目次
身体が柔らかい状態のメリット
スポーツのパフォーマンスが上がる
一見関係なさそうに感じますが、体は柔軟性がある方がパフォーマンが上がるといわれています。
理由としては、まず柔軟性があることで体がリラックスしやすいことが挙げられます。柔軟性によって必要な筋肉だけ緊張させて他の筋肉はリラックスさせておくことができるのです。よって、体力の消耗を最小限に抑えることができ、体力を長く続かせることでパフォーマンスアップに。
いま何かスポーツを極めたいと思っている方は、まずは体を柔らかくすることに着目するといいかもしれませんね。
スポーツの際にケガをしにくくなる
スポーツをする前は必ず準備体操を行いますが、それは体の柔軟性をあげることでケガの予防を行うためです。スポーツを始める前にストレッチを行い、体をほぐし柔らかくしておくと筋肉を温めることができ、筋肉や関節を痛めることを未然に防ぐことができるのです。
また、ストレッチの際に筋肉や腱をよく伸ばしておくことで可動域を広げることができるため、ケガのリスクをぐっと下げることにつながります。スポーツの前は積極的にストレッチを取り入れて、ケガの予防ということを意識しながら1つ1つの動作をしっかり行うようにしましょう。
代謝があがり痩せやすい身体を作る
体が柔らかくなると代謝が良くなり、エネルギーを消費しやすくなることで痩せやすくなるといわれています。
また、特に肩甲骨の周りを柔らかくすることで痩せやすいといわれています。それは、肩甲骨の近くには褐色細胞というものが多くあり、この褐色細胞は刺激を受けると代謝を高めて脂肪を燃やす働きが大きい細胞だからです。
体の中にある褐色細胞はごくわずかであるため褐色細胞だけで体が痩せる事はありません。しかし、筋肉よりも数十倍の熱を作り出すことができる力があるため、肩甲骨周りの柔軟を意識することがエネルギーを消費して痩せやすい身体をつくる一歩ともいえます。
柔軟性を高めることで、効率よく代謝が行われる体を目指しましょう。
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基礎代謝が低い人の特徴は?生活習慣の見直しで健康的な体へ
生活習慣病の予防効果が期待できる
体の硬い人は血管も硬いということが、研究によって判明しています。つまり、体の柔軟性と血管の柔軟性が関係しているため、ストレッチで生活習慣病の1つである動脈硬化を改善できるのです。
体が硬くなる主な理由は血糖値です。糖質の取り過ぎや運動不足で血糖値が高い状態が続くと、血管をしなやかに保つためのコラーゲンが糖化することで伸縮性を失い、体を固くするのです。糖化は全身で進みますから、体が硬くなったと感じるようになっていれば血管も糖化していると考えられます。
しかし、硬くなったコラーゲンもストレッチで改善できます。ストレッチにより新たなコラーゲンが作られていくのです。血管の筋肉がほぐされることで血管がしなやかになり、高血圧や血管系の生活習慣病の予防にも。
細胞が入れ替わり肌の状態を整える
体の柔軟性と美肌の関係は、実はとっても深い。体が柔らかくなり血行が良くなることで新陳代謝が活発になるため、スムーズに古い細胞と新しい細胞が入れ替わります。老廃物を取り除いて栄養分を取り込むというサイクルが正常に保たれることで、美肌に近づくことができるのです。
逆に、体が固くなることで血行が悪くなり、新陳代謝が低下してしまうため肌のターンオーバーがうまく行われなくなってしまいます。すると肌のくすみやシミ、たるみ、シワなどトラブルを次々と招いてしまう恐れがあります。体の柔軟性を高めて全身の血のめぐりを良くしておくことが、いつまでも若々しい肌を保つ秘訣ともいえますね。

