目次
スキンケアに乳液が必要な理由
洗顔後に失われた被膜の代わり
肌は本来、汗と皮脂が混ざり合って作られる「皮脂膜」という膜によって、水分の蒸発を防いだり、外部からの刺激を防いだりしています。しかし、クレンジングや洗顔をすることで、汚れとともに皮脂膜も洗い流してしまいます。
皮脂膜が洗い流されてしまうと、肌表面の保護をすることができません。そこで、乳液をつけることで、皮脂膜が新しく形成されるまでの間、皮脂膜の代わりに肌表面の保護をする役割を果たします。
化粧水の水分蒸発を防ぐ
クレンジングや洗顔で、皮脂膜が洗い流されてしまうと、肌の角質層から水分が蒸発してしまうのを防ぐことができません。水分の蒸発は、肌が乾燥する原因です。
洗顔後のスキンケアでは、化粧水をつけることで、失ってしまった水分を角質層に補い、肌の調子を整えます。ただし、化粧水だけでは水分の蒸発を防ぐことはできません。化粧水のあとに、乳液をつけることで、洗顔で流れ落ちてしまった皮脂膜の代わりに、水分の蒸発を防ぎます。
美容成分の浸透をサポート
化粧水や美容液には、保湿成分以外に有効な美容成分が入ったものがあります。保湿成分や美容成分が角質層に浸透するには少し時間がかかります。しかし、化粧水や美容液をつけただけでは、すぐに蒸発してしまい、肌表面に長時間とどまらせることができないのです。
そこで、乳液をつけることで、化粧水や美容液を肌表面にとどまりやすくし、角質層に浸透し効果を発揮できるように促します。
角質をやわらげてキメを整える
肌の角質はターンオーバーが正常に働いていれば、古い角質から自然にはがれ落ちていきますが、肌が乾燥していると、正常なターンオーバーが働かず、古い角質が肌表面に残り硬くなってしまします。しっかり洗い流そうと、洗顔などのときに、擦ってしまうと余計に角質を厚くしてしまうのです。
硬くなった角質を除去するためには、角質を柔らかくする必要があります。乳液の肌を柔らかくする効果を利用して、角質を柔らかくし、肌表面に溜まっている角質を除去します。硬くなった角質がなくなれば、ターンオーバーも正常に戻り肌のキメが整います。
油分と水分のバランスを保つ
肌に必要なのは水分というのは良く聞く話ですが、本当に美肌に必要なのは、肌の水分と油分のバランスです。肌は皮脂膜といって、汗と皮脂との混合物で、乾燥や外的刺激から肌を守っています。皮脂膜を生成するためにも、水分と油分が必要です。
化粧水で水分を補給したら、乳液で油分を補給することで、バランスを保ちます。また、乳液は水分と油分のバランスよく配合されているので、十分に保湿されて肌の調子がいい人は、乳液だけのスキンケアでも大丈夫です。
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乳液を使わない方がいい肌の特徴
体質的に皮脂の分泌が多い
皮脂の分泌が多い脂性肌の人の特徴は、つっぱり感はなく、テカリが出てきます。また、洗顔しても皮脂が浮いてしまうのも特徴です。乳液には油分が含まれていて、脂性肌の人が乳液をつけると、肌の油分量が増えてしまい、毛穴が詰まりやすくなります。毛穴が詰まると炎症を起こし、ニキビや肌荒れの原因になります。
皮脂の量があまりに多く、テカリやべたつきが気になるときは、乳液の使用は控えた方がよさそうです。皮脂の分泌が多い人の中には、脂性肌と乾燥肌が混在している人もいます。混合肌の場合、乾燥が気になる部分には乳液をつけるようにしましょう。
水を弾く10代や20代の肌
10代や20代の肌は、皮脂腺が活発なので、皮脂量が多く、テカリやべたつくことが多いです。べたつくほどの皮脂量があると、毛穴詰まりも起こしやすく、肌悩みの原因にもなってしまいます。
特に、乾燥が気になることがないのであれば、10代や20代の肌に乳液はつけなくても大丈夫です。ただし、若くても乾燥肌の人や混合肌の人は、乾燥している部分に乳液をつけることをおすすめします。
ニキビが炎症をおこしやすい
乳液は水分と油分を乳化させ、肌表面から水分が蒸発してしまわないように、保護する役目があります。ニキビのできた肌は、過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まり、アクネ菌が繁殖しています。そこに、乳液をつけてしまうと、さらに油分が増え、アクネ菌の繁殖を促す原因になります。
そのため、ニキビが悪化しやすい肌の人は乳液の使用を控えた方がいいです。
