを持続させることができません。
最大筋力に対し、収縮を繰り返し続ける能力が筋持久力です。筋持久力を支えているのは遅筋です。ランニングや水泳などの有酸素運動は遅筋を鍛え、筋持久力を向上させます。
ランニングと合わせて軽い負荷で回数を多めに行う筋トレや体幹トレーニングを行うことで、さらに効果的な筋持久力アップが期待できます。
ダイエット効果が期待できる
遅筋のエネルギー源は脂肪です。ランニングを行うことで遅筋が鍛えられ、脂肪が燃焼されます。鍛えることで遅筋が増え、さらに脂肪燃焼効率が向上するという好循環が生み出されます。ランニングはダイエット効果が期待できる運動です。
ランニングの定義
運動強度の高い有酸素運動
手軽に始められる有酸素運動にはランニングのほか、ウォーキング、ジョギングもあります。それぞれ同じ有酸素運動ですが、違いがあります。
ウォーキング:早歩きのことです。普通に歩くより歩幅を大きくし、腕の振りも大きめにして早いスピードで行います。
ジョギング:ゆっくりしたペースで走ることです。目安として一緒に走っている人とおしゃべりができるくらいのスピードです。
ランニング:早いスピードで走ることです。ただし短距離走ではありませんので全速力ではなく、長時間走れるスピードで行います。ジョギングとは違っておしゃべりしながら行うことは難しい程度の早さです。
このように、ランニングは運動強度が高い有酸素運動です。
▼さらに詳しい解説はこちら
ダイエットには有酸素運動がおすすめ。効果アップの方法や注意点も
スピードの目安
ランニング初心者にとってどのくらいのスピードで走ればよいのか、目安の設定が難しいところです。
目安としては1kmを5分から7分で走るようにしてみましょう。運動に慣れていない人はあらかじめコースを決めて距離を測っておき、腕時計で時間を見ながら走るとよいでしょう。最近はランニングをアシストするさまざまなスマートフォンアプリがあります。これらを使って距離と時間を計測しながらランニングを行うと効率よく運動できます。
ちなみに市民マラソンの女子ランナーの平均速度が7分20秒/kmといわれています。
心拍数の目安
心拍数とは1分間に心臓が動く回数のことです。運動すると心拍数が上がります。一般の人の普段の心拍数は60くらいです。心拍数により運動強度を測ることができます。心拍数は上げ過ぎると心臓に負担がかかるため、注意が必要です。
有酸素運動は最大心拍数の60から70パーセント程度の強度で行うと効果的といわれています。最大心拍数とは拍動が最も早くなった限界値に近い値のことで、220から年齢を引いた数値です。その数値の6割から7割が目標心拍数なので、おおよそ130から150の間で走るようにしてください。
自分に合ったペースを見つける
運動はどの種目にも共通していえることですが、絶対に無理をしていはいけません。無理な運動は怪我につながりますし、健康を害することさえあり逆効果になってしまいます。
運動に慣れていない方はもちろん、若い頃に運動をしていた方も急な運動は危険です。若い頃に運動部などで激しい運動をしていた方も、しばらく運動をしていなければ筋力は衰えています。最初は自分の体の状態をよく考慮し、軽めの運動から始めましょう。運動前後にはストレッチやなどの準備運動も必ず行いましょう。
ランニングにおける距離や時間、目標心拍数はあくまで目安です。適正な距離や強度には個人差があります。自分の体に向き合って、自分に合ったペースを見つけるようにしてください。
毎日やるものだと思い込みがち
毎日は逆効果
ランニングを始めたからには毎日続けなければいけない、と思われるかもしれません。しかし実は毎日行う必要はありません。それどころかかえって逆効果になる場合があるのです。
筋肉は運動を行うことで筋繊維が壊れます。壊れた筋肉は栄養を補い休めることで修復します。修復する際には元の状態よりも強くなっています。この繰り返しによって筋肉は強化されていくのです。
筋肉が修復されるまでには個人差がありますが、約2~3日かかります。筋肉が修復されない状態で運動してしまうと傷ついた筋肉がさらに傷ついてしまい筋肉強化になりません。ランニングは毎日やるものと思い込みがちですが、週に2~3回程度でよいのです。
体への負担が大きい
ランニングは運動効果が高い半面、体への負担も大きくなります。毎日のランニングが筋肉を傷めることになりかねないこと、また活性酸素が増えることによるダメージも考慮する必要があります。
活性酸素は免疫機能を担うなど体に必要な働きもありますが、体を酸化させ老化現象を引き起こす原因にもなります。普通に呼吸をしていても体内に取り込んだ酸素は2パーセント程度が活性酸素になるといわれています。有酸素運動などの激しい運動は大量の酸素を体内に取り込むため、活性酸素の量も増えます。
▼さらに詳しい解説はこちら
ランニングによる、筋肉の疲れ。疲労回復の正しい知識とは
必ず休息日を設ける
筋肉の回復から強化への循環、さらに活性酸素によるダメージを軽減するためにもランニングには必ず休息日を設けることが必要です。また、急な運動や慣れない運動でオーバーワークに陥ることもあります。
オーバーワークの症状として食欲不振、倦怠感、睡眠障害などがあげられます。ストレス解消になるはずのランニングでストレス状態になってしまっては本末転倒です。
適度な頻度を知る
ランニングは週3,4回程度にすることで傷ついた筋肉も休まり、ベストな状態で走ることができるのです。オーバーワークに陥るとストレスホルモンが分泌され、健康やダイエットに悪影響を及ぼします。
