目次
保湿の仕組み
肌の潤いは角質層で守られている
角質層とは厚さが約0,02㎜で、肌の最も表にある層のことを言います。食品ラップと同じくらいの厚さしかないのですが、ホコリや菌などの外部刺激から肌を守ると同時に、体内の水分が蒸発しすぎないように守る役目もあります。バリア機能と保湿機能を兼ね備えているのが角質層です。
角質層自体はとても簡単な構造をしています。角質細胞と角質細胞間脂質からできているのですが、角質細胞をレンガに例えるなら角質細胞間脂質はセメント。セメントがレンガ同士をくっつけているところをイメージしてください。この結びつきが外部刺激から体を守り、内部の水分を保持するバリア機能として働いているのです。
3つの保湿因子によって潤いを保っている
肌の水分量は、3つの保湿因子によって一定に保たれています。皮脂、天然保湿因子、細胞間脂質です。皮脂が全体の約2~3%、天然保湿因子が約17~18%、細胞間脂質が約80%もの水分を保持しています。
セラミドという成分を知っている方も多いかもしれません。セラミド配合の化粧品も多く出ていますね。このセラミドは、細胞間脂質の半分を占めている物質で、お肌の水分保持にはなくてはならない存在です。
肌の乾燥の原因
アトピー性皮膚炎甲状腺機能異常などの特定の疾患
肌の乾燥の原因として考えられる中で、アトピー性皮膚炎はとても多い疾患です。患者さんの多くはセラミド代謝が上手く行っておらず肌のセラミド量が減少しています。そのためバリア機能が上手く働かず、さまざまな症状が現れることになるのです。
甲状腺というホルモンを分泌する器官に異常が生じた時にも、同じような肌の乾燥が起こる場合があります。ホルモンバランスが乱れて新陳代謝に異常をきたし、肌が荒れてしまうのです。
環境や生活習慣の乱れ
環境に左右されることも多いのが、肌の水分量や乾燥の進行。エアコンのつけ過ぎによる部屋の湿度の低下や、紫外線によるダメージ、季節の変わり目などによる温度や湿度の急激な変化に影響されます。
生活習慣の乱れも問題になってきます。飲酒や喫煙、夜更かし、食生活の乱れなどがホルモンバランスの乱れを引き起こしターンオーバーを乱れさせてしまいます。乱れたターンオーバーではバリア機能の働きも低下し、肌の乾燥を引き起こすことになるのです。
保湿用コスメの種類
肌の状態を整える保湿化粧水
乾燥が気になる肌状態であるなら、今の自分の肌が乾燥により敏感肌に傾き始めているということを知った上で保湿化粧水を選ぶようにしましょう。まずは化粧水そのものを見直してみます。保湿重視であるのか、刺激となるような成分は高配合されていないか、敏感肌に傾いている今の自分の肌に合っているのかが、購入前に知っておきたい情報です。
一般的に、エタノール配合やオイルタイプは刺激となるので、避けた方が良いでしょう。
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保湿力と保護力を兼ね備えた保湿乳液
化粧水でのお手入れが完了したら行うのが、乳液でのお手入れです。水分と油分の両方が配合されているものが乳液です。テクスチャーもみずみずしいタイプから、こっくりとした濃厚なタイプまでさまざま。自分の肌状態と好みで最適な乳液を選びましょう。バリア機能を整えてくれるので、肌の保護力アップも期待できます。
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水分の蒸発を防ぐ保湿クリーム
最後は保湿クリームで潤いを閉じ込めるお手入れですね。化粧水や乳液で補った水分が逃げないように保湿クリームで顔に薄膜を作り、フタをします。保湿クリームもテクスチャーや美容効果など、自分の肌に合うものを選ぶことができます。
混合肌の人や脂性肌の人は、Tゾーンにはあまりたっぷりとつけ過ぎないように注意します。余分な油分が肌に残ることにより、ニキビができやすくなってしまうからです。
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乾燥やすい肌には保湿美容液
特に乾燥が激しい人には保湿美容液もおすすめです。美容液とは使う目的別に、配合成分などが分かれている基礎化粧品の一つです。美白なら美白に特化したものがあり、保湿なら保湿に特化した美容液があるのです。
保湿美容液は化粧水の後、乳液やクリームの前に使うアイテム。普段のお手入れに上手に取り入れて、潤いや栄養をたっぷりと肌に補ってあげましょう。
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ヒアルロン酸の効果は美肌だけではない。健康になれる保湿美容液
忙しくても手軽に使えるオールインワンゲル
化粧水、美容液、乳液、クリームなどの基礎化粧品の機能が一つになったオールインワンゲルは、時短アイテムとしても人気があります。基本的な使用方法は、洗顔後の清潔な肌に使います。オールインワンゲルだけのお手入れでは少し乾燥してしまうという人は、化粧水を使ってからオールインワンゲルでフタをするというイメージでお手入れをするのがおすすめです。
