目次
乳首にできる白斑の原因
育児中に起こる母乳のつまり
授乳期間中、乳首に白斑ができることがあります。これは、赤ちゃんが十分に母乳を吸わないことなどが原因で、母乳が残り、乳腺の出口が白い栓として詰まった結果です。何もしなければ痛みを感じない場合が多いですが、赤ちゃんに吸われると痛みを伴うこともあるようです。
繰り返しやすい元々の体質
つまっている白斑の原因が、母乳ではなく汗ということもあります。汗腺は、乳首にも存在しており、元々の体質によって汗腺が詰まりやすい構造をしている場合、タンパク質が混ざり、白濁した汗がつまった結果、白斑となってしまいます。
乳腺が細い
生まれつき乳腺が細い人は、母乳の通りが悪くなりやすいため、詰まりやすい傾向にあります。母乳育児をしていると、かかる可能性があるのが乳腺炎。乳腺炎になったことがある方は、乳腺が細い可能性があります。
しかし、乳腺炎になったことがなくても乳腺が細い方もいることでしょう。乳腺が細いのかどうかは、自分ではわからないことも多いため、産後に乳腺外来などで聞いてみるとよいでしょう。
ホルモンの異常
妊娠中は、プロゲステロンというホルモンが、母乳が出るのを抑制。産後はこのホルモンが激減し、母乳が出るようになります。
その他、産後主に分泌されるのは、母乳を生産するプロラクチン、母乳を乳腺の奥から出口近くまで運ぶオキシトシンというホルモン。これらのホルモンのバランスが正常になっていないと、母乳が出すぎて、詰まりやすくなることがあります。
ピルなどの薬の影響
授乳期ではないのに、乳首に白斑ができる場合、異常乳頭分泌である可能性が高いです。この症状は、経口避妊薬であるピルや、抗うつ剤、胃薬などを長期服用した場合にみられ、白い分泌液が出ることもあるようです。
精神的・肉体的ストレス
授乳期は、夜も数時間起きる必要があり、オムツ替えや泣き止まない赤ちゃんの対応で、精神的にも肉体的にもストレスが多い期間。ストレスが多いと、血液の循環を調節する自立神経が乱れ、血液の流れが滞りやすくなります。
母乳は、血液から作られるため、血液が滞ると母乳の流れも滞り、乳首の白斑となることに。
身体が冷えやすい
乳腺のまわりにはたくさんの毛細血管が張り巡らされ、血液の栄養が乳腺に運ばれ、母乳となります。そのため、身体が冷えて血液の流れが悪くなると、母乳の流れも滞り、白斑になることも。冷え性の人は白斑ができる可能性が高いため、注意が必要です。

乳首の白斑に伴う症状
胸が張る
母乳が過剰に作られて乳首に白斑ができた時というのは、水がたくさん出るホースの出口を塞いでいるようなもの。乳腺には大きな圧がかかり、胸が張る感覚に襲われます。
放っておくと、新たに作られた母乳でさらに圧が大きくなり、張りが強く、痛みを感じることも。授乳しても白斑が取れない場合は、乳腺外来へ行く必要があります。
白い分泌液が出る
白斑ができていても、乳腺の出口が完全にはふさがれていない場合、白斑からわずかに母乳が染み出ることがあります。白斑ができている乳腺は、母乳がつまって圧力が大きくなっているため、常に母乳でパンパン。そのため、白斑の中のわずかな隙間から、母乳が少しずつ染み出してきます。
この状態の場合、早期に対処すれば、乳腺炎を防げる可能性が高くなります。乳腺外来で、胸のマッサージをしてもらうことで、白斑が母乳に押し出されて取れ、乳腺の出口が開通することが期待できます。
痛みやかゆみがある
胸にチクチクとした痛みやかゆみが生じてくると、母乳が乳腺に溜まり過ぎて炎症が起こる、急性うっ滞乳腺炎や、乳頭から入った細菌が原因で乳腺内が化膿する、化膿性乳腺炎が発症し始めている可能性が。
炎症がひどくなると、胸が腫れあがったり、高熱が長く続くこともあるため、チクチクとした痛みやかゆみといった初期症状が出てきた段階で乳腺外来へ行くことをおすすめします。
水疱になることもある
