目次
筋トレにストレッチが有効な理由
筋トレのパフォーマンスをあげる
ストレッチが筋トレに有効といわれるのには、理由があります。第一の理由としては、筋トレのパフォーマンスをあげるということです。筋トレを行う場合、筋トレ前にストレッチを行ったほうが、筋トレ本来の効果をより引き出すことができるのです。
筋トレ前にストレッチで筋肉を引っ張ったり、伸ばしたりすることで、筋肉をやわらげておくことが効果的。
筋肉痛を起こしにくくする
筋トレは、筋肉に負荷をかけて強化するためのもの。筋トレ前に筋肉を柔らかくしておくと、関節の稼動領域を広けることができるため、筋肉痛を防ぐ効果があります。運動前のウォーミングアップとして、ストレッチはとても効果的です。
▼さらに詳しい解説はこちら
運動後の膝の痛みはストレッチで解消できる。自分でできる簡単な方法
疲労回復に繋がる
筋トレを行った後に行うストレッチには、筋肉疲労をやわらげ、血行を促進する効果があります。疲れた身体をほぐし、疲労を回復する効果が得られます。
けがの予防になる
筋トレや運動前のストレッチは、血行を促進し、身体を温める効果があります。いわば、本番前の準備運動として効果的なストレッチ。身体をあたためて柔らかくほぐしておくことが、けがの予防にもつながるのです。

ストレッチのコツ
正しい姿勢で行う
ストレッチは、身体の筋肉を伸ばしたり引っ張ったりすることで、柔軟性を高め、筋肉をほぐす効果を得ることができます。目的とした部位のストレッチを行うためには、その部分の筋肉がしっかり伸ばせるよう、正しい姿勢を保って行うことが必要です。
立っているときの正しい姿勢をつくるためには、壁を利用するのがおすすめです。つま先を少し広げた状態で、後頭部、肩、おしり、ふくらはぎ、かかとがついた状態が正しい姿勢といえるでしょう。背骨が自然なS字型になっていることがポイントです。
座ったときの正しい姿勢とは、イスに深く座り、骨盤を立てて座った状態のことです。骨盤が倒れたままだと、おしり全体に体重がかかり、姿勢が悪くなってしまいます。イスに座ったときのひざの角度は90度。頬杖をついたり、足を組んだりするのは厳禁です。
反動を利用しない
ストレッチを行う際には、身体の反動を利用しないこともポイントです。目的の部位の筋肉をしっかり伸ばすためには、ゆっくりと筋肉を引っ張り、伸ばしてあげることが必要。とくに運動後に行う静的ストレッチの場合、疲労回復や身体のクールダウンを目的とするため、身体の反動を利用したストレッチでは、十分に筋肉を伸ばし、ほぐすことができないのです。
呼吸を続ける
ストレッチを行う際には、呼吸を意識することもポイントです。正しい呼吸は、筋肉に酸素がいきわたるので、筋肉に力がしっかりと入ります。重たいものを持つときなどには、つい息を止めてしまいがちですが、血圧も急激に上がってしまうため、運動中にはおすすめできません。
「筋肉が収縮するときに息を吸う」、「筋肉を伸ばすときは息を吐く」という呼吸を意識しながらストレッチを行います。リラックスした状態で息を吐きながら、ゆっくりと筋肉を伸ばし、伸びている筋肉を意識しましょう。
ちなみに、筋肉を収縮させるときに息を吸う速度の2倍の遅さで筋肉を伸ばすと、より効果的です。
痛みを感じない範囲で行う
ストレッチの目的は、血行を促進し、筋肉をほぐすことです。痛みを感じるほど、強く行うと、逆に筋肉を痛めてしまう可能性も。身体のために行うストレッチで身体を痛めてしまっては、元も子もありません。ちょっと痛いかな。でも気持ちいいと感じるくらいがちょうど良いのです。
リラックスして行う
疲労回復効果もあるストレッチは、リラックスした状態で呼吸を意識しながら、ゆっくり行うのが効果的です。テレビを見ながらや休憩中でも手軽に行えるストレッチで、身体をほぐしてあげましょう。