身体が柔らかいかのチェック方法
背中で手を結ぶ
肩の柔軟性をチェックします。まず、右手を肩から背中側に回し、左手を腰から背中側に回してみましょう。そのとき、右手と左手をつなぐことができますか?
このとき手と手が触れ合っていたり、両手をつなげることができていれば、柔軟性は高いという結果になります。しかし、左右の手の間隔が5?以上離れていたり背中に手がうまく回せなかったりすれば、体は硬くなっているいうことに。スポーツをしていたりすると左右で結果が違うこともあるので、ぜひ左右両方でチャレンジしてみましょう。
うつぶせに寝て膝を曲げてかかとをお尻につける
太ももの前側の柔軟性をみます。床にうつ伏せになった状態で左足首を左手で掴みます。そして掴んだまま、かかとをお尻に近づけるようにもっていきましょう。
このとき、かかととお尻の距離がくっついている、もしくは5~10cmほどなら十分体は柔軟性が高いです。しかし、足首をつかめなかったり、かかとをお尻に近づけられない人は要注意です。右足も同様に行いましょう。
あおむけに寝て足を90度にあげる
太ももの後ろ側の柔軟性をみます。床に仰向けに寝て、右ひざは自然に立てておきます。左足は、まっすぐひざを伸ばしたまま太ももの後ろ側で両手を組み、体に引き寄せます。このときにひざが曲がってしまわないように注意しましょう。
そして、左股関節が床に対して90度になるまで引き寄せられれば太ももの後ろ側は十分柔軟性が高いといえます。手が後ろ側で組めなかったり、左股関節床に対して90度未満であれば、柔軟性不足とされます。反対の足も同様に行いましょう。
足を開いて座り状態を倒してひじを床につける
太ももの内側と裏側、股関節の柔軟性をみます。両足を伸ばし開脚した状態で床に座り、体を前に倒していきましょう。このとき、ひざが曲がってしまわないように注意します。
そして、ひじを床につけることができる、もしくは床とひじの間隔が5~10cm程度であれば柔軟性は高いと判断されます。しかしそれ以上開いてしまっている場合は柔軟性は低いでしょう。
ひざを閉じた状態で足首を手でつかむ
次に、脚の後ろ側、腰、そして背中の柔軟性をチェックします。両足を伸ばし、ひざを閉じた状態で床に座り体を前に倒していきます。このとき、ひざが曲がってしまわないように注意しましょう。
そして、手で足首をつかめるかどうかで体の柔らかさをチェックしていきます。問題なく足首を掴むことができたり、足首まで手が達していれば、柔軟性が高いと判断されます。反対に手が足首まで届かない、5?以上空いている場合は硬いと判断されます。

体が硬くなる理由とデメリット
筋肉が緊張して固まってしまう
筋肉は使わなければ衰えて硬くなりますが、使いすぎても疲労で硬くなってしまいます。またストレスという神経の緊張でも体は硬くなってしまいます。
しかし、筋肉は緊張と興奮、弛緩とリラックスを交互に繰り返せれば硬くならず、柔軟性を保つことができます。日常生活においてストレスが多いと感じる人は、心身をリラックスさせる時間をつくることが体が硬くなるのを防ぐコツともいえるでしょう。
血流やリンパの流れが滞ってくる
リンパ液が全身をめぐる力の源は、骨格筋という骨についた筋肉です。この筋肉が硬くなってしまっていたり衰えたりしているとリンパ液の流れが悪くなってしまいます。
血管とは別で全身をくまなく走っている管、それがリンパ腺です。心臓から血管を通って流れた血液は各細胞に酸素や栄養を届けています。そして使い終わった養分、つまり老廃物を心臓に戻す働きをしているのがこのリンパ液です。
よって、筋肉が硬くなることでリンパ腺が滞ってしまうと老廃物の除去が進まなくなり、冷えやむくみの原因になり、疲れがたまりやすくなってしまうのです。
姿勢が悪くなり腰痛や肩こりを伴う
体が硬いことからくる姿勢の悪さは、多くの人が悩まされる腰痛や肩こりもつながっている可能性があります。
身体のある1箇所が硬くなってしまうと、その周辺の筋肉は常に負担を掛けられてしまいます。それにより筋委縮などが引き起こされ、身体は捻じれてきたり傾いたりと骨格の歪みの原因となります。
骨格が歪むことで身体全体のバランスが悪くなり姿勢も崩れ、腰痛や肩こりといった不調へとつながってしまうのです。
脂肪が付き下半身が太りやすくなる
下半身はとくに血液を押し上げる力が弱いため、筋肉が日常的に使われて温められていないとポンプ機能が上手に働かず、新陳代謝が低下してしまいます。それにより下半身でうまくエネルギーが消費されず、太りやすくなってしまうのです。
積極的に下半身の筋肉をストレッチなど柔軟性を高め、代謝が下がらないよう筋肉が温めることが重要です。柔らかい体作りは下半身の脂肪を燃焼しやすくしてくれるのです。