乳腺の出口に細菌が増えると、そこに炎症が起きて水泡になることがあります。水泡が破れた場合、そのままにしておくと、細菌が繁殖し、化膿性乳腺炎になることも。
水泡ができてしまったら、なるべく清潔に保ち、早めに乳腺外来に行きましょう。
胸にしこりができる
乳腺の出口が塞がって白斑ができると、新たに作られた母乳が行き場を失い、乳腺内に溜まってしこりとなることが。白斑が小さいと気付かないことがありますが、胸のしこりを確認することで、母乳のつまりを発見できます。
授乳前後に胸をいろいろな方向から触ってみて、しこりがないかチェックするとよいでしょう。

授乳中に関わらずに行いたい予防
見て触ってチェックする
胸や乳首は、日常生活では隠している部分なので、じっくりとチェックすることは少ないかもしれません。乳首を見る習慣をつければ、早期に白斑に気づくことができます。また、触診することで、しこりの有無を確かめることもできます。
しこりがある場合、最悪の場合は乳がんの可能性も。乳首のひきつれや、へこみ、乳首から分泌液が出たり、しこりがその場から動かず、ぐりぐりと硬いという症状でも確認できるため、着替えやお風呂に入るときなど、決まった時間に視診触診を習慣づけるとよいでしょう。
お風呂で垢のお手入れ
胸や乳首は、汚れている印象が少ないため、お風呂で丁寧に洗う人はあまりいないかもしれません。しかし、普段ブラジャーで覆われている分、実は汗をかきやすく、汚れが溜まりやすい場所です。
きちんと洗わずに済ましていると、垢が残り、黒ずみの原因にも。乳首はデリケートな部分で、傷つきやすいため、よく泡立てたボディーソープで包むように洗いましょう。頑固な垢は、それだけでは落ちにくいため、湯船にゆっくりと浸かって垢をふやかした後、タオルで優しくふき取るのも効果的です。
定期検診や乳がん検診を受ける
乳首に白斑がある場合、まれに乳がんが原因のことがあります。乳がんは、日々の触診でも確認できますが、初期の段階の小さなしこりは気づきにくいもの。乳がん検診をうけることで、初期の小さなしこりを見つけることができれば、早期に対応が可能です。
また、白斑や母乳が過剰に出ることの原因として、甲状腺異常の可能性があります。自分で判断することは難しいため、定期的に検診を受け、異常がないか確認することが大切です。
飲み物で身体を温める
身体の冷えは、血管を収縮させて血行不良を起こすだけでなく、免疫力を低下させ、さまざまな病気を招きます。体温が1度上がると、免疫力が5~6倍上がると言われており、ガンなどの病気を防ぐこともできます。
身体を温める簡単な方法としては、温かい飲み物を飲むこと。普段から冷たい飲み物を好む人は、意識して、なるべく温かい飲み物を選ぶようにしましょう。紅茶を飲むときなど、生姜を入れると、さらに体がポカポカと温かくなります。
湯船に浸かり血行を良くする
仕事で疲れているからといって、シャワーだけで済ましていると、ストレスと疲れで収縮した血管はそのままになり、冷えやすい身体に。湯船に浸かり身体を温めることで、血管が拡張し、血行がよくなります。
その際、お湯の温度は39~40度がおすすめ。それ以上高いと、熱くてすぐに湯船から出たくなってしまうため、身体の表面しか温めることができません。少し低めの温度で、時間をかけて湯船に入ると、身体の芯まで温まり、すみずみまで血管が拡張されます。
食生活を見直す
高塩分、高脂肪の食事は、授乳中は母乳を詰まりやすくさせ、そうでない場合も、血液をドロドロにするため、心筋梗塞や動脈硬化になることも。
塩分、脂肪分控えめの、和食中心の食生活を心がけましょう。根菜、海藻、青魚などは、血液をサラサラにする効果があるため、これらを積極的に取り入れることで、母乳の流れをスムーズにしたり、病気の予防にもつながります。
疲れを癒しリラックスする
疲れやストレスが溜まると、血管が収縮し、血行が悪くなるため、身体が冷えて免疫力が低下。また、自律神経が乱れ、ホルモン分泌が正常に行われなくなるため、ホルモン異常の病気になる可能性もあります。
