目次
「肌断食」の目的
日頃酷使している肌を休ませる
私たちは毎日当たり前のようおこなっている「メイク」や「洗顔」、「過度なスキンケア」によって、知らず知らずの内に肌を酷使してしまっていることに気づいていません。
多くのメイク道具やスキンケア製品には、「合成界面活性剤」「防腐剤」「酸化防止剤」などの化学物質が使用されています。これらの物質は、洗浄力を高めるため、腐らないように、酸化反応が起きないようにというような目的で使用されていますが、どれも化学物質であり肌本来のバリア機能を阻害してしまいます。
そんな化学物質から離れて肌を休ませてあげるというのが「肌断食」の基本です。
肌本来が持っている力を引き出す
皮膚の役割のひとつとして外部刺激や乾燥から身を守るという働きが挙げられますね。
肌は本来、皮脂を分泌して「皮脂膜」で覆うことで外部の刺激から肌を守っています。また、「天然保湿因子」が角質層の水分をしっかり維持し、「角質細胞間脂質(セラミド)」が水分の蒸発を防ぐ働きをすることでみずみずしい肌を保ちます。
この「皮脂膜」「天然保湿因子」「角質細胞間脂質」を3大保湿因子と言いこの3つがバランスよく働くことでバリア機能も働き、健やかな肌を保つことができるのです。
あなたのお腹や内ももはとてもすべすべしていないでしょうか?肌は何もしなくても、自らの力を発揮し正常な状態を保つことができるのです。そして、本来持っている力で肌を元の状態に戻すというのが「肌断食」の目的です。
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本来の肌に戻る肌断食のやり方は?本当はもっと綺麗なのかも
「肌断食」をした際に得られる効果
乾燥肌の改善
多くの化粧品やクレンジングなどの洗顔剤には合成界面活性剤が使用されています。この合成界面活性剤は主に「油分と水分を混ぜて乳化させるため」、「洗浄効果をアップするため」に使用されます。
ですがこの合成界面活性剤は「皮脂膜」を取り除き、また油分を溶かす性質があるため肌の「角質細胞間脂質(セラミド)」まで溶かしてしまいます。
これによって角質層が破壊され、3大保湿因子のバランスも崩れ乾燥肌の原因にもなるのです。
このような外部刺激を減らし、肌本来の保湿成分が保たれやすくなることで乾燥肌も改善されていきます。
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ニキビのできにくい肌に
ニキビは過剰な皮脂の分泌が原因のひとつですが、「肌断食」をし外部刺激を減らすことにより肌本来の保湿成分が保たれやすくなることで、肌は余分な皮脂の分泌をしなくなります。それにより、水分と油分のバランスが整うようになりニキビができにくい肌になっていくのです。
また、私達の皮膚には約20種類の「常在菌」がいて皮膚を守る働きをしています。化粧品に含まれる「防腐剤」はこれらの大切な菌まで殺してしまうのです。それによりカビや雑菌が繁殖してニキビが悪化するということも。「肌断食」をすることで「常在菌」が戻ってきて肌を菌から守ってくれます。
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シミが薄くなる
合成界面活性剤を使用することで、肌を外部刺激から守る働きをする「皮脂膜」が取り除かれ、「角質細胞間脂質(セラミド)」を溶かします。これにより「角質層」が破壊され「バリア機能」も失われシミができやすくなります。
バリア機能を失った肌には「合成界面活性剤」の他にも「防腐剤」や「酸化防止剤」などの化学物質がどんどん入り込んでしまいます。それらが「基底層」にまで入り込んでしまうことで「メラニン細胞」を刺激してシミの原因にもなるのです。
シミ対策にも使用される美白化粧品に含まれる合成界面活性剤などが肌への刺激となりよりシミを増やしていくこともあるようです。
今あるシミは完全に消すことは難しいですが、しっかりと肌本来の機能をとりもどしていくことでシミは薄くなりますし、出来にくくなっていくでしょう。
毛穴が小さくなりキメが細かくなる
肌の新しい細胞は「基底層」という部分から生まれています。その「基底層」で生まれた細胞が「角質細胞」となり、最終的には「アカ」として剥がれ落ちていきます。このことを「ターンオーバー」と呼んでいます。
「肌断食」をすることで肌本来の力を取り戻し、ターンオーバーが正常になることで、角質の入れ替わりもスムーズになり、キメが整ってくるのです。
肌状態によって効果の出やすさに差がある
効果がでやすい肌状態