身体を柔らかくする前屈のストレッチのやり方
立って前屈のストレッチを行う
1.しゃがんで骨盤を起こし、お腹と足をくっつけます。このとき足の裏は全面床に着けるようにしましょう。手は床に置いてもOK。
2.足の軸を床と垂直にして、お尻を真上にに上げていきます。お尻や腿の裏がジワジワと伸びていくのを感じながらあげていくようにしましょう。みぞおちは腿から離れてもいいですが、下腹部はしっかり腿につけたまま。
3.膝が伸びないところに来たらお腹をももから離し、膝をまっすぐに伸ばします。このときにいつもの前屈の形になっているはずです。このときに手は床から離れてもOK。
4.身体をゆっくり起こします。
最初にお腹とももをくっつけた形からスタートすることで、ももの裏側もしっかり伸ばすことができるというのがこのストレッチのポイントです。
座って前屈のストレッチを行う
1.床の上に足を投げ出して座り、息を吐きながら体を前に倒していきます。このときに膝が曲がらないように注意し、足の後ろ側全体が伸びているのを感じましょう。
2.息を吸いながらゆっくりと体を起こし、その状態で数回呼吸をします。
3.1~2を数回繰り返します。
このストレッチは負荷調整がしやすいため、自分の柔軟性に合わせて行うことができます。もう少し伸ばしたいときは他の人の手をかりて、後ろから少しずつ押してもらうのも良いでしょう。

身体を柔らかくするその他のストレッチの種類とやり方
腕や肩のストレッチを行う
1.左腕を伸ばし右の肩の高さにもってきて、右腕の肘で抱えて手前に引き寄せます。このとき左肩全体が伸びている感じがあればOK。
2.左肘を頭の後ろにあげ、右手で左肘を右に向かって引き寄せます。このときも左腕の上腕部の後ろ側が伸びている感じがあればOK。
3.そのまま胸を張り、左腕の付け根を意識して伸ばすようにしましょう。
4.その状態からゆっくりと体を前に倒していきます。このとき、肩甲骨周りを意識して倒していきます。
反対も同様に行いましょう。この一連の流れを行うときに、ゆったりとした呼吸をするように意識しましょう。伸ばすときに息を吐くようにするのが効果的です。
肩甲骨のストレッチを行う
1.肩甲骨が大きく動いていることを確認しながら、前周りと後ろ周りを10回ずつ行います。
2.次に後ろで両手を組み、お辞儀をするように前に体をおっていきます。肩甲骨同士が近づいているのを意識しましょう。
3.その姿勢を3秒間キープし、3回繰り返します。肩甲骨周りは特に代謝を高めてくれる細胞が多く集まっているため、周りが暖かくなってくるのを実感できるはずです。
腰のストレッチを行う
1.腰に手をあて、足を肩幅に開いて立ち、息を吸います
2.下半身はそのままを保ち、上半身だけを後ろを見るように捻りながらゆっくり吐き、体勢をキープします。吐ききったら元の姿勢に戻りましょう。
下半身が動いてしまうと腰をうまく捻ることができないので注意しましょう。
股関節のストレッチを行う
1.背筋をしっかりと伸ばしたまま、両脚を股関節側に折り曲げ足の裏を合わせます。
2.足先を持ち背筋を伸ばすように身体を前傾させていきます。ゆっくり息を吐き出しながら体を倒しましょう。
このとき、股関節がやわらかい人は床と両膝の距離があまりありません。家族や友人と一緒に行って、どのくらい離れているか見てもらいましょう。

身体を柔らかくするストレッチをやる時のポイント
なるべく毎日行う
継続は力なりという言葉があるように、ストレッチも継続が非常に重要です。
筋肉は一度しっかり伸ばしたとしても、時間が立つにつれてもとに戻っていくものであり、その効果は長時間続きません。毎晩ストレッチをしていたとしても、寝ている間に筋肉が縮み、翌朝は固い状態となっています。よって、1日3回程度ストレッチを続けていくことがポイント。
毎日毎日ストレッチをすることで徐々に体が適応していき、身体が柔らかくなっていくのです。身体を柔らかくしたい方は、ストレッチを毎日地道に続けていきましょう。
身体が柔らかくなっている時間帯に行う
ストレッチを行ううえで効果的なタイミングがあります。それは、「体(筋肉)が温まっているとき」で、もっとも体の柔軟性の高いときです。入浴後はもっとも体が温まっているので、逃さずに行うようにしましょう。
また起床時、寝る前に行うのもおすすめ。起床時はとくに体が硬くなっているときなので、ストレッチをすることでリフレッシュして1日をスタートすることができます。寝る前にストレッチを行うと体がポカポカとして眠りにつきやすくなります。とくに冷え性の方は寝る前に取り入れるのもいいかもしれません。
筋肉の緊張をほぐすことを意識して行う
せっかくストレッチを毎日していても、しっかり効いていないと意味がありません。ストレッチは1つ1つ効果が考えられており、伸ばす筋肉が異なります。このストレッチはどの部位に効いているのか?何を意識すべきか?ということをしっかり考えながら行いましょう。
ストレッチは気軽に室内でできるため、話ながら、テレビを見ながらできることも大きなメリットです。ながらストレッチであっても、筋肉の緊張がほぐれていることをしっかり実感して行うようにしましょう。
筋肉が伸びて気持ちがいい範囲で行う
早く体を柔らかくしたいからといって、無理をしてしまうのは危険です。ケガをしないために始めたはずのストレッチがケガの原因になってしまうかも。ストレッチを行う前に、自分の今の柔軟性をチェックし、把握しておくことが重要です。
目安としては、強い痛みを感じるところまでせずに、筋肉が伸びていて気持ちがいい、という程度です。ほかの人の手を借りるときも、希望の力の強さをしっかり伝えるようにしましょう。
呼吸は止めないようにする
ストレッチの効果を左右するのは呼吸です。呼吸を止めてしまうと体が硬くなってしまい、思うようにストレッチを行うことができません。
鼻から吸ってゆっくりと口から吐く、という呼吸のリズムを止めないように意識しましょう。体を伸ばす動作のときに合わせて息を吐くようにすることで、伸ばしやすくなりますよ。

