目次
漢方とはどんなもの
漢方による治療
漢方は1つの病気だけに効果があるだけでなく、さまざまな身体の不調を緩和することができる治療法です。つらい症状を緩和するだけでなく、身体のもつ本来の自然治癒力を高めたり、病気に対する免疫力を上げる効果を持ち合わせているのです。
また、肌荒れの症状が起きるのは「水」や「血」が不足することが原因とも言われてます。つまり、皮膚にとって大切な成分である栄養や水分を供給する機能が低下して、血液が上手く身体の中を巡っていない状態です。漢方の力で身体の内側からケアをし、肌荒れやニキビ、湿疹などを起こしにくい体質に改善させていきましょう。
漢方の魅力
漢方は自然の生薬が成分です。代表的なものでは「ショウガ」がありますが、こちらはスーパーなどで簡単に手に入りますね。身体を温める効果があるので冷え性の方におすすめです。血行が良くなり、ダイエットや美肌効果もあるのがうれしいですね。このように、漢方は身体のさまざまな症状を緩和させ、効き目が穏やかに作用していくので、体質を根本から改善させることができるのです。
また、漢方治療を行っている病院や薬局では、個人個人の持つ体質に合わせて、自然の生薬を調合してもらえるので、とても安心ですね。
病院でドラッグストアでも入手可能
病院では、西洋薬の飲み薬や塗り薬と合わせて漢方が処方されることが多いのですが、ドラッグストアの漢方のコーナーでも手に入れることが可能です。今は漢方薬局という、漢方の知識が豊富な薬剤師がいる薬局も増えてきていますので、自分の肌の気になる症状を相談しながら購入するのがベストですね。
市販で売られている中では、ツムラやクラシエから出ている漢方が一般的ですが、他にもコタローというメーカーの漢方もよく店頭に置かれています。
誰でも安心して飲める
漢方は子供から大人まで、安心して服用できるものです。ただし、子供の場合は、漢方の専門家とよく相談して、年齢に合った適量を調合してもらいましょう。また肌荒れを改善するための漢方も、個人の体質によって向き、不向きがあります。自分の体力が「ある」のか「ない」または「中くらい」なのか、そこをきちんと把握していなければなりません。
体質そのものを改善する漢方
漢方は、飲んですぐに肌荒れが治るというわけではありません。肌が荒れにくい体質に徐々に導いていくという感じです。飲み始めて二週間くらいは、しばらく様子を見るように言われることが多いと思います。すぐに肌荒れが改善されないからといって、途中でやめたり、量を多く飲んだりすることは絶対にやめましょうね。体質を根本から改善するには時間が必要なのです。
また、漢方のメリットは西洋薬との併用が可能なので、飲み合わせが悪いということはありません。
漢方が効果を発揮する3つの肌トラブル
ホルモンバランスの乱れ
不規則な生活や環境の変化やストレス、生理によって、女性の身体はバランスを大きく崩してしまいがちです。特に「エストロゲン」と「プロゲステロン」の二種類のホルモンが、女性の身体に影響を常に与えています。このホルモンの分泌量がバランスを崩すことで、肌荒れだけでなく、生理痛、不眠など、身体にさまざまな悪影響を及ぼすのです。
漢方はこういったホルモンバランスを整える効果を持っていますので、服用することで肌トラブルの改善に導いてくれます。
▼さらに詳しい解説はこちら
エストロゲンの作用。ホルモンの増減による体の変調や、妊娠について
血行不良
漢方は血の巡りを整えて、身体を温める効果がとても高いので、冷え性でお困りの方には大変強い味方です。西洋薬では、身体を温める薬は存在しないので、漢方で冷えが改善できるというのはうれしいですね。身体に大きな負担がかからずに体質改善ができるのは、漢方の持つ大きな特徴です。
また血行促進の効果もあり、身体全体の調子を整え、貧血の改善にも期待が持てます。血流がよくなることで、酸素をたくさん含んだきれいな血液が身体の中に流れ、肌のターンオーバーが正常になり、肌荒れにとても効果があります。
乾燥
スキンケアは十分に気を配っているはずなのに、乾燥肌が治らない、肌がカサカサしていて、いつもうるおいが足りない、ニキビができやすいなどの症状が続くという方は、身体の内側に目を向けてみましょう。