乳化剤に敏感に反応する
乾燥が気になり乳液をつけると、ヒリヒリするなど肌に合わない人がいます。これは、乳液に含まれる乳化剤に反応しているかもしれません。
乳化剤は、水分と油分を混ぜ合わせるために使われる界面活性剤で、多くの化粧品に使われています。乳液が肌に合わないと感じる場合は、界面活性剤にアレルギーがあるかもしれません。乳液に敏感に反応しているときは使用をやめましょう。
無添加化粧品にも使われていることがあるので、注意が必要です。乾燥が気になり、乳液を使いたい場合は、乳化剤や界面活性剤が不使用のものを選びましょう。
乾燥が原因のインナードライ
「肌がテカるのにつっぱる」「洗顔直後は肌がつっぱって口元がかさつく」「メイクをすると皮脂の量がすごい」などの症状がある人は、インナードライスキンかもしれません。
インナードライスキンとは、その名の通り肌の内側が乾燥している状態です。乾燥を防ごうと皮脂が多く分泌されるので、肌表面はテカるほど皮脂量が多くなります。そのため、脂性肌と勘違いされやすいのです。
肌の内側の乾燥を補うには、乳液よりも保湿成分が配合された、化粧水や美容液を使うことをおすすめします。肌表面には十分に皮脂が分泌されているので、乳液でさらに油分を追加してしまうと、ニキビなどの別の肌トラブルを招いてしまい危険です。
乳液の効果的な使い方
季節や気温に合わせて種類を変える
1年を通じて季節によって、気温や湿度に大きな違いがあります。気温や湿度によって肌の調子も変わってきます。季節によっては花粉や紫外線、乾燥と肌にダメージを与える要因も多くあり、スキンケアも変化が必要です。
乾燥しがちな冬にはしっかり保湿と、水分を逃がさないケアがいりますが、皮脂量の増える夏に同じようなケアでは、ニキビなどの肌トラブルを引き起こしてしまいます。季節によって、乳液のつけ方や種類を肌の状態に合わせて変えるといいでしょう。
肌の状態に合わせて種類を使い分ける
肌トラブルを避けるためにも自分の肌の状態はきちんと把握しましょう。肌のタイプには、普通肌、敏感・乾燥肌、脂性肌、混合肌の4タイプあります。
肌のタイプによって、肌の状態は違い起こる肌トラブルも違ってきます。そのためスキンケアの方法も変えていく必要があるのです。中でも、混合肌やインナードライスキンは、乾燥肌や脂性肌と間違いやすいので注意してください。
皮脂の多い部分には薄めにつける
混合肌以外の人でも、部位によって皮脂量は異なります。目元、口元、頬は皮脂が少なく乾燥しやすい部位です。おでこや鼻のTゾーンと呼ばれる部位は、皮脂の分泌が多くニキビなどできやすい部位になります。
皮脂の分泌量が多い部分に乳液を多くつけてしまうと、油分過多になってしまうので、薄くつけるようにしましょう。皮脂の分泌が少ない部位には、重ねづけや乳液量を増やすなどして、適切なケアをしましょう。
肌がごわつくときは化粧水の前に使う
肌が敏感な人や乾燥しやすい人に、おすすめのケア方法のひとつに、乳液先行型ケアがあります。洗顔後化粧水よりも先に、まず乳液をつけるスキンケア方法です。肌トラブルなどにより、硬くなってしまった肌に化粧水をつけても、配合成分を角質層まで届けることができません。硬くなった肌を柔らかくするために、乳液を使います。
特に先行型乳液といわれる乳液には、水分・油分・保湿成分などが配合されていて、肌をやわらげ調子を整える役割があります。洗顔後、化粧水のなじみがあまりよくないときには、乳液先行型ケアを試してみてください。
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肌の悩み別乳液の適切な選び方
乾燥には保湿成分を含んでいるタイプ
水分の蒸発を防ごうと、乾燥した肌に美容オイルなど油分の多いものをつけると、肌に負担になります。乾燥肌に必要なのは保湿成分です。肌が水分を保持するためには、セラミドや天然保湿成分が必要になります。セラミドは化粧水に配合するのが難しい成分なので、乳液にセラミドが配合されているものを使うと、より肌の保湿に役立ちます。
乳液に含まれている油分は、ホホバオイルやツバキオイルなど、植物性や動物性の油分がおすすめです。植物性や動物性の油分は、人の脂質によく似ているので、刺激が少なく、皮脂膜と同じような働きが期待できます。
皮脂が気になる場合はさっぱりタイプ