ストレッチを効果的にするプラスアルファのケア
ダイエット対策も兼ねるなら有酸素運動も入れる
ストレッチは確かに代謝を良くしてくれる効果はありますが、さらにダイエット効果を期待するようであれば一緒に有酸素運動を取り入れましょう。
有酸素運動とはジョギングや水泳、サイクリング、ウォーキングなどのことで、負荷が軽く、動きが早急ではなく、持続性のある運動のことを指します。酸素を多く取り入れ、その取り入れ酸素で体内の脂肪を燃焼させる効果があります。
有酸素運動の前後にストレッチを行うことでケガ防止になるだけでなく、有酸素運動の効果と併せて脂肪の燃焼効果をより高めてくれることになるのです。
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ダイエットには有酸素運動がおすすめ。効果アップの方法や注意点も
ストレッチの前後に軽くマッサージする
マッサージには、直接筋肉にアプローチすることで筋肉内の血液やリンパの循環をよくする効果があります。よってストレッチと併せて行うことでより体のめぐりを良くすることができるのです。
このとき注意するのが、マッサージを強すぎる力で行わないこと。加減を超えた力でマッサージをしてしまうと筋肉や組織が傷ついてしまい、逆に血流を悪くしてしまう可能性があるからです。
ストレッチと同じで、気持ちいいくらいを目安に行いましょう。
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ストレッチとマッサージの違い。組み合わせることで代謝アップ。
腹式呼吸をして心の緊張をときほぐす
体が硬くなってしまう原因の1つにストレスがあります。体はストレスを感じると交感神経が働いてしまい、体は攻撃態勢に入ってしまいます。すると筋肉は硬直してしまうため、ストレスを常に感じてしまう環境になると体がどんどん硬くなっていってしまうのです。
そのようなときは、意識的に腹式呼吸を行うようにしましょう。呼吸は唯一意識的に自律神経のバランスを整えることができる方法であり、深い呼吸は副交感神経を優位にしてくれます。副交感神経が働くことで体は休んでいる状態になり、リラックスすることができます。
ストレッチを行うときは身体だけでなく、腹式呼吸によって心もときほぐすといいでしょう。
単純なストレッチに飽きたらヨガにもチャレンジ
ストレッチは続けていくと身体も柔らかくなり簡単になってくるため、ストレッチだけで物足りなくなってきます。そのようなときにはヨガにチャレンジしてみましょう。
ヨガはストレッチに加えて運動要素を加えたもので、柔軟性だけでなく体幹を鍛えてくれる効果があります。ストレッチよりも体を隅々まで動かすことになるため、さらに血流も良くなり新陳代謝がアップし、痩せやすい体を作ることもできるのです。
また、体をほぐすうえで重要な腹式呼吸も基本となってくるため、毎日のストレッチと併せることでより高い柔軟効果が期待できるのです。
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ヨガのベーシックを知りいつまでも健康で美しいボディをキープしよう

ストレッチを地道に継続して柔らかい身体を手に入れて
柔らかい体を手にいれることで、体にとってたくさんの良い効果が得られます。しかも柔らかい体は毎日少しのストレッチだけで手に入れることができるなんて夢のようですよね。またストレッチは疲れた心をケアする効果もあります。1日の始まり、入浴後、1日の終わりにゆったりとリラックスしながらストレッチを行い心を整えていきましょう。
体は年を重ねるたびに硬くなっていくものです。少しでも早く毎日の習慣にストレッチを取り入れて、より健康的な体を目指しましょう。