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ワセリンの効果とは
どこでも買えて値段も手ごろなワセリンですが、上手く使えば皮膚科に行く時間のない忙しい女性の強い味方になります。
ワセリンは、原油を高純度に精製して作られた、「皮膚を守る」保湿剤です。肌の表面にぴったりくっつくことで、皮膚の細胞を外気や汚れから守ってくれます。
化粧水や乳液との違いは大きな違いは、成分が表面にとどまっていることで、肌の内部まで成分が浸透することがないことです。また、軟膏のように殺菌・除菌の効果もありません。
その分、肌の様々な部分に安心して使うことができます。
毛穴汚れや乾燥を防ぎ、アクネ菌の増加を防ぐ
ワセリンは毛穴に汚れが入り込んだり、水分が蒸発して乾燥するのを防ぎます。そのため、悪化する前の小さなポツポツニキビ(赤ニキビ)でアクネ菌が繁殖して化膿するのを予防する効果があります。
また、ワセリンは刺激が少ないため、皮膚にとって負担になることも少ないと考えられます。
肌のバリア機能を高めターンオーバーを整える
肌は約28日間の周期で新しい細胞に生まれ変わる「ターンオーバー(新陳代謝)」を繰り返しています。ところが、皮膚の乾燥などによってバリア機能の低下した肌は、何とか回復しようと急いで次の細胞を作ります。
急ごしらえで作られた皮膚細胞は普通の細胞よりもろく、簡単に傷ついてしまい、体の内部ではさらに慌てて急ごしらえの細胞を作る…という悪循環を引き起こしてしまいます。これを角化不全といいます。
化粧水を付けた後にワセリンを塗ると、水分を逃がさず保湿してくれるため、ターンオーバーの周期を整えることができます。
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ニキビの種類
ニキビは進行していく過程によって種類が変わってきます。
白ニキビ
白ニキビは、ターンオーバー機能の低下、皮脂の過剰な分泌などで毛穴が詰まった状態。見た目は赤くぽつんと腫れているだけでわかりにくいのですが、触ってみると腫れているのがわかる程度です。
アクネ菌も、この時はまだあまり繁殖していません。
ワセリンを塗って治療するならこのタイミングにしましょう。
大人ニキビはこのポツポツしたニキビが繰り返しでき、なかなか治らないことが多いようです。
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黒ニキビ
黒ニキビは、詰まった汚れが毛穴を押し広げて出てきた段階。いわゆる「イチゴ鼻」のような状態です。
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赤ニキビ
赤ニキビは毛穴に詰まった汚れや皮脂をエサに、いよいよアクネ菌が繁殖を始めた状態です。見た目にもわかる、触ると痛いニキビです。
ホルモンバランスの乱れで皮脂の分泌量が増える思春期ニキビは、この赤ニキビが多いといわれています。
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黄ニキビ
赤ニキビが膿をもって腫れてくると、黄ニキビになります。無理につぶそうとすると、そこから雑菌が入り、さらにアクネ菌が増殖してしまいます。
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紫ニキビ
最も重症の紫ニキビ。ニキビの内部が内出血して膿と血が混ざっている状態です。
こうなると、自分で治療せず皮膚科を受診した方がいいようです。
ワセリンが効果的なのは「白ニキビ」の状態の時。
赤ニキビ、黄ニキビにワセリンを塗るとかえってアクネ菌を活発にしてしまうので気を付けましょう。
ワセリンの種類
ワセリンは、精製の純度によって種類が異なります。
純度が高い透明な白色ワセリン
黄色ワセリンより精製度が高く、商品によっては「医薬品」に分類されます。
純度の低い黄色ワセリン
白色ワセリンより精製度は低いですが、比較的安価で手に入るのが黄色ワセリンです。
肌にとって刺激が少ないのは純度の高い白色ワセリンです。
皮膚科に行くと、敏感肌の人へはさらに不純物の少ない「プロペト」などのワセリンが処方されることもあります。
価格が気になる場合は、手やかかとなどたっぷり塗りたいときには黄色ワセリン、顔のように皮膚の薄い部分には白色ワセリン、と使い分けるのもおすすめです。
ワセリンの使用方法
保湿効果を高めるため化粧水の上から塗る
ワセリンを塗るのは夜の洗顔後、化粧水や乳液を付けてからスキンケアの仕上げとして。お肌に水分がある状態で使用することで、さらに保湿効果を高めてくれます。
手でワセリンを温めてなじませてから患部に塗る
ワセリンの効果的な塗り方は、少量を薄くまんべんなく塗ることです。一度手のひらで温めると塗りやすくなるだけでなく、固くて粘りが強いワセリンをそのまま塗るより肌への負担が少なくなります。
両手をこすり合わすようにして手の平全体にワセリンを伸ばし、そっと顔を全体をプレスするように肌にのせるだけで大丈夫です。ゴシゴシこすりつける必要はありません。
毛穴を完全に塞いで油分や水分を肌内部にためないように、少量を薄く塗る
肌への負担が少ないワセリンでも、べたべたになるまで塗るとかえって皮膚を乾燥させてしまいます。
皮膚の細胞は、常に少しずつ空気中へ水分や油分(皮脂)を蒸発させています。このとき新陳代謝で古くなった角質細胞も垢として排出します。ワセリンを塗りすぎて皮膚が呼吸できなくなると、この垢も排出できないため、かゆみやかさつきの原因になります。
ほこりや汚れを吸収しやすいため、寝る前に塗って朝落とす
ワセリンは長時間付けたままにするとほこりや汚れが付くだけでなく、乾燥を悪化させることもあります。また、ワセリンには油分が含まれるため、強い紫外線を浴びると酸化してしまいます。
夜塗ったワセリンは、朝になったらいったん落とした方が肌にとって負担が少なくなります。
ワセリンは厚塗りしなければボディソープや洗顔料で簡単に落とせます。どうしてもべたべたが取れないときはむやみにゴシゴシこするより、オイル系のクレンジング剤を使えばさっぱり落とすことができます。
ワセリンがニキビを悪化させるケース
炎症ニキビ(白く化膿したニキビ)
すでに炎症を起こしてしまったニキビ(赤ニキビや黄ニキビ)は毛穴の中の皮脂やアクネ菌を外に出さなければならないため、ワセリンで毛穴表面を塞ぐことは逆効果になります。
また、アクネ菌は油分をエサに増殖します。そのため、ワセリンがかえってアクネ菌を増やしてしまうこともあります。
ニキビ治療にワセリンを使う場合は、ごく初期段階のニキビがいいようです。
汗や皮脂量が多く分泌物が増える夏には使いすぎに注意
外から空気や水を入れないということは、体の内側から発散される汗や皮脂も閉じ込めてしまうということです。
汗や皮脂が毛穴にたまると、肌荒れやかゆみの原因になります。
特に夏場は、蒸れないように、使い過ぎに注意しましょう。
顔に塗るときはあくまでもごく薄くで大丈夫です。
効果的なワセリンの使い方でニキビ知らずの肌を手に入れよう
長所も短所もあるワセリン。手ごろな値段でたっぷり使えるので肌質、ニキビの状態によっては最大限の効果をえられますが、使い方を誤るとかえってニキビを悪化させることも考えられます。
まずは自分の肌をよく知り、上手にワセリンを使いこなしましょう。