目次
皮膚科で処方される背中ニキビの治療薬
細菌を弱らせる抗生剤や抗真菌薬
ニキビの原因となる菌には種類があり、顔に出来るニキビの原因菌は「アクネ菌」と呼ばれるもので、背中に出来るニキビの原因菌は「マラセチア菌」と呼ばれるものです。ニキビを治療するためには原因になる菌を退治することが必要であり、それをしてくれるのが抗生剤や抗真菌剤です。よく「抗生物質」と呼ばれるお薬ですね。
菌を退治してくれるので背中ニキビの対策として効果を発揮してくれますが、抗生物質を服用するのには注意も必要だと言われます。それは、服用期間が長くなる事によって、体に薬に対しての耐性が出来てしまい、段々薬が効かなくなってしまうということです。使用方法には十分注意していくことが大切です。
抗炎症作用のあるステロイド剤
ニキビが出来てしまっている状態というのは、肌が炎症を起こしてしまっている状態になります。抗炎症作用のあるステロイド剤を使うことによって、この肌の炎症を抑えることが出来ます。赤くなってしまったり、大きく腫れてしまっている状態を落ち着かせてくれるお薬ということになりますね。
赤みがひいてきれいになるならぜひとも使用したいお薬になりますが、ステロイド剤にも様々な副作用があります。使用方法はもちろんですが、使用を中止するときも皮膚科の先生ときちんと相談しながらにすることが大切になります。
男性ホルモンを抑制する薬
背中ニキビの大きな原因は、マラセチア菌の繁殖と、男性ホルモンの増加であると言われています。ホルモンバランスが崩れてしまい男性ホルモンが増加してしまうと、皮脂が過剰分泌してしまったり、毛穴がつまってしまったりして、ニキビの原因になってしまうのです。
そこで使用されるのが男性ホルモンを抑えるホルモン剤や、低用量ピルです。身体の内部から皮脂の過剰分泌を抑えることにより、ニキビが出来るのを抑える効果があります。しかし、ホルモン剤は身体に合わない人もいるようで、飲んだことによって気分が悪くなることもあるようですので、気を付ける必要があります。
毛穴詰まりを改善するレチノイド製剤
皮膚の表面には角質層と呼ばれる層があります。正しく代謝が行われていれば、角質は自然に剥がれ落ちていきますが、新陳代謝が乱れていると固くなり古い角質が残ってしまいます。また、皮脂が過剰分泌することによって毛穴がつまり、ニキビや肌の炎症の原因になってしまいます。それを改善するお薬として処方されるのがレチノイド製剤と呼ばれるお薬です。
主に使われるのはディフェリンゲルというお薬で、角質を柔らかくしたり、毛穴がつまるのを防いでくれる効果があります。しかし、副作用があらわれてしまうことが多く、体質にもよりますが一ヶ月ほどは皮膚の赤みがあらわれてしまうことがあるようです。
肌の細胞を作る栄養素のビタミン剤
ニキビが出来てしまうということは、何らかの異常が起きているということです。異常というと大げさかもしれませんが、皮膚表面の環境が乱れてしまったり、新陳代謝がきちんと行われないということも、広い目で見ればやはり何らかの異常であるわけです。それらを治すのに、足りていない栄養素を補うというのは重要なことなのではないでしょうか。
ニキビの治療として主に必要になってくる栄養素はビタミンB6、ビタミンB2、そしてビタミンCです。ビタミンB6、B2は、体内の脂質の代謝に必要な栄養素になります。体内に脂質が増えてしまうと、皮脂の過剰分泌や毛穴の詰まりの原因になってしまいます。ビタミンB6、B2を摂取することにより、体内に脂質をため込むことがなくなり、ニキビの原因を1つ取り除くことが出来ます。
ビタミンCは、抗酸化作用の大きい栄養素になります。肌の表面には、本来お肌に必要な成分までも攻撃してしまう活性酸素という物質があります。その活性酸素の働きを抑えてくれるのが抗酸化作用と呼ばれる作用です。ですから、ビタミンCを摂取することにより、肌表面を健康な状態に保つことが出来るのです。美肌にはビタミンCと言われるように、ビタミンCにはお肌にいい効果がたくさんありますので、積極的に摂取したい栄養素になります。
▼さらに詳しい解説はこちら
ビタミンの力でニキビ改善。5つのビタミンの特徴は?