ストレッチのメリット
筋肉の柔軟性を高める
筋肉が固まったまま、いきなりスポーツや運動を始めてしまうと、筋肉の柔軟性が十分でないため、肉離れや捻挫などの怪我の可能性が高まります。運動前の十分なストレッチは、身体を温め、筋肉の柔軟性を高め、怪我の防止にも繋がるのです。
関節の可動域が広がる
筋肉と同様、膝や肘、股関節などの関節部位もいきなり動かしてしまっては、関節を痛めてしまう原因になります。ストレッチで十分に身体を温めておくことで、関節の可動域が広がり、次の筋トレのパフォーマンスも向上してくれるのですね。
血流が改善される
ストレッチは、身体の筋肉を伸ばしたり引っ張ったりする、柔軟性を高めるための優れた運動です。筋肉をほぐすことで、身体中が温まり、血行を促進する効果があります。血行を改善すると、肩こりや腰痛の軽減や、疲労回復などにも効果が得られます。
神経機能が向上する
毎日の生活の中で、私たちの筋肉や神経は緊張しつづけています。ストレッチで筋肉を伸ばしたり、引っ張ったりしてほぐすことで、神経の緊張をリセットすることができます。神経の緊張をほぐすことで、リラックス効果を得ることができるのです。
骨格の歪みが改善する
ストレッチには、ストレッチ整体と呼ばれるプロの手による整体もあります。骨格や関節のゆがみを改善し、疲れにくい健康な身体に整える効果があります。無意識な姿勢などが原因でゆがんでしまう骨格のゆがみもストレッチを毎日続けることで、効果を得ることができるのですね。
とくに大胸筋や広背筋などのストレッチは、猫背などにも効果的。普段から姿勢の悪さで悩んでいる人には、ぜひおすすめしたいストレッチです。
▼さらに詳しい解説はこちら
ストレッチで骨盤の歪みを改善。理想の体型を手にいれよう。

ストレッチの種類
身体を温める動的ストレッチ
ストレッチには、大きく分けて2種類あります。そのうちの一つである「動的ストレッチ」は、身体を大きく動かし、反動を利用して筋肉をほぐすことを目的としています。一般的に行われている、ラジオ体操なども動的ストレッチに分けられます。関節を動かし筋肉を柔らかくすることで、関節の可動領域を広げ、身体を温めてくれる効果があります。運動前のウォーミングアップとして、怪我の防止などにも効果があります。
クールダウンする静的ストレッチ
身体を動かして行うのが動的ストレッチと呼ばれるのに対して、ゆっくりと筋肉を伸ばしながら行うのが「静的ストレッチ」です。主に、運動後の身体を静めるクールダウンと疲労回復が目的です。
また、柔軟性を高め、身体を整えるほか、身体的にも精神的にもリラックスする効果があります。ダイエットや、身体をほどよく引き締める効果もあるので、運動後のクールダウンだけでなく、美容面としても高い効果を期待することができます。