皮脂の分泌が多い脂性肌の人には、乳液は必要ないと思われがちですが、クレンジングや洗顔により、必要な水分や油分が洗い流されているので、補う必要があります。しかし、あまり油分の多い乳液を使うと、肌トラブルの原因になるので、油分の少ないさっぱりした乳液を使うことがおすすめです。
中には、肌荒れやニキビによる炎症を抑える成分が配合された乳液があります。皮脂の分泌が多く、ニキビになりやすい肌には、ニキビに有効な成分が配合された乳液を選ぶのもいいでしょう。
シミには美白成分が含まれたタイプ
シミが気になる肌には、美白成分配合の乳液がおすすめです。化粧品に配合されている美白成分は、本来の肌以上に白くしたり、すぐにシミを消したりする効果は期待できません。しかし、シミの原因となるメラニンの生成を抑えたり、日焼けによるシミやそばかすを予防したりする働きがあります。
ビタミンC誘導体やトラネキサム酸が配合された乳液を選びましょう。毎日のスキンケアにプラスして使い続けることで、少しずつ肌のトーンが戻るはずです。
日焼けにはUVカットタイプ
日差しの強い時期に気になるのは、やはり紫外線です。日焼けしてしまう前に、しっかり対策しておきたいものです。しかし日焼け止めは、乾燥やべたつきが気になり苦手な人も多いのではないでしょうか。そこでおすすめなのが、UVカット乳液です。
UVカット乳液は、日焼け止め成分が配合された乳液です。ベースは乳液なので、しっとりと潤いを保ちながら、紫外線を防いでくれます。つけ心地はさらっとしていて、ストレスなく紫外線対策でき、化粧水のあとに乳液をつけるだけなので、時短スキンケアにもなり便利です。
くすみには下地になるティントタイプ
ティントとは、「淡い色味」を指す英語です。ティント乳液は、ベージュやピンクなどの色がついていて、肌を明るく見せる効果や、くすみや色ムラをカバーする効果があり、化粧下地としても使える乳液になります。日焼け止め効果のあるものを使えば、近所のコンビニに買い物にでかけることも可能です。オフの日、しっかりメイクをしたくないときなどにおすすめです。
あくまでも「乳液」なので、クレンジング不要なものが多く、洗顔料だけで簡単に落とせるのも手軽なポイントではないでしょうか。ただ、ティント乳液はスキンケア商品なのでベースメイクアイテムと比べると、カバー力など劣る点もあります。お肌の状態や予定など似合わせて使いわけしましょう。
脂性肌におすすめの乳液
雪肌精 薬用 雪肌精 乳液
URL:http://www.cosme.net/product/product_id/283775/top
べたつきがなく肌表面はさらっとしているのに、しっかり角質層まで潤う美容乳液です。5種類の和漢植物エキスを配合し、美白効果が高く透明感のある肌へと導きます。乾燥や肌荒れを防ぎつつ、美白もできる乳液です。
クリニーク ドラマティカリー ディファレント モイスチャライジング ジェル
URL:http://www.cosme.net/product/product_id/342972/top
モイスチャライジング+スキンバランス+プロテクションのバランスが取れた潤い補正の乳液です。潤いを与えることで肌本来のバリア機能を高め、トラブル知らずの肌へと導いてくれます。なめらかな感触のテクスチャーで素早く肌になじみます。
ソフィーナ ライズ・バイタルリッチ ライズ ミルク ll (さっぱり)
URL:http://www.cosme.net/product/product_id/357025/top
保湿向上成分3Dセラミドコンプレックスを新配合し、角質層の潤いを保ち、セラミドの働きを補ってきめを整えてくれる美容乳液です。触るとはずむような灘へと導きます。
アール・ツー・オー モイスチャーミルク
URL:http://www.cosme.net/product/product_id/2929206/top
玄米生まれのコメ発酵を50%配合した乳液。天然美肌成分が特徴で、アミノ酸で肌に潤いを与え、ビタミンで肌のツヤを、ミネラルで肌のきめを整える乳液です。
d プログラム バランスケア エマルジョン I
URL:http://www.cosme.net/product/product_id/2933405/top
皮脂や乾燥トラブルが混在するアンバランス肌を改善する乳液です。べたつきもカサつきもしっかり整えやわらか美肌へと導く薬用乳液です。
乳液のおすすめアレンジ方法
クレンジングとして利用する