皮膚科で行う背中ニキビの物理的治療法
膿を器具で取りのぞく面皰圧出
面皰圧出器という道具を使って毛穴に詰まってしまった皮脂などを押し出す治療法を、面皰圧出と言います。白ニキビなどに用いられる治療法になります。ニキビが出来てしまった時に、自分で中の膿を押し出した経験がある方は多いと思いますが、それを、きちんとした道具を使い、きちんとした方法で行うということです。自分でもできそうと思って間違ったやり方をしてしまうと跡が残る原因になりますので、病院で行ってもらいましょう。
肌の角質を剥がすケミカルピーリング
ピーリングとは、イメージとしてはお肌の表面を1枚剥くという感じでしょうか。お肌というのは層になっていて、内部でできたものが少しずつ外側に出てきます。1番外側にあるものを角質層といい、肌の代謝がきちんと行われていれば垢となって自然に剥がれていきます。しかし、代謝がうまくいかなかったりすると、角質がきれいに剥がれ落ちず、肌表面に残り固くなってしまいます。
その残ってしまった角質を取り除き、毛穴に詰まった皮脂もきれいにしようというのがピーリングです。皮膚科では、グリコール酸やサリチル酸などの薬剤を使い、皮膚表面を柔らかくしながら行われます。しかし、角質にはお肌を守る役割もあり、それを自然にではなく剝がすことになりますので、しばらくお肌は敏感な状態になってしまうということを忘れないようにすることが大切です。
レーザーで皮膚を入れ替える
肌に小さな穴をたくさん開け、肌の内部までレーザーを照射してニキビを治していく方法です。保険が適用しないので高額になってしまう場合が多いです。痛みがありますが、痛みは麻酔などをして対応してくれます。ニキビ跡などにも効果がありますので、凸凹してしまうような跡になってしまった場合や、色素沈着して黒くなってしまっている場合もあきらめずにやってみる価値はあるでしょう。
コラーゲンを増やすIPL(光治療)
IPLとは、インパルス・パルス・ライトという特殊なライトの事です。このライトを当ててニキビやニキビ跡を治す治療の事をフォトフェイシャルと言います。ライトを当てる治療なので、レーザーのように痛みはありませんが、肌の奥深くにまで残ってしまっているニキビ跡などへの効果はなく、あくまで肌表面をきれいにする治療だと思って下さい。
ライトを当てることにより、肌の正常な新陳代謝を促し、コラーゲンを増やす効果が期待出来ます。新陳代謝がきちんと行われるようになれば、その後もきれいな肌状態が続くことになりますので、試してみる価値はありますね。しかし、この治療も保険がきかないので高額になってしまいます。
有効成分の浸透率を上げるイオン導入
微弱な電流を肌に流し、肌の奥深くまで有効成分を届きやすくする治療方法です。ビタミンCなどのお肌にいい成分を届きやすくしてくれるので、ニキビ治療や美肌に効果があります。イオン導入の効果を更に上げるためには、ピーリングやIPLなどの治療を行い、肌表面の固くなった角質を除去しておくことをお勧めします。
皮膚科治療の副作用と注意点
保険の適用がない場合は自費になる
皮膚科でのニキビ治療は、全てが保険適用とはなりません。保険が適用されない場合は、自費での支払いということになります。ただ、背中ニキビが出来てしまっている状態は、症状としてはひどい場合が多く、保険適用外の治療が必要な場合も多いようです。参考までに、保険が適用される治療を挙げておくと、内服薬、外用薬、面皰圧出です。その他レーザーやピーリングなどは全て自費治療になってしまいます。
痛みを伴う場合もある
ピーリングは、肌表面を1枚剥く感じの治療になりますので、やはり術後にひりひりしたような痛みが生じます。レーザー治療は、たくさんの小さい穴を開けますので、場合によっては麻酔を必要とするような痛みを感じます。このように、治療のためとは言っても多少の痛みを感じるということは覚えておいた方がいいでしょう。
特にニキビ治療は、1回やっておしまいというものではなく、継続する必要がありますので、そこは少し覚悟して臨む必要があります。
耐性菌が現れて薬が効かなくなることもある
人の身体は優秀なので、同じ薬を長期連用していると、その薬に対して免疫を作ってしまいます。つまり、抗生剤などの薬を使って菌を退治しようとしても、長期間同じ薬を使っていると免疫が出来てしまい、その薬が効かなくなってしまうのです。
抗生剤に対して免疫が出来てしまうと、菌そのものを退治することが出来なくなってしまうことになります。使用期間が長くなりすぎないよう、免疫が出来ないよう、薬の使用方法などは医師ときちんと相談しながら正しく使っていく必要があります。
頭痛や吐き気を感じることもある
ホルモン剤などは、身体に合わない場合副作用などで頭痛や吐き気を起こしてしまうことがあります。他にも太りやすくなるなどの副作用が出る場合もあるようです。ホルモンというのは、身体に大きな影響を与えるものですので、具合の悪さを感じた時は無理せず医師に相談してみましょう。
肌トラブルを起こしやすくなる
ケミカルピーリングは、肌の表面の固くなった角質を剥がす治療方法です。ですから、肌を守っていた膜を1枚剥がした状態になっています。代謝をよくするために行った治療ではありますが、外部からの刺激に対して肌が弱くなってしまうのも確かなので、しばらくは肌が敏感になったり、肌トラブルが起きやすくなってしまっているということを忘れないようにする必要があります。