筋トレ前のおすすめ動的ストレッチ
ハムストリングスを伸ばす
デスクワークや立ち仕事など、毎日の生活の中で最もコリやすい部位がハムストリングです。ハムストリングとは、ふとももの裏側にある筋肉のことで、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の総称です。普段、無意識に使っていることが多く、きちんとストレッチをすることで、ヒップアップやぽっこりおなかの改善に効果的です。
まずは、このハムストリングをしっかり伸ばすストレッチを行いましょう。
ハムストリングスの動的ストレッチ1
1.足を肩幅程度に開き、リラックスします。
2.片足を1歩前へ出します。かかとをしっかり床につけておきましょう。
3.背中をまっすぐに伸ばしたまま、1歩前に出した足のほうへ上半身を前に傾けていきます。
4.ハムストリングが伸びていることを意識しながら30秒間、そのままキープします。
5.逆の足を同じように行います。
ハムストリングスの動的ストレッチ2
1.正しい姿勢で立ちます。
2.ひじを曲げないように、片手を方の高さで伸ばしておきます。
3.歩きながら、息を吐きながら、出した手と逆の足を大きく振り上げます。このとき、ひざが曲がらないように注意しましょう。
4.振り上げた足を手につけたら、反対も同様に。左右10回ずつ、休まずリズミカルに行いましょう。
股関節をまわして柔らかくする
運動のパフォーマンスをあげるために欠かせない股関節。下半身の動きをよくするためにも、股関節を回すストレッチで、十分に柔らかくしておきましょう。
1.背筋を伸ばし、正しい姿勢で立ちます。
2.ひざの頭を中心から後ろに向かって股関節を回すように動かします。
3.左右ともに10回ずつを目安に行いましょう。
足首をまわして柔らかくする
足首は、運動やスポーツなどでも捻挫などの怪我のしやすい部位でもあります。関節の可動域をひろげ、柔軟性を高めるためにも、しっかりとストレッチをして温めておきましょう。
足首のストレッチ1
1.足先を床につけて足首を回しましょう。
2.右方向に10回回したら、左方向へも10回回します。
3.逆の足も同様に左右方向に10回ずつ回しましょう。
足首のストレッチ2
足首を回すほかに、伸ばす・曲げるを繰り返すストレッチがあります。
1.正しい姿勢でイスに座り、足を上げます。(腰に痛みがある場合は、寝た状態でもOKです)
2.足首から先を伸ばしたり曲げたりを繰り返します。
3.左右の足それぞれ10回ずつ行いましょう。
肩をまわして柔らかくする
肩こりの改善にも効果的な、肩を回すストレッチの方法です。
1.正しい姿勢で立ちます。
2.両手を肩の上におきます。
3.ひじを前方向にぐるぐると回します。10回繰り返しましょう。
4.同様の姿勢で、後ろ方向に10回回しましょう。
腕をのばす
肩こりの解消や、二の腕に効果的なストレッチです。
腕のストレッチ1
1.正しい姿勢で立つ、もしくは座ります。
2.伸ばしたいほうの腕を胸に引き寄せます。そのまま30秒キープ。
3.反対の腕も同様に行いましょう。
腕のストレッチ2
1.正しい姿勢で立つ、もしくは座ります。
2.両手を背中で組み合わせます。
3.胸をピンとはったまま、ゆっくりと両手を組んだまま、上に上げていきましょう。姿勢が崩れないように注意しましょう。
腕のストレッチ3
1.片方の腕をまっすぐ肩の高さに伸ばします。
2.手のひらを広げ、上に向けます。(待った、の姿勢)
3.反対の手で、伸ばした手の4本指を軽く手前にひっぱります。そのまま20秒キープ
4.逆の手も同様に行いましょう。
腕のストレッチ4
1.片方の腕をまっすぐ肩の高さに伸ばします。
2.手のひらを広げ、下に向けます。
3.反対の手で、伸ばした手の4本指を軽く手前にひっぱります。そのまま20秒キープ
4.逆の手も同様に行いましょう。

筋トレ後のおすすめ静的ストレッチ
大腿四頭筋(太もも前)のストレッチ
筋トレが終わった後の静的ストレッチでは、筋肉痛を防ぎ、疲労回復をすることが目的です。そのため、「反動を利用しないこと」、「痛みを感じない程度に行うこと」、「リラックスした状態で行うこと」、「自然な呼吸のままで行うこと」などがポイントととなります。
ひとつひとつの動作を30秒程度を目安に行いましょう。
大腿四頭筋のストレッチ1
1.正しい姿勢で立ちます。
2.片足を後ろにあげ、あげたほうの手で、足首をつかみましょう。
3.そのままおしりのほうへ引き寄せます。
4.大腿四頭筋が伸びていることを意識しながら30秒キープ。
5.もう一方の足も同様に行いましょう。
大腿四頭筋のストレッチ2
ストレッチ1で片足がうまく上げられないという方におすすめの方法です。
1.仰向けに寝ます。
2.伸ばしたい足を曲げ、曲げたほうの手で足首をつかみましょう。
3.そのまま、おしりのほうへ引き寄せます。
4.大腿四頭筋が伸びていることを意識しながら30秒キープ。
5.もう一方の足も同様に行いましょう。
大腿四頭筋のストレッチ3
身体の柔軟性に自信があるという方にお勧めの方法です。
1.背筋を伸ばして正座をしましょう。
2.そのまま上半身を後ろに倒します。
頭をぶつけないように気をつけてください。
3.頭を床につけたまま、30秒キープ。
股関節のストレッチ
股関節に効果的なストレッチの方法です。
股関節のストレッチ1
1.正しい姿勢のまま、両足の裏をくっつけます。
2.背中を伸ばしたままの状態で、両足を股間の方に近づけ、両膝は床につけるように押しましょう。そのまま30秒キープ。
足の裏が離れないようにゆっくりと行うことがポイントです。
股関節のストレッチ2
1.両足を広げて座ります。
2.背筋を伸ばしたまま、できるだけ前に倒れます。限界まできたらそのまま30秒キープ。
身体が硬いという人も、毎日少しずつ続けることで、身体が柔らかくなっていくのを実感できるはず。大切なのは、毎日の継続なのです。
▼さらに詳しい解説はこちら
股関節ストレッチのメリットは?コツや効果的なタイミングがある
ハムストリングスのストレッチ
ハムストリングスに効果的なストレッチの方法です。
1.正しい姿勢で床に座りましょう。
2.片足を内側に曲げて足につけます。もう一方の足は、前に伸ばしたままにしておきましょう。
3.背筋を伸ばしたまま、上半身を倒していきましょう。ハムストリングスが伸びて、少し痛いかなと感じるところで30秒キープします。
4.逆の足も同様に行いましょう。
大胸筋のストレッチ
姿勢を正す効果もある大胸筋のストレッチ方法です。
1.壁のコーナー部分などににひじを曲げた状態で、腕をくっつけます。
2.そのまま、身体を前へ移動させます。そのまま30秒キープ。
3.もう一方の腕も同様に行いましょう。
肩が痛むようなら、腕の高さを調整しましょう。
広背筋のストレッチ
1.四つんばいの姿勢になります。
2.腕をまっすぐ前に伸ばし、おしりを後ろにゆっくりと下げていきます。背中の筋肉がしっかり伸びていることを意識して30秒キープします。
これを1セットとして、3セット行います。
上腕三頭筋のストレッチ
腕の裏側にある筋肉、上腕三頭筋のストレッチ方法です。二の腕を引き締める効果があります。
1.正しい姿勢で立つ、もしくは座ります。
2.伸ばすほうの腕をまっすぐ上に上げ、そのままひじを反対の肩方向へ曲げます。
3.もう一方の手で、上からひじを押さえ、上腕三頭筋を意識しながら30秒キープ。
4.反対の腕も同様に行いましょう。
腹筋のストレッチ
腹筋には、真ん中にある腹直筋と、その側部にある腹斜筋に分けられます。それぞれに効果的なストレッチ方法です。
腹直筋のストレッチ
1.うつぶせで寝ます。
2.足と腕を肩幅に開きます。
3.下半身を床につけたままの状態で、上半身だけを両腕の力で少しずつ持ち上げましょう。
4.限界まできたら、顔を上に上げて30秒キープ。
腹斜筋のストレッチ
1.あお向けで寝ます。
2.両手を広げ、床につけたままにします。
3.ひざを少し曲げ、そのまま横に倒していきます。そのまま30秒キープ。
4.逆方向にも同様に行いましょう。