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肌トラブルには保湿剤がおすすめ
保湿剤とは
保湿剤は皮膚科で処方されるものやドラッグストアで購入できるものまで種類はさまざまです。アトピーやニキビで通院しており、保湿剤を使っている人もいるでしょう。
保湿剤は大きく二つに分けることができます。一つ目は水分の蒸発を防ぐタイプの保湿剤。ワセリンやプロペトなどが有名です。二つ目は水分と結びつき潤うタイプの保湿剤。ヒルドイドソフトやキュレルクリームなどです。
一つ注意しなくてはならないことがあります。痒みなどを伴う場合には保湿剤そのものが刺激となり痒みを増してしまうこともあるので、主治医の指示に従って正しく使用してください。
保湿剤の塗り方
保湿剤は乾燥が激しい場所に適量を塗るのが基本です。軟膏やクリームタイプの保湿剤の場合、人差し指の指先から第一関節までの量で、手のひら2枚分の面積を塗ることができます。ローションタイプで同じ面積を塗る場合は、手のひらに1円玉くらいの大きさの量がちょうど良いですね。
手のひらを上手に使ってムラなく伸ばして行きます。この時強くこすったり塗り込んだりすることのないように注意します。1日に決められた回数塗るのを忘れないようにしましょう。
肌の保湿の仕方
顔への保湿の仕方
顔の保湿で大事になってくるお手入れはやはり洗顔。洗顔の正しい方法を知って乾燥肌、敏感肌を改善させましょう。洗顔料をよく泡立ててから使うこと、ゴシゴシこすらないこと、シャワーのお湯を顔に直接かけないこと、すすぎの湯温はぬるま湯ですること、朝晩2回の洗顔にとどめること。そして、洗顔の後はすぐに化粧水でのお手入れに入ることです。
いつもの洗顔を見直してみてください。保湿へのポイントを押さえて潤いのある肌を手に入れましょう。
身体への保湿の仕方
ボディの保湿は面積が広い分、保湿剤やお風呂上がりのローションなどがたくさん必要になってくる部分です。足や手も乾燥しやすい部分です。ひじ、ひざだけではなくすねや二の腕の部分も乾燥して粉を吹いてしまう場合があります。お風呂上がりに、まだ肌が湿っているような状態の時に保湿剤やローション、ミルクなどで保湿をしっかりしてあげましょう。潤いにしっかりフタをするイメージです。
アトピー性皮膚炎の人が入浴剤を用いるのも保湿に良い効果があります。肌をしっとりと保つ潤い成分配合のもの、なるべく刺激となるような化学合成物質が入っていないものを選ぶようにします。痒みや炎症を抑える効果のあるもを選ぶのもおすすめです。
医療・美容コンサルタントの滝沢日花里です。
全身の保湿は、面積が広く手が届かない所もあるので難しいですよね。顔だけではなく、体も年齢と共に水分量が低下しますので、季節問わず保湿は大切です。入浴後は、スプレータイプの化粧水や保湿剤を付けてあげると良いと思います。入浴剤を入れる方は、低刺激で添加物が少ない物を使用するのもお勧めです。ミストで保湿をしてあげた後は、手が届く範囲で構いませんのでボディークリームを塗る様に心掛けましょう。ボディークリームは、顔のスキンケアでいうと乳液やクリームの役割になりますので、土台の保湿をしてあげた後にクリームを塗ると、肌トラブルや冬場の乾燥肌への対策に繋がります。寒くなる前からきちんとケアを行い、乾燥の時期をストレスなく乗り越えていける肌質に改善していきましょう。 肌質ごとの保湿のコツ。肌の潤いを閉じ込めて逃がさないお手軽ケアさんを2人が応援しています! SNSでシェアすることで、モデルの表示順位がアップします。
正しい保湿ケアで潤い肌に
化粧水でしっかり保湿
洗顔の後は化粧水でしっかり保湿をするのが基本です。どの肌質の人に関しても言えることですが、保湿は潤いのある肌作りのための第一ステップ。自分の肌質に合った化粧水で丁寧に保湿ケアをしていきましょう。化粧水を手のひらで十分に温めてから顔に広げていきます。乾燥が気になる部分には重ね付けを。ハンドプレスで丁寧に押し込んでいくと、うるおい感を実感できます。
朝の保湿ケアは手を抜かない
時間のない朝ですが、保湿ケアは手を抜けません。その日一日の肌の状態を左右すると言っても過言ではないからです。フェイスマスクで10分は時間を取れないけど、コットンパックで5分なら大丈夫。たっぷりと保湿された肌は、皮脂分泌も落ち着くのでお化粧直しの回数も自然と減ることでしょう。
夜は肌をいたわるケアを
一日働いた肌はとても疲れています。メイクを落としてすっきりした後は、保湿マスクのお手入れがおすすめです。たっぷりの潤いを顔全体に行き渡らせながら待つこと10~15分、つかの間のリラックスタイム。それからいつもの基礎化粧品でお手入れして一日の終了です。