乳液に含まれる油分が、メイクに含まれる油分となじんで、混ざりメイクを落とすことができます。しかし、落とせるメイクの濃さには限度があり、しっかりメイクやアイメイクなどのポイントメイクは、落とすのが難しいです。
濃いめのメイクはきちんと落とせず、肌に汚れが残ってしまいます。汚れの残った状態では、くすみやニキビなどの肌トラブルを引き起こしてしまうので注意しましょう。
方法は、3~5倍に希釈した乳液をコットンにとり、円を描くようにくるくると、顔全体にのせます。メイクとなじんだら、別のコットンに精製水か化粧水を含ませ、メイクを拭き取っていきます。このときゴシゴシ擦って肌を刺激しないように注意しましょう。
ファンデーションに混ぜる
保湿力の高いリキッドファンデーションは、乾燥肌の人をはじめ、多くの人が使っていると思います。しかし、伸びが悪く化粧ムラができてしまうという、悩みを抱えている人はいませんか。そんな時には乳液を混ぜるのがおすすめです。
リキッドファンデーションに乳液を混ぜることで、保湿力が高まり、長時間付けていても、乾燥を感じにくくなります。さらに、透明感のある仕上がりが期待できます。べたつきが気になるときには、フェイスパウダーを仕上げに使うとさらっとします。
混ぜる量は、乳液をパール粒1個分と、いつもより少なめのリキッドファンデーションをよく混ぜ合わせましょう。肌の状態や天候などに合わせて、量は調節しましょう。
洗顔料にプラスして角質ケア
乳液には保湿力があるので、洗顔にプラスして使うことで、洗い上がりがしっとりし、乾燥知らずの肌になれます。やり方は、いつも洗顔後につける倍の量の乳液を手に取ります。顔全体に乳液をまんべんなくのせ、内から外へと優しくマッサージしてください。そのあと、蒸しタオルで数分あたため、毛穴が開いたら、そのタオルでやさしくふき取ります。これを数回くりかえします。最後に、いつも通りのスキンケアをして終了です。
乳液をつけて顔全体をマッサージすることで、角質が浮き上がり、除去することができるので角質ケアにもなります。乳液に含まれる油分が、肌の余分な皮脂も落とす効果があり、さっぱりするのに、しっとりとした洗い上がりが体感できます。
お風呂に入れて入浴剤に
お風呂に入っているときは、毛穴も開いているので、乳液の有効成分を肌が吸収しようとします。そのため、乳液をお風呂に入れることで、効率よく全身に潤いを与えます。
洗面器一杯分に乳液5プッシュほど入れ、乳液が溶けるまでしっかり混ぜます。お風呂から出る前に全身にかけると、肌に油膜がはられさらに保湿効果が高まり、ボディーミルクの役割も果たします。
ヘアケアで寝癖直しやパサつき防止に
乳液に含まれている「油分」「乳化剤」「保湿成分」などは、髪の健康を保つためにも役立ちます。毛先がパサついて広がってしまうときには、乾燥の気になる部分に乳液をつけましょう。乳液の成分が、乾燥しがちな髪の深部にしっかり浸透し、しっとりサラサラにしてくれます。
スプレーボトルに薄めた乳液を入れて、寝癖がついた部分に吹きかけると、寝癖を直すことができます。市販の寝癖直し剤がないときに、代用できおすすめです。また、髪の表面にベールができるので、夏の日差しやドライヤーの熱からも守ってくれます。
プラス砂糖でボディスクラブに
体も顔と同じように乾燥や角質のケアが必要です。体にはボディケア商品を使う人が多いのではないでしょうか。乳液はボディケア商品よりも保湿力が高く、乾燥が気になるときなど、ボディケアに使うのもおすすめです。
やり方は、乳液をたっぷりカップなどに入れ、砂糖か塩を小さじ1杯ほど加え、なじむまでしっかり混ぜ合わせます。混ざったら角質が気になる部分に塗り、肌になじむまでクルクルとマッサージしてください。なじんだらお湯で洗い流すだけ。加えるのは塩よりも砂糖のほうが、しっとりするので乾燥対策と角質ケアが一度にできおすすめです。
▼さらに詳しい解説はこちら
乳液クレンジングで乾燥を防ぐ。今よりももっとモチモチ素肌に
肌の状態に合わせて乳液を上手に使いこなそう
乳液には、保湿以外にも、肌の調子を整えたり、角質ケアをしたり、美容成分の浸透をサポートしたりとさまざまな効果があります。テクスチャーもしっとりするものから、さっぱりするものまでいろいろあるので、季節や肌の状態に合わせて上手に使いわけることが、美肌を作るポイントです。いろいろな乳液を試して自分の肌に合った乳液を見つけてください。