効果的なストレッチのポイント
大きな筋肉の太ももから行う
ストレッチを行う際には、大きな筋肉から鍛えることが基本です。大きな筋肉を温めておくことで、エネルギーの代謝も向上し、体脂肪を効率的に燃焼する効果もあります。
身体の部位の中で、最も大きな筋肉である太ももは、大腿四頭筋と呼ばれる最も大きな筋肉があります。また、ハムストリングスも太ももの後ろ側にある大きな筋肉です。まずは、太もものストレッチをしっかり行うことが運動のパフォーマンスを向上させ、脂肪燃焼にも効果的な方法なのです。
大きな筋肉のおしりをほぐす
次に大きな筋肉は、おしりの筋肉である、大臀筋です。走るときやジャンプ・キックなどの動作で使われる筋肉で、日常生活の中でも良く使われる筋肉でもあります。
大臀筋をしっかりストレッチして柔らかくしておくことで、血行も促進されます。また、おしりがキュっと引き締まり、ヒップアップ効果も期待することができます。
痛めやすい腰は最後にする
骨盤矯正や腰痛の改善にも効果的な、ストレッチですが、大きな関節でもある腰は、痛めやすい部位でもあります。痛みを感じない程度の力で、一番最後にストレッチを行うようにしましょう。
また、腰を痛めている場合は、無理して行わないこと。悪化させてしまう原因になるので、注意が必要です。

ストレッチで筋トレを効果的にしよう
それぞれの目的を持って行う動的ストレッチと静的ストレッチ。大きな動きで、反動を利用しながら行う動的ストレッチには、運動前やスポーツ前にしっかりと行い、身体を温める効果があります。また、パフォーマンスをあげ、怪我を防止する動的ストレッチには、筋トレをより効果的にしてくれるということがわかりました。
さらに、クールダウンが目的の静的ストレッチは、リラックスや疲労回復にも効果があるため、運動後はもちろん、毎日の習慣に取り入れるのも良いでしょう。毎日の立ち仕事やデスクワークで硬くなった身体をほぐし、血行を促進する効果があります。
ストレッチを上手に取り入れて、より効果的な筋トレで、美しいスタイルを手に入れましょう。