乾燥肌といっても、症状も原因も皆同じというわけではないので、複数の生薬を組み合わせ、個人個人に合わして調合してもらえます。自分の肌のための漢方が作れるので、オーダーメイドな治療が実現されますね。
漢方は体力に合わせて選ぼう
漢方を選ぶ時には、やはり個人個人の体力の強さを元に判断することが大切です。体力がある人、体力がない人とでは漢方の効き目に大きな違いが出てくるのです。体力のある人は、比較的体つきがガッチリしている、冷たい飲食を好み、食欲もあって早食いである、などです。
一方、体力がない方は体型が華奢、温かい飲食を好み、風邪を引きやすいということで、ある程度の判断をつけていきます。こちらのどれにも当てはまらない方は、体力が中くらい、とうことになります。自分はどの程度の体力があるのか、漢方を処方してもらう前に、漢方の知識のある専門家に相談しましょうね。
体力がない人の肌荒れに効く漢方
ニキビには当帰芍薬散
生理の前や体調不良のときにできやすいニキビ。女性はホルモンバランスを崩しやすいので、大人になってからも吹き出物が現れたりします。
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)は古代から女性特有の症状である、ホルモンバランスの乱れによる生理不順、身体の冷え、ニキビ、吹き出物にとても効果を発揮する漢方です。皮膚科でも西洋薬と一緒に当帰芍薬散を処方されることが多いです。
主に体型が華奢で痩せていて、体力がない女性に対して有効とされています。血行促進作用もあるので、肌のターンオーバーを正常にし、肌荒れを緩和することができます。
湿疹かゆみには当期飲子、温経湯
当帰飲子(トウキインシ)は、湿疹により、肌がカサカサしてかゆみの症状がある方、一年中肌が乾燥している方などに処方されます。身体の組織に栄養を補給する「血」(ケツと読みます)をベースとした生薬にかゆみを止める効果の高い生薬を配合。肌にうるおい成分も与えてくれる漢方です。
また温経湯(ウンケイトウ)は、血流を良くして身体を温め、肌にもうるおいを与える効果だけでなく、手湿疹(主婦湿疹とも呼ばれます)ができやすい方に処方されます。特に、主婦や飲食店業務の方は水を使った仕事が多いので、手が乾燥してひび割れがおきやすくなります。温経湯は乾燥によるかゆみの改善率がとても高い漢方です。
体力が中くらいの人の肌荒れに効く漢方
ニキビには荊芥連翹湯
荊芥連翹湯(ケイガイレンギョトウ)は、化膿したニキビに良く効くと言われています。炎症を伴う赤ニキビや、ニキビができた後の赤みにも多く処方されています。
配合されている生薬の中の、オウゴンとカンゾウが肌の炎症を抑え、オウバクという生薬がニキビの原因となるアクネ菌を殺菌してくれます。また、キキョウが化膿したニキビの膿を排出、センキュウは肌のターンオーバーを促進させ、ニキビ跡の回復を助ける働きを持っています。
漢方は穏やかに効いてくるので、完全に治癒するまでには4週間くらいの期間は必要とされますが、西洋薬の塗り薬と併用することで、ニキビの治癒も早まりますよ。
湿疹には消風散
消風散(ショウフウサン)は湿疹の他に、水虫やアトピー性皮膚炎のような、かゆみを伴う皮膚疾患に効果があるとされています。こちらは、カサカサとした乾燥性のかゆみではなく、ジュクジュクした分泌液が出るような方に多く処方されています。また、抗アレルギー作用も確認されているので、皮膚疾患でお悩みの方の体質改善に役立っています。
セッコウやチモという生薬が皮膚の炎症を抑える作用があり、ソウジュツやモクツウが皮膚のジュクジュクした分泌液を改善させます。その他にも9種類の生薬が配合されていて、これらが合わさることで皮膚疾患の症状を和らげることができるのです。
体力がある人の肌荒れに効く漢方
ニキビには防風通聖散、清上防風湯、桂枝茯苓丸料加薏苡仁
体力がある人向けの漢方の中では、防風通聖散(ボウフウツウショウサン)が、思春期の頃に発生する重度のニキビに効果があるとされています。また肌荒れを防いで、美肌効果も期待できます。身体の中に潜む熱毒を外に排出させて、肌のターンオーバーを促すので、内側から美しい肌を取り戻すことができます。