皮膚科の治療と合わせて行う自宅ケア
洗う時は絶対に擦らない
ニキビが出来ている状態というのは、とても敏感な状態です。きれいにした方がいいと思って無理やり擦って洗うのは、かえって炎症の原因になってしまいます。また、強く擦ってニキビをつぶしてしまうと、ニキビ跡の原因にもなってしまいます。洗う時はたくさんの泡で優しく洗うようにしましょう。泡には洗浄成分が入っており、擦らなくてもきちんとキレイになりますので心配はいりません。
すすぎ残しに気をつける
シャンプーやコンディショナー、ボディソープをしっかり流すというのもとても大切なことです。背中に残ってしまった洗浄成分が毛穴を詰まらせ、背中ニキビの原因になってしまうことがあります。泡が流れていれば大丈夫と軽く考えず、しっかり流すように心掛けることが大切です。背中ニキビが気になる場合は、シャンプーが背中にかからないように流し方を工夫してみてもいいですね。
入浴後はボディローションで保湿する
背中は、肌の他の部分と違い角質が厚くなっています。ですから、しっかり保湿しないと肌の水分が足りなくなり、乾燥してしまうのです。乾燥した肌は外部からの刺激を受けやすい状態になってしまいます。それを守るために、肌に膜を作ろうと皮脂が過剰に分泌されてしまい、その皮脂が毛穴につまりニキビの原因になってしまうのです。
皮脂の過剰分泌は悪いことではなく、肌を守ろうとしているだけなのです。しかし結果としてニキビの原因になってしまうのは困りますよね。ですから、それを防ぐためにも入浴後の保湿はニキビ予防にとても大切になってきます。
寝具は毎日交換して清潔に
寝ているとたくさんの汗をかきます。その汗を吸っているのが寝具です。目に見えるものではないのであまり意識しないかもしれませんが、汗を吸った寝具は雑菌が増えやすい場所なのです。いくら肌や洋服をきれいにしても、寝具があらわれていないとそれだけでニキビの大きな原因になってしまいます。可能な限り毎日交換して、きれいな状態を保つようにしましょう。
紫外線対策を忘れない
紫外線が肌によくないのはよく聞きますが、紫外線は背中ニキビの原因にもなってしまうのです。紫外線を浴びてしまうと、皮脂が酸化されニキビができやすくなってしまったり、肌が角化されニキビの原因になってしまったりします。日焼け止めを塗る、日傘をさすなど、紫外線対策をきちんと行うことによってニキビ予防に繋がります。
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紫外線対策のコツ。紫外線の影響を知って美肌も健康もキープしよう
背中に出来てしまったニキビは自分でケアをするには難しい部位ですよね。夏場に背中を出していたりすると、紫外線の影響や角質の溜まりでニキビが出来やすくなります。特に背中は汗をかきやすい部分になりますので、適切なケアが必要です。医療機関によって治療法は様々ですが、多いのはピーリングでの処置です。ピーリングをした後は皮膚がデリケートになっておりますので、保湿と日焼け止めは忘れずに付けましょう。手が届かない部分はスプレータイプを使用すると良いでしょう。また入浴後の洗剤残りもニキビの原因になりますので、シャンプーをしてから体を洗うなど上から順番に洗うのも1つの対策法です。医療機関での治療はDr.との二人三脚です。カウンセリングや治療の際に、疑問点や正しいケアの方法を聞き背中美人を目指していきましょえ。
背中ニキビの治療を受ける皮膚科の探し方
HPで治療内容などをチェックする
病院によって行っている治療内容に違いがあります。自分のニキビにはどんな治療が適しているのか、実際にどのような治療を行いたいのかなどによってきちんと病院を選ぶ必要があります。HPで事前に確認することが出来ますので、気になっている病院は色々調べてから受診するといいでしょう。
口コミがあれば参考にする
口コミを確認出来るのであれば、事前に確認しておくといいですね。HPはあくまで病院側からの説明、紹介になります。しかし、実際に治療を受けた人の意見は客観的にその病院を見た意見になります。例えばアフターフォローであったり、看護師や医師の対応の仕方であったりといった部分を事前に知ることが出来ます。口コミは参考になりますので、調べられれば調べておくといいでしょう。
実際にカウンセリングだけ受けてみる
治療を受けなくても、カウンセリングだけ受けることも可能です。自分のニキビにはどんな治療が合うのか分からないなら、実際に見てもらって確認してみても良いでしょう。病院を確認することにもなりますし、保険のきかない高額な治療の値段の相場を知ることも出来ます。気になる病院を見つけたら、1度カウンセリングだけ受けたいと電話してみてみもいいですね。
信用できるかかりつけの皮膚科医を見つけよう
きれいになりたくて行く病院です。何か小さなことでも引っかかっている状態で治療してもらうのはよくないと思います。治療方針、値段、スタッフの対応など、きちんと自分が納得できる病院を見つけましょう。事前に自分で調べてみること、そして、最終的にはやはり直接先生とお話してから決めていくことが大切になってきます。信用できる皮膚科医が見つかるといいですね。