肌断食の効果がでやすい肌というのは、今までにダメージをそれほど受けていない肌です。肌の機能がもとに戻りやすいため、効果もでやすくなります。
過度なスキンケアをしていない、肌状態が良い肌の場合は数週間で効果を感じられる場合もあります。
効果がでにくい肌状態
逆に今までに相当なダメージを肌に与えている場合は効果がでにくくなります。長期間にわたって過度なスキンケアをしている、しっかりメイクで日々肌を酷使しているという場合には肌の機能がかなり低下していますので、それを取り戻すのに時間がかかります。
肌断食を始めると、一時的に症状が悪化する場合もあります。これは好転反応によるものなので基本的には問題はありませんが、効果が出るまでに数年かかることもありますので根気良く続けていくことがとても大切になってきます。
「肌断食」をはじめると
最初は肌荒れを起こす
「肌断食」をはじめると、最初は乾燥して肌荒れをおこしてしまうという人がいます。特に念入りにケアしていた人ほど荒れやすい傾向にあります。
それは、今まで入念なスキンケアで水分や油分を補っていたものが突然にしてなくなって、肌がむき出しの状態になるからです。まだ、肌の機能が回復していないのにもかかわらず、今までスキンケアで補充されていた水分や油分ももらえないのでは肌が乾燥してしまうのも仕方がありませんね。
肌の機能を改善に導くために必要な過程ですので、ストレスにならない程度に我慢して乗り切りましょう。
肌荒れが酷い時はワセリンを塗る
それでも肌荒れがひどくて痒みまでともなう場合にはワセリンを塗ることで沈めることができます。ワセリンは石油を原料にして作られた鉱物油です。自然素材であり安全性も高いことから皮膚科でも処方されていますし、赤ちゃんのお肌にも使用することができます。
ワセリンには化粧品のように保湿成分が含まれていませんので、お肌を潤わせるというよりは、皮膚の上にバリアを張り外部刺激から守る、水分の蒸発を防ぐという目的で使用します。
ですので、たっぷり塗るというよりは手や指でのばして薄く塗るのがいいでしょう。その際、肌をこすらずにポンポンと乗せるように塗っていきましょう。また、ワセリンにも様々な種類がありますが、できるだけ純度の高いものを使用することをおすすめします。
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肌荒れが落ち着くと徐々に効果を感じる
肌荒れが落ち着いてくるということは、肌の機能が回復してきている証拠です。スキンケアで水分や油分を補わなくても肌自体が本来もっている力で保湿をおこない始めているということですね。
ここまでくる過程は人それぞれであり、効果を感じるまでの期間は個人差があるようです。数日〜数週間で効果を感じる人もいれば、数年かかる人もいます。気長に続けていきましょう。
「肌断食」する際の注意点
肌が荒れる場合がある
「肌断食」を始めると肌が荒れる場合があります。それはには「肌が良くなる前兆」の場合もあれば、「肌からのSOSのサイン」の場合もあります。
「肌断食」は良いも悪いも今までの習慣をひっくりかえし、新しいサイクルを作っていくという方法ですので最初のうちは肌もとまどうでしょうし、しっかり肌機能が回復するかどうかには他の要因も関わってきます。
肌がSOSを出しているのに良くなる前兆だと思い込んで処置しなければ取り返しのつかない事態になってしまうこともあります。もし肌荒れがひどくなり、自分で判断出来ない場合は、専門家に相談するなどして対処しましょう。
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肌が乾燥して老化を早める可能性がある
「肌断食」はスキンケアで保湿ケアをしないことで、あえて皮脂を分泌させ、肌本来の力で潤うことを前提としておこなわれます。「乾燥すると皮脂が沢山分泌する」という肌本来の働きを期待しておこないますが、20代後半になると、分泌される皮脂が段々少なくなってくるということがおこってきます。
これには個人差がありますが、この状態を放置することで乾燥が進行して老化を早めてしまうことがあります。肌に異常を感じた場合はできるだけ自己判断をせずに、専門家に相談をしながら注意深く進めていくことが必要です。
紫外線の影響をじかに浴びてしまう
完璧な「肌断食」をおこなうということは、メイクやUV対策もしないということになります。しかし、その状態で外出をすれば紫外線の影響をじかに浴びてしまうことになりますね。