▼さらに詳しい解説はこちら
ランニングの効果的な頻度とは?楽しみながら身も心も健康的になる
無理のない速さで走る
何のためにランニングをするのか、その目的を見失わないことも大切です。ストレス解消、体力向上、スタイルアップ、ダイエットなど人によってランニングの目的はさまざまあるでしょう。マラソンで上位入賞を目指す、など特別な目標やスキルがある場合を除いて、ランニングは無理のない速さで行うことが大切です。
楽しく続けることが大事
ランニングは毎日やる必要はありませんが、続けなければ効果が得られません。楽しくなければ続けることは難しいので、楽しみながら続けられるようにしましょう。
好きな音楽を聞きながら走ったり、走りやすいシューズやウェアを身に付けることもモチベーションアップになります。最近はおしゃれなランニングウェアやグッズがたくさんあります。自分が楽しんで走れる方法を見つけてみてください。
効果的なランニング
週3日か4日がベスト
ランニングは週3日か4日程度の頻度で行うのがベストです。毎日行うと逆効果です。週末だけ行う週末ランナーも多いようですが、週1回のランニングではストレス解消にはなるでしょうが、ダイエット効果はあまり期待できません。もちろん何もしないよりはよいので、週1回から始めて、少しずつ回数を増やし、週に3日程度は行えるようにしましょう。
脂肪を燃焼させる
スタイルアップやダイエットのためにランニングをするからには、より効果的な方法で行って結果を出したいところです。ランニングは行う時間によっても脂肪燃焼効率が変わってきます。
脂肪燃焼効率が高いのは朝、朝食前に行うランニングです。有酸素運動で脂肪燃焼を狙うには空腹時に行うことがポイントです。空腹時の有酸素運動は、体に蓄えられた脂肪をエネルギーとして使います。食後に運動した場合は、体の脂肪ではなく食べたものをエネルギーとして使うことになります。
また、朝は寝起きで体温が低い状態です。朝のランニングにより体温が上がり、代謝も上がります。このため1日中脂肪燃焼効率がよい状態になるのです。
体の脂肪が燃焼され始めるのは、走り始めてから20分以上経ってからといわれています。無理のないスピードで20分以上は走り続けるようにしましょう。
楽しく走る工夫をする
黙々と一人で20分以上走り続けるのはなかなか辛いことです。楽しくないと続けることはできません。
屋内のランニングマシンで走るより、外を走った方が景色や季節の移り変わりを感じることができます。朝ランニングなら朝日を浴びながら清々しい気分を味わえます。
また仲間と一緒ならランニングも楽しくなります。ランニング仲間と話しながら準備運動をしたり、走ることで30分程度はあっという間に感じるかもしれません。特に夜は女性が一人で走るより仲間と一緒の方が安心です。
ランニングの注意点
自分に合った頻度や強度
ランニングを行う際は週3~4日、強度は最大心拍数の6~7割程度を目安としてご紹介しましたが、運動は自分の体と向き合って行うことが大切です。目安はあくまで目安なので、自分に合った頻度や強度で行ってください。
ランニングフォームも大切です。背筋と腰を伸ばしてやや前傾で走るのが基本です。ランニングフォームが悪いと怪我につながる場合もあるので、たまには鏡や窓などに映るフォームをチェックしてみてください。
?怪我をしないよう休息をとる
ランニングはかなり強度の高い運動です。慣れてきても体調や気温によって体に大きな負荷がかかる場合があります。苦しいと感じたり、めまいを感じるなど途中で体の異変を感じたらすぐにランニングを止めて休憩しましょう。
とくに夏の炎天下でのランニングは危険です。水分をとりながら行うのはもちろん、帽子やサングラスをするなどの熱中症対策をしましょう。夏は日中を避けて行うことをおすすめします。
ランニングは足や腰にかなりの衝撃があります。怪我を予防するためにもランニングは専用のシューズを使いましょう。
貧血にならないよう栄養をとる
怪我や貧血を防ぐためにしっかり栄養を補うことも大切なポイントです。
毎日バランスのよい食事をとることは健康のためにも重要ですが、ランニングを続けるために、より多く摂取したい栄養があります。ランニング効果を高めるためにも積極的に摂取してください。
ビタミンB1:エネルギーとなる炭水化物を代謝し、疲労回復につなげます。豚肉、大豆、胚芽米などに含まれています。
アミノ酸:傷んだ筋肉を修復し、運動効率を上げます。牛乳や卵、鶏肉などに含まれています。
ビタミンC:抗酸化作用があり、紫外線による日焼けや活性酸素の働きを抑制します。フルーツや野菜などに含まれています。
鉄分:ランニングによる血管や筋肉のダメージによる貧血を防ぎます。レバーや卵、にんにくなどに多く含まれています。
運動前後にオレンジジュースを飲むのもおすすめです。適度な糖質が素早くエネルギーになり、ビタミンCやカリウムなどランニングに必要な栄養素と水分が合わせて補給できます。とりにくい栄養はサプリメントなどで補ってもよいでしょう。
ランニングは毎日ではなく週3から始めてみよう
ランニングは思い立ったら始められる運動です。毎日行う必要はありません。無理せず楽しんで行っているうちに体は変化してきます。体と相談しながら徐々に強度を高めていきましょう。続けることで心も体も健康的に、さらにスタイルもアップします。自分のペースでまずは週3日から始めてみてましょう。