清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)はニキビの炎症を抑えて、皮膚疾患の根本的な原因を取り除いてくれる作用を持ちます。12種類もの生薬が配合されていて、体力がある若い人、つまり思春期独特のニキビに良く効くとされています。
桂枝茯苓丸料加薏苡仁(ケイシブクリョウガンヨクイニン)は長い名前ですが、6つの生薬が調合された漢方です。この中の生薬であるヨクイニンは、ハトムギから作られたもので、身体の中の老廃物を外に出し、血流が良くなり美肌効果もあります。こちらは青っぽいニキビができる方に効果があるようです。
湿疹には黄連解毒湯
肌に炎症が起きている湿疹に、黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)が効果があります。ジュクジュクとした滲出液が少ない場合や、乾燥性タイプのアトピー性皮膚炎にも用いられています。
また、オウレン、オウゴン、オウハク、サンザシの生薬が体内の余分な熱や炎症を抑える効果があるので、ニキビの治療もできます。虚弱体質や冷え性の方には向かない漢方なので注意しましょう。
漢方を服用するときの注意
一時的な副作用が出ることがある
漢方を飲み始めたときに気を付けなければならないことですが、まれに副作用が見られることがあります。身体に優しく、穏やかに作用する漢方ですが、飲みなれていないと胸やけがおきたり、胃の不快感が現れることがあります。
もしそのような症状が出てきた場合には少し様子をみて、治まらないようであれば必ず医師に相談をしましょう。漢方もお薬の1つです。選んだ漢方が体質に合わなかったりする場合も考えられますので、くれぐれも自己判断での服用は避けましょうね。
健康管理士・医療美容コンサルタントの滝沢日花里です。漢方で肌荒れの改善は聞きなれない方も多いかもしれません。一般的な肌荒れの治療には西洋薬のイメージが強いと思います。私の経験上ですが、肌荒れが酷い方は内臓が弱っている事も多く、薬の副作用が強く出る方もいらっしゃいました。ただし、漢方も例外ではありません。多くは食間(食後2時間)食前(食事30分前)を指示されますので、人によっては胃部不快感等の副作用が出ます。何故、食前や食間が推奨されているかと言いますと、空腹時は漢方薬の主な有効成分の吸収が速やかになり、一部の効果の激しい有効成分の吸収は穏やかになるからです。生薬の吸収を良くして早く効かせる、そして一部の作用の激しい生薬を穏やかに効かせる為なんです。
実際はいつ飲んでも大きな問題は起きないと言われておりますので、
副作用が出た場合は速やかに医師へご相談下さい。
気を付けて頂きたいのは、複数の漢方薬を併用している時です。生薬の成分が被ってしまい、1日の常用量を超えてしまう事があります。漢方に限らず、服用しているお薬がある場合は事前に医師へ伝えましょう。お薬手帳があるとより良いです。
尚、効果が出るまでには時間が掛かりますので、独断で止めたりせず、様子を見ながら継続して服用する事を心掛けましょう。
漢方は続けることによって結果が出る
漢方は飲み続けることによって効果が発揮できるものです。西洋薬のように、飲んですぐに症状が治まるというものではありません。ただし、風邪のときに使用される漢方で葛根湯(カッコントウ)など、すぐに効果がでるものもあります。
肌荒れやニキビなどに用いられる漢方は、体質改善をして美肌に導くためのものです。ゆっくりと穏やかに効いてきますので、最低でも3ヶ月は継続して服用することをおすすめします。
なるべく空腹時にのむ
漢方を服用するときには、なるべく空腹の時に飲みましょう。食間やご飯を食べる30分前くらいが理想的です。食後に服用してしまうと、腸内細菌によって漢方の成分が身体に吸収されにくくなってしまうのです。
もし、漢方を服用していて、胸焼けや胃がむかむかする場合が続くようであれば、食後に服用すると症状が治まることがあります。
漢方は身体の不調を整えてくれる
漢方は自然由来からできた生薬で、穏やかな効き目でゆっくりと心身のバランスをとってくれます。また肌荒れを解消してくれるだけでなく、身体の不調も一緒に整えてくれます。つまり、自分の体質を改善することで、肌のトラブルを根本的に解消してくれるという強い味方なんですね。また、将来起こるかもしれない身体の不調を防ぐ力も持っています。あなたも漢方の力を借りて、美しい健康な肌を手に入れましょう。