日々の疲れを溜め込まないようにするため、リラックスする時間を大切にしましょう。リラックスすることで、血管が拡張し、血行がよくなります。自律神経も安定し、ホルモン異常になりにくい身体になるでしょう。
良い睡眠をとる
睡眠不足になると、乳がんのリスクが高まることも。これは、ガン細胞を抑制するホルモンの分泌が低下するためです。また、睡眠不足は免疫力を低下させるため、さまざまな病気になりやすい身体に。
寝る前に心配ごとをしたり、テレビやパソコン画面を夢中で見ていると、眠りが浅くなり、十分に疲れが取れない可能性があります。ゆったりとリラックスした気持ちで眠りにつき、良質な睡眠をとりましょう。

授乳中に白斑を予防できる乳首のケアの仕方
乳首周りを清潔に保つ
白斑のできる原因の1つに、乳首の汚れがあります。母乳の残り、皮脂などが乳首に付着し、拭き取らないままにしておくと、乳腺を防いで白斑となってしまう可能性が。雑菌がある場合、炎症を起こして水ぶくれになることもあります。
そこで、乳首周りは、清浄綿で清潔にしておきましょう。清浄綿は、脱脂綿に低濃度の消毒液を染み込ませ、滅菌したもの。アルコールは含まれていないので、赤ちゃんの口が触れる乳首に、安心して使用できます。
正しい授乳方法を知る
授乳の際、赤ちゃんが乳首の先端だけ口に入れた状態では、十分に母乳を押し出すことができないため、乳首に母乳が溜まって、白斑ができることがあります。正しい吸わせ方は、赤ちゃんの口が、乳首を含む乳輪全体をくわえた状態。
赤ちゃんは舌を動かして、母乳を押し出し、十分な量を飲むことができます。
乳頭吸引器を利用する
陥没乳頭の場合、乳首がへこんでいるため、赤ちゃんの吸い方が正しくても、十分に母乳が吸えないことがあります。この場合は、乳頭吸引器を利用すると効果的です。
乳頭吸引器は、さまざまなものがありますが、どれも、へこんだ乳首を吸引で引っ張り出すものです。初めて使うときには多少痛みを伴いますが、短い時間で何度か行うことで慣れてきて、乳頭が次第に出てくることが期待できます。そうすることで、赤ちゃんが母乳を十分に吸うことができ、母乳の詰まりを防いでくれます。
離乳食が始まる時期に注意
離乳食が始まる頃になると、授乳の回数が減少。1日2回食ともなると、赤ちゃんは食事から栄養をたっぷりと摂取することができるため、あまり母乳を欲しがらなくなってきます。ところが、それまで頻繁に授乳していたため、母乳はいつも通り作られるため、つまりやすくなってしまいます。
卒乳や断乳をしたとたん、乳腺炎になるという人も多いようです。そうならないよう、離乳食が始まって授乳回数が減ってきた頃から、乳首や胸の様子を確認し、少し異変を感じたら乳腺外来へ行くことをおすすめします。
時々抱き方を変える
赤ちゃんをいつも同じ向きにして母乳を飲ませていると、乳首にある多数の乳腺のうち、一部の乳腺だけから母乳を飲ませてしまうことに。すると、使われない乳腺は、いつまでも母乳が残り、詰まりやすくなってしまいます。授乳のたびに、赤ちゃんの向きをかえると、全ての乳腺から母乳が吸われて、詰まりにくくなります。
最も一般的な抱き方は、赤ちゃんの頭とおしりを手で支えるフットボール抱き。クッションを利用して、赤ちゃんの口元を乳首の高さに合わせで授乳します。赤ちゃんが吸う角度を変えたり、左右の偏りなく授乳しましょう。
乳首のケアにおすすめのアイテム
シーオーメディカル ホスピピュア
ホスピピュアは、黒ずみの原因メラノサイトを活性化させる「刺激因子」の働きを阻止する「トラネキサム酸」配合の薬用クリームです。
乳首だけでなく、わきやひじ、Vラインなどのデリケートなところの黒ずみ、顔のくすみ・シミで悩んでいる方も使用できます。
べっぴんボディ バージンホワイトセラム
