目次
日焼け止めの成分2種類の違い
紫外線を吸収し熱に変換することで肌を守る紫外線吸収剤
外線吸収剤は、成分自体が紫外線を吸収することで、肌の上で化学反応をおこし、紫外線を肌に浸透させないタイプになります。肌に接した部分で化学反応をおこしているため、肌の弱い方ですとかぶれなどの症状が出てしまいます。
最近は刺激が抑えられた製品も出ていますが、心配な場合は、二の腕の内側などでパッチテストを行ってから広範囲に使用してください。
紫外線吸収剤は、紫外線を防ぐ効果が高いため、高SPF製品の多くに配合されており、化粧水やジェルなどの白浮きせずさらっとした使い心地の日焼け止めが多いのが特徴です。
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紫外線吸収剤が肌を乾燥させる原因に?日焼け止めの失敗しない選び方
紫外線を反射させ肌へ届くのを防ぐ紫外線散乱剤
紫外線散乱剤は、紫外線吸収剤とは違い、紫外線を反射・散乱して物理的に肌に届くのを防ぐタイプになります。紫外線が肌に届かないしくみなので肌への負担が少ないのが特徴ですが、紫外線散乱剤の多くは白浮きやべたつきなど、使い心地に多少の難点があります。
なお、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤はそれぞれ個別に使われることもありますが、2種類とも配合されている日焼け止めもあります。
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日焼け止めの紫外線吸剤不使用とは。違いを知って紫外線対策をしよう
SPF、PAの見方
防御力を示すSPF
SPFは、紫外線B波(UV‐B)を防ぐ値で「SPF10~50+」と表示され、数字が大きいほど効果が高くなります。UV‐Bは、肌表面(表皮層)で肌が赤くなる日焼け「サンバーン」をおこす紫外線で、過剰に浴びるとメラニン色素が作り続けられてしまうため、シミやそばかすの原因となります。
SPF値は、数値が大きいほどサンバーンまでの時間を遅らせることができ、目安として20分×SPF値と言われています。つまり、SPF10だと200分(3時間20分)、SPF35なら700分(11時間40分)延長できることになります。
これはあくまで目安であり、時間経過や塗布量による効果減少や、通常時の日焼けスピードに個人差もあるので絶対ではありません。
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日焼け止めのSPFとPAって何?理解して使って美肌を保つコツ
防止効果を示すPA
PAは、紫外線A波(UV‐A)を防ぐ値で「PA+~PA++++」と表示され、+の数が多いほど効果が高くなります。UV‐Aは、UV‐Bで生成されたメラニン色素を酸化させて黒く変化させてしまうほか、UV‐Bより波長が長く皮膚の真皮層まで届くため、コラーゲン繊維に影響を与えシワやたるみの原因となります。また窓ガラスや雲にも遮られることなく降り注ぐため、室内や曇り・雨の日でも油断はできません。PA値は、+が増えるほどUV‐Aの防止効果が高くなり、色素沈着までの時間を遅らせることができます。
UV‐Aのダメージは、蓄積されて数年後に症状がでてきます。すぐに症状が出るサンバーンとは違い目に見えにくいですが、シミ・シワ・たるみなど肌の老化現象が気になる方は、PAを重視して選ぶのもよいでしょう。
SPF、PAの数値が高ければいいのか?
SPF値の違うものを使い分ける
日焼け止め効果を求めて、SPF値が高いものを選んでしまうと肌への負担が増えてしまいます。面倒に感じるかもしれませんが、シーンに合わせて使い分けて効率よく美肌を目指しましょう。
以下は目安です。
・SPF10~20:洗濯や近所への買い物など短時間
・SPF20~40:屋外で過ごす時間が長くなるとき
・SPF40~50:炎天下でのレジャー・スポーツ
日焼け止めの効果的な塗り方
化粧水を塗る
まず肌を整えましょう。日焼け止めの成分は、紫外線から肌を守ってくれますが肌を乾燥させてしまう成分も含んでいます。日焼け止めはしっかり塗ったから紫外線は防げていると思っても、肌が乾燥したために肌のバリア機能やターンオーバーが機能せず、シミやシワ・ニキビができてしまうこともあります。
保湿は、肌の状態を健やかに保つためにとても大事なことです。特にSPF値の高いものを使う時には、乾燥させる成分が多くなりますので念入りに保湿するようにしましょう。
ムラなく伸ばす
メイクのファンデーションも同じですが、ムラはよくありません。塗り残しやムラがあったら、そこだけ日焼けして恥ずかしい思いをすることになりますよね。
ムラをなくすコツは、丁寧にやさしく塗ることです。具体的には、肌が潤っていること・日焼け止めが分離していないこと・力を入れすぎないこと・何回かに分けて塗ることが大事です。
肌が乾燥していては、伸びが悪くなるのでムラになりがちですし、日焼け止め成分が分離しているとその時点でムラになるのがわかります。肌になじむ前に力を入れて塗るとヨレてしまいます。何回かに分けて塗ることは基準量を塗るために必要で、少しずつなじませることでヨレることなく重ねられるのです。