紫外線はシミ、シワ、乾燥など肌へのダメージを与える外部要因の代表であり、極力避けたほうがいいものです。そのためにもUV対策は必要不可欠といえます。
肌質改善のためには長い時間が必要
「肌断食」は簡単に成果がでるわけではありません。身体の内側の機能が回復するためには、肌に刺激を与えないと言うことも大事ですが、そのほか精神的なストレスをためないことも大事ですし、もっと言ってしまえば睡眠や食生活にも気を配ることも必要になります。
数日では効果が出ないことが殆どですのであせらず、気長に根気良く続けることが大切になってきます。
紫外線の強い時期の「肌断食」は向かない
夏場の「肌断食」にはリスクがつきまといます。紫外線の強いこの時期は、「肌断食」中であってもしっかりした紫外線対策が必要となります。特に長時間外出する場合には、日焼け止めを塗れない状態では紫外線をふせぎきれないのも事実です。
おすすめなのは紫外線の強い夏が終わってから「肌断食」をはじめることです。そうすることで紫外線を浴びるというリスクが減らせますし、日焼け止めを塗らなければと焦ったり心配することも少なくてすみます。
元々肌の弱い人は注意
「肌断食」は肌を鍛えるのではなく、元々の力を取り戻すためのものです。元々肌が弱い方は「肌断食」をしたからといって元々の肌以上に健やかな肌になる可能性は少ないと考えます。
元々肌が弱い方は専門家に相談するなどして、必要な成分を補いましょう。
「肌断食」には大きく3つの種類がある
完全な「肌断食」
完全な「肌断食」とは、「メイクやスキンケアを一切使用しないようにする」ことです。いきなりすべてをやめてしまうと、乾燥や肌荒れなどの好転反応がおこってしまうため、徐々に使用する化粧品を減らしていき最終的には水洗顔のみの状態になるようにしていきます。
減らす順番は?クレンジング?クリーム?乳液?美容液?化粧水の順です。
それでも肌の汚れが酷い場合のみ石鹸で洗顔をしても大丈夫です。乾燥が酷い時のみワセリンを塗ることで水分の蒸発を防ぎます。それ以外は一切何もしないことです。
夜だけ「肌断食」
夜だけ「肌断食」とは、「昼間メイクをしなければならない方向けの方法」です。昼間は普通にメイクをし、夜の洗顔後は何もつけないというやり方になります。
この場合も徐々に使用する化粧品を減らすことで肌を慣らしながらおこないます。
より「肌断食」の効果を高めるためには、昼間使用するファンデーションに落としやすい成分の化粧品を使用する事です。ミネラルファンデーションやパウダリーファンデーションは石鹸で簡単に落とすことができるのでおすすめです。
週末「肌断食」
週末「肌断食」とは、「仕事の無い週末期間中はすっぴんで過ごす」という方法です。日焼け止めの使用を控えるため、外出しないと決めてすごします。
休み中はスキンケアもメイクも一切しませんし、洗顔もぬるま湯で洗うのみにします。肌がつっぱっても気にしないですごします。
自分のスタイルに合った方法ではじめる
「肌断食」はメイクやスキンケアに馴染みのある私達にとっては簡単なものではありません。いまやスッピンではコンビニへも、ゴミ出しにも行けない…。というほど、メイクは女性にとって不可欠なもの。
それでも、肌を本来の状態に戻したいと思うようであれば、無理せずできるところから初めてみるというのが一番です。生活スタイルや肌状態をみながら少しずつ取り入れていきましょう。
メイクをする時のポイント
クレンジングなしでも落とせるメイク
クレンジング剤はメイクを落とすためのものであり、非常に強い洗浄力を必要とします。そのため沢山の合成界面活性剤が含まれていますし、使用することで肌に多くの負担をかけることになります。
また、クレンジング剤を使用しないと落とせないメイクもそれだけ肌に負担がかかっている状態です。肌の負担を極力減らすためには洗顔料のみで落とせるメイクをすることが大切になってきます。
ファンデーションはミネラル系
ファンデーションはリキッド系を避けてパウダリー系のものを選びます。油分・界面活性剤不使用のパウダリーファンデーションかミネラルファンデーションがおすすめです。ブラシで薄付けすることでつけすぎを防げますね。
ミネラルファンデーションは鉱石が主成分で界面活性剤や防腐剤やタール色素が不使用ですし肌にとって安心ですが、モノによっては洗顔料だけでは落とせないものもありますので、洗顔料だけで落とせるか要確認することが必要です。
「肌断食」をしていると肌が乾燥したり、荒れることもあり、その状態ではファンデーションがムラになってしまうことがありますので、できるだけ軽いつけ心地のものを選んで自然に仕上げましょう。