ノンパラベン、無合成色素の無添加処方のため、デリケートなお肌にも安心して使用することができます。ベタつかないクリーム状なので服につく心配もありません。ニキビ跡の黒ずみケアにもおすすめです。
自分でできる白斑や乳首トラブルの改善の仕方
授乳中ならばとにかく赤ちゃんに飲んでもらう
乳首に白斑ができても、初期の段階であれば焦らず、まずは赤ちゃんにどんどん飲んでもらいましょう。母乳が一部詰まって十分に出てこないと、赤ちゃんは、より一生懸命吸おうとします。
赤ちゃんの吸う力は強いため、何度か飲んでもらっているうちに、いつの間にか詰まりが取れて、白斑が無くなったということもあります。
授乳後の残った母乳を搾乳
授乳後、まだ母乳が多く残っている場合、そのままにしておくと母乳が古く粘性をもち、乳腺内で詰まりの原因になります。このような場合は、残った母乳を搾乳しましょう。
ただ、搾乳のしすぎは注意が必要。頻繁に搾乳すると、母乳がもっと必要だと身体が思い込み、さらに母乳が作られてしまいます。搾乳は、母乳の残りがひどく気になる場合だけにしましょう。
外出時以外はノーブラ
一般的なブラジャーは胸を圧迫するため、授乳中につけると、母乳の通りを悪くします。その結果、母乳がつまり、白斑となる可能性も。外出時以外は、ノーブラか、授乳用のブラジャーなど、胸を圧迫しないものをつけましょう。
優しくマッサージする
基底部と呼ばれる胸の土台には、乳腺へ通う血管が通っています。そのため、基底部をマッサージすることで、血液循環がよくなり、母乳の流れもスムーズに。
マッサージを強く行うと、乳腺組織を傷めてしまうため、力加減に注意が必要です。胸や乳首を傷つけないように爪を切っておき、乳首から細菌が入らないよう、よく手を洗ってから行いましょう。

病院の診察受けるべき症状と気を付けたい病気
不快な臭いがある
乳首から分泌物がある場合、その臭いを確認してみましょう。不快な臭いの場合、乳首にある乳腺あるいは汗腺に黄色ブドウ球菌を中心とした細菌が増殖し、炎症を起こして、化膿していることが考えられます。
これらの細菌は、どんな人にも存在する常在菌のため、通常は特に悪さはしません。ところが、授乳期間で乳首が乾燥しやすかったり、疲れやストレスで免疫力が低下していると、増加して炎症を起こします。
分泌物に血が混じる
分泌物に血が混ざっている場合、早急に治療が必要な病気の場合が多いことも。薄い赤色の場合は乳腺炎の可能性があり、薄い赤色、茶色っぽい色、黒い色の場合は、乳管内乳頭症という乳管内の良性腫瘍、あるいは最悪の場合乳がんの可能性があります。
分泌液の量は問題ではなく、量が少なくても血が混ざっている場合は、病気の可能性があります。なるべく早く病院で受診しましょう。
我慢できない痛み
乳首や乳房が少しチクチクと傷む程度であれば、プロゲステロンというホルモンの作用で、乳腺が発達しているためだと考えられます。授乳前後のツーンとした軽い痛みは、オキシトシンというホルモンの作用で、母乳が押し出されているためで、問題ありません。
しかし、我慢できないほどの痛みであれば、病気である可能性が高いため、早期に病院で診てもらう必要があります。
乳腺炎の恐れ
胸にしこりがあって痛みを感じる、胸が張って痛い、熱をもっている、といった症状の場合、乳腺炎の恐れがあります。炎症を抑えるため、冷たいタオルや冷却シートなどで胸を冷やすと、痛みが楽になることも。
高熱が1週間続くこともあるため、症状に気づいたら、なるべく早く病院で受診しましょう。

女性だからこそ乳首に気を配りたい
乳首は、普段じっくりと見ることが少ないため、その変化に気付きにくい部分です。授乳中ともなれば、赤ちゃんの世話で忙しく、白斑や分泌物に気づくのが遅くなる場合が多いでしょう。
しかし、白斑や分泌物がある場合、ホルモン異常、乳腺炎、乳がんなどの病気になっている可能性があるため、早急に病院での受診が必要です。また、身体を冷やさないようにしたり、乳首を清潔に保つなど、日常的にケアすることも大切です。