またメイク前や下地として使ったときに、ファンデーションをつけたらポロポロ崩れてしまったことがありませんか?原因は、日焼け止めが肌になじんでいなかったから。なじむまで5分ほど時間をおき、優しくファンデーションをつけると崩れることなく塗ることができます。
重ね塗りする
鼻や頬など高くなっているところは、日焼けしやすいので重ねて塗っておきます。この時、厚くしてしまうとヨレの原因になるので薄く伸ばすように重ねましょう。
2~3時間おきに塗りなおす
外出前にしっかり塗っても、皮脂や汗などで少しずつ効果が落ちてきてしまいます。これはSPF値が高くても同じで、2~3時間おきに塗りなおすのが理想とされています。
面倒に感じる方もいると思いますが、メイクの上から重ね塗りできるタイプも出ているので、落ちてきたなと感じたら塗りなおすようにしましょう。
乳液、クリーム、スプレータイプ別の塗り方
塗布量
SPF値・PA値は「1cm×1cm=2mg」を塗ったときの効果時間です。
これは、顔だと500円玉大の量を塗ることになるのですが、この量を塗れている人は少ないため、表記されている時間通りの効果を得るには意識して量を増やす必要があります。
塗り方と併せて覚えておくようにしましょう。
手のひらでなじませるように塗る乳液タイプ
乳液タイプの日焼け止めは、少しずつ塗ろうとすると柔らかくてムラができやすいため、一度手のひらでなじませてから全体に塗ると均一に広げることができます。手にも吸収されるので少し多めに手に取り、何度かに分けて塗っていきましょう。
指にとって直接つけるクリームタイプ
乳液よりも少し硬いクリームタイプは、必要量を額・鼻・両頬・顎におきながら内側から外側に向かって順番に指で塗り広げていきます。乳液タイプに比べ保湿効果が高いのですが、伸びのよくないものが多いためムラにならないようにやさしく塗るようにしましょう。
目元の細かい部分は指の腹で置いていくようにポンポンとたたきながら塗るとヨレずにキレイに伸ばせます。
手の届かないところにはスプレータイプ
スプレータイプ は、髪や背中など手の届きにくい部分に使います。スプレーした場所がわかりにくく一定距離を保つのも難しいため、最初は均一にスプレーするのが難しいです。
噴射する方向を意識して体の中心に向かって、腕をコンパスのようにまあるくゆっくり動かすとうまく塗布できるでしょう。慣れるまでは難しいですが、髪など他のタイプではカバーできない部分を紫外線から守れるのは、非常に大きいです。
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まだ間に合う。日焼け止めスプレーで手軽にしっかりできる紫外線ケア
してはいけない日焼け止めの塗りかた
乾燥した肌に塗る
例えば、すでに乾燥している状態の肌に伸びが悪いタイプの日焼け止めを塗ると、ムラになってしまうのは想像できますよね。
それだけではありません。伸びの良い日焼け止めを塗ったとしても、日焼け止め自体が肌を乾燥させやすい性質があるので、塗った直後は問題なさそうでも、時間が経つにつれ肌が乾燥し、肌トラブルを引き起こす原因となるのです。
日焼け止めを薄く伸ばす
伸びが良いと謳っている商品は、薄く塗っても良いように聞こえますが、薄く塗ったらその分だけ日焼けしやすくなります。SPF値・PA値として表記されている効果を得るには、基準量「1cm×1cm=2mg」が必要ですので、できるだけそれに近づけられるよう意識して塗りましょう。
小見出し;古い日焼け止め(去年)を使う
開封後、時間のたった日焼け止めは、もったいないですが使わないようにしましょう。
使用目安は1年と言われており、温度や湿度・開封による酸化など、成分の劣化・変質がおこっている可能性があるため肌トラブルに繋がってしまいます。
紫外線にあたる直前に塗る
日焼け止めが肌になじむ前に紫外線にあたると日焼けしてしまう恐れがあります。20~30分ほど、なじむ時間をおいてから外出するようにしましょう。
敏感肌におすすめの日焼け止め
紫外線吸収剤不使用の ノンケミカルタイプ
最近では研究が進み、肌に負担のかかる紫外線吸収剤を使っていない日焼け止めが販売されています。敏感肌の方は「紫外線吸収剤不使用」「ノンケミカルタイプ」と表記されている商品を選んでみてはいかがでしょうか。
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「ノンケミカル」日焼け止めは低刺激。紫外線からやさしく肌を守ろう
合成界面活性剤が含まれていないパウダータイプ
クリーム状の化粧品には乳化させるために、少なからず界面活性剤が使われています。敏感肌で「界面活性剤配合」に抵抗のある方は、パウダータイプの日焼け止めがおすすめです。
パウダータイプは、汗や水に弱いという弱点はありますが、SPF50・PA++++、ノンケミカルなど種類も豊富ですのでシーンに合わせて選ぶことができます。
日ごろからの日焼け止めの使用を習慣づけよう
紫外線吸収剤と紫外線散乱剤、SPFとPAなど、成分の働きを細かく知ることで日焼け止めの使い方がわかってきます。日焼け止めの使い方がわかると、シーンや目的別で使い分けたくなりませんか?
炎天下など高い効果が求められるシーンもありますが、日ごろから使い分けを意識することで、どんな日差しにも対応できるようになります。
一年中降り注ぐ紫外線から肌を守れるよう、日焼け止めを上手に使いこなしましょう。