ファンデーションが上手くのらない時は
「肌断食」をしてガサガサとした乾燥状態や肌荒れ状態のときには、ファンデーションがしっかりと密着しないことがあります。そんな時は乾燥している部分に軽くワセリンを塗ることで油分を補うことが出来ます。
その後、ファンデーションをのせることでワセリンの油分で潤って密着しやすくなります。
ここで注意すべきことは、ワセリンを厚く塗りすぎないことです。厚く塗ってしまうことでファンデーションの塗りムラにつながりますので、あくまでうっすらとポンポンと塗っていきます。
マスカラやコンシーラーは使わない
マスカラやコンシーラーはクレンジング剤がないと落とせないので、「肌断食」中は基本的に使用しません。ここぞと言う時にのみ使用するだけにして普段はナチュラルメイクですごしましょう。
こすらず落とせるポイントメイクは可
それでも、ファンデーション以外に何もしないのは少し寂しい印象になってしまいますよね。そんな時は油分・界面活性剤不使用のコスメでチークや口紅などであればポイントメイクも可能です。
洗顔だけで落とせて肌に負担がかからないのがうれしいですね。
「肌断食」中の洗顔について
基本はぬるま湯のみ
「肌断食」中でスキンケアもメイクも何もしていない状態であれば、基本的にははぬるま湯のみの洗顔で済ませます。洗顔の目的は、アカとなった皮脂やほこりや雑菌や汗を洗い流すことです。これらのすべてはぬるま湯のみで落とすことが可能ですのでこれで充分です。
基本は朝と晩の二回ですが、汗をよくかいた時や、大掃除などでほこりを沢山かぶったなど、状況により増やすことは大丈夫です。乾燥対策のために使用したワセリンが肌に残っていても、これについては害がないので無理に落とす必要はありません。
石鹸を使う場合は純石鹸を
洗顔をするときは肌にやさしい「純石鹸」を使用します。「純石鹸」は界面活性剤などの化学物質を使用していない刺激の少ない石鹸で「無添加石鹸」とも呼ばれています。泡立ちも良く、肌に残りにくいため肌への負担がすくなく済みます。
メイクをした日のみ石鹸を使う
「純石鹸」は肌に優しく刺激の少ない石鹸ですが、メイクをした日にのみ使用するようにします。「肌断食」ではぬるま湯洗顔が基本ですので普段は使わないことが原則です。
石鹸を使う場合はしっかり泡立てる
石鹸はよく泡立ててから泡でマッサージするように使用します。泡立てて使用することで手の平がじかに肌に触れることを防ぎ、摩擦によっての刺激も防止できます。
決して擦らないことを意識して、また肌に泡が残らないようにすすぎは念入りにおこないましょう。
「肌断食」中の紫外線対策
日焼け止めは塗らない
「肌断食」の基本は肌になにもつけない事であり、日焼け止めも例外ではありません。日焼け止めには紫外線吸収剤が入っており、これが肌に負担になってしまいます。
それでも長時間外出している場合は日焼け止めが必要な場合もあります。
どうしても塗る場合は、ワセリンベースか紫外線吸収剤不使用のもの、石鹸で落ちるものを選んで肌の負担を極力減らすようにしましょう。赤ちゃん用の日焼け止めもNGです。
また最近では飲む日焼け止めもありますが、これも100%日焼防止効果があるものではありませんので補助的に使うようにしましょう。
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日焼け止めの紫外線吸剤不使用とは。違いを知って紫外線対策をしよう
日焼け止め成分配合のパウダーを塗る
ミネラルファンデーションやフェイスパウダーには日焼け止め成分が含まれていますのでちょっとした外出であればこれらを使用するのがおすすめです。これらのファンデーションは洗顔だけで簡単に落とせますし、肌への負担を最小限にとどめることができます。
日傘や帽子を使用する
日傘やサングラス、帽子、サンバイザーなどをうまく活用することである程度の紫外線を防ぐことが可能です。活用できるものは積極的に取り入れて極力紫外線を浴びないように注意しましょう。
「肌断食」で肌本来の強さやみずみずしさを取り戻す
「肌断食」は成功すれば「何もしなくてもみずみずしく潤った肌」を取り戻させてくれます。そして女性にとって潤った肌は自信につながるでしょう。
しかしまた、一朝一夕でできるものではないのも事実です。成功させるには、肌の状態を観察してそれに対処するということを根気よく続けることが大切になってきます。
最初から本格的な「肌断食」をするのもいいですし、自分に合った方法で取り入れていくのも手のひとつです。ストレスを溜めず、楽しみながら実行するのが成功の秘訣といえるでしょう。