他にも良質な睡眠をきちんととることも重要です。眠っている間に肌のターンオーバーが行われ、肌は再生されます。途中で目が覚めてしまう、寝つきが悪いなど安眠を妨害していると思われる原因を取り除き、ぐっすり熟睡できる環境を整え、美肌を手に入れましょう。
肌質によってスキンケアが違う
自分の肌質を知る
自分の肌質を正確に知ることは大切です。基礎化粧品選びにも影響を与えますし、ケアの方法も肌質によって違ってくることがあるからです。季節の変わり目や生理前などに敏感肌に傾く人は多いです。年齢と共に敏感肌になって行く人もいます。自分の肌をよく観察した上で毎日のお手入れができると良いですね。
普通肌は状況に応じてクリームを使う
水分量、皮脂量共にバランスの取れている普通肌。バリア機能も正常に働いているので、肌トラブルになりにくい肌質と言えます。それでも、肌を取り巻く環境がエアコンなどで極度に乾燥していた場合などは、状況に応じてクリームなど油分の多いアイテムを使うこともありだと考えてください。クリームは肌の潤いをしっかりと守り、バリア機能も助けてくれるからです。普通肌の人は綺麗な肌をどのようにして維持していくかがケアのポイントになります。
敏感肌や乾燥肌にはセラミド配合の化粧水を使う
敏感肌や乾燥肌の人に不足しがちなセラミド。化粧水に配合されているものも多く販売されています。化粧水でしっかりと保湿しながらセラミドを補充し、乳液やクリームでフタをすることを忘れないようにします。基礎化粧品の配合成分の中で刺激となる成分が配合されていないかを見ることも大切です。
混合肌は頬の保湿をプラス
混合肌の人は特に頬を含むUゾーンの乾燥が気になる肌質です。頬を含むUゾーンにだけ保湿美容液を使ったり、化粧水のコットンパックでしっかりと保湿をしたり、ひと手間かけることがポイントです。
皮脂分泌量の多いTゾーンも保湿が大切ですが、乳液やクリームなど油分の多いアイテムはニキビの原因にもなるので、つけ過ぎないようにします。
脂性肌は化粧水を使う前に拭き取りローションを使う
脂性肌の人は皮脂分泌量が全体的に多い肌質です。化粧水を使う前に拭き取りタイプのローションで表面の過剰な皮脂をやさしく拭き取ることで、後に使う化粧水の浸透を良くします。古い角質も取り除くことができるので、肌の色がワントーン明るくなる効果も期待できます。
日中の化粧直しはなるべくティッシュで皮脂を取る方法が良いでしょう。あぶら取り紙だと皮脂を多く取りすぎてしまって、より皮脂分泌が過剰になってしまうのです。
保湿におすすめのコスメ
ニベア ニベアクリーム
ロングセラーのニベアクリーム。青い缶に入っている真っ白いクリームとして覚えている人も多い定番商品です。素肌の潤いを守り、肌を健康に保つ保湿クリームで価格もリーズナブル。肌質を選ばずボディにも使えるとして、多くの人に支持されている人気のクリームです。
ミノン アミノモイスト モイストチャージ ミルク
ミノンというと敏感肌の人にやさしい洗浄料を作っている会社として有名です。ミノンのスキンケアライン、ミノンアミノモイストよりモイストチャージミルクです。伸びがよく肌になじむ乳液として人気。ベタつかない使用感で、乾燥肌の人におすすめです。
ランコム ジェニフィック アドバンスト
混合肌の人にお勧めなのがランコムの美容液、ジェニフィックアドバンスト。天然の酵母エキスが浸透して美しい肌になると口コミで人気です。ブースターとして使用しますが、浸透がとても良いとの声が多いです。後から使う基礎化粧品の浸透も助けてくれます。使い続けることで素肌の美しさが増すタイプの美容液です。
SK-II フェイシャル トリートメント エッセンス
SK-Ⅱのフェイシャルトリートメントエッセンスと言えば化粧水の中の名品として有名。天然成分であるピテラが90%以上配合されています。肌のバリア機能に関わる角質層の潤いを整える化粧水です。サラッとしたテクスチャーで脂性肌の人にもおすすめです。
リメイ オールタイムジェルパック
化粧水、乳液などのスキンケアができるオールインワンジェルです。多機能なので、朝は化粧下地として使うことができますし、夜は保湿パックとしても使えます。保湿成分に3種のヒアルロン酸、3種のセラミドが配合されていて敏感肌や乾燥肌の人におすすめです。
クリアターン エッセンスマスク(ビタミンC)
リーズナブルな価格で続けやすい、保湿マスクです。放置時間も短く5~10分くらいなので、忙しい朝の保湿ケアにもおすすめです。密閉効果で美容液が角層深部まで高浸透。肌のキメを整え毛穴を引き締めてくれます。たっぷりと保湿された肌は、化粧ノリも持ちも良い状態が続くでしょう。
肌質に合った保湿ケアで美しい肌へ
自分の今の肌質を正しく知ることで、肌質に合った保湿ケアをすることができます。どんな肌質でも、肌状態でも大切なのは保湿ケアです。角層にうるおいをしっかりと閉じ込め、潤いやハリのある美しい肌を目指したいですね。
バリア機能が正常に働くことで、私たちの肌は健康的でいられます。今ある肌トラブルもいつかは落ち着く日が来るでしょう。健やかな肌は今日のお手入れから作られていくのです。