目次
唇にできるできものの症状
口周りが荒れる
体調がちょっと良くないなぁと思ったとき、口の周りが赤くはれあがったり、唇が裂けて出血していたことはありませんか。これは、「口唇炎」と呼ばれるもので、口の周りや唇に発生する皮膚炎や湿疹により痛みが生じます。
化粧品などがあわなくて口唇炎を起こしてしまうことはよくあるといわれますが、アトピー性皮膚炎の症状の一つとしてでるものや、ビタミン不足によって起こるものもあります。アトピー性口唇炎の症状は、乾燥や亀裂が起こり、皮がめくれ、唇や周囲の皮膚ががさがさになり痛みがともないますが、かゆみがないのが特徴です。
唇の上に水を持った袋ができる
口唇炎かと思ったら、赤いはれのあとに、白い水ぶくれができてきたという経験はありませんか。最近、市販薬も多くなってきましたが、これは「口唇ヘルペス」といわれる症状です。口唇ヘルペスウイルスに感染すると体は免疫を作りますが、疲れやストレスなどで免疫が下がっていると、神経節に一旦潜んでいたヘルペスウイルスが活動をし始め、悪さをします。ウイルスの一種で水ぶくれが破れるとウイルスに感染してしまうので、注意したい唇の病気の一つです。
口の端に亀裂が生じている
唇の両端が赤くなったり、口を開くと亀裂が起こり出血したりすることもあるのが「口角炎」です。口角炎が発症すると、口を開くだけで亀裂が生じ痛みを感じます。そのため口を開くことがむずかしくなり、話をすることや食事をすることもままならなくなります。発症してからすぐに幹部はかさぶたで覆われますが、かさぶたはとても薄いので、ちょっとしたことではがれ、炎症をくりかえすとても厄介な病気といわれています。
内側に白いできものができる
食事をしているときは、唇の内側になにか違和感を感じる、唇をかんだ後にピリピリと感じる…そんな唇の裏にできる白いできものが「口内炎」です。噛んでしまった、歯ブラシで口の中をけがしてしまったという外的要因もありますが、疲労やストレス、栄養失調など、免疫が落ちていることから発症することが多い病気の一つです。
外側にいぼができる
唇のそばに白いイボのようなできものができるのが「パピローマウイルス」です。これは、腫瘍の一種で、一般的には良性のイボといわれています。パピローマウイルスという菌が原因で発症し、かゆくないのが特徴ですが、人に感染する恐れがあるので気をつけたい病気の一つです。
唇に発生するニキビの特徴
口周りや唇との境目にできやすく、白い芯がある
一般的に顔に顔や背中にできるニキビは毛穴に角栓が詰まり、毛穴につまった皮脂にアクネ菌が繁殖して炎症を起こします。しかし、唇には皮脂腺はないため、ニキビは口周りや唇と皮膚との境界線に発生することが多いです。また、白い芯があるのも特徴です。
治りにくく再発しやすい
唇付近にできるニキビは、他の部分に比べ、食事、歯磨きをするといった刺激をうけやすいため、治りにくく、悪化、再発しやすいのでとても厄介です。
ホルモンバランスの乱れが要因
唇にできるニキビはホルモンバランスの乱れが大きな原因といわれています。偏った食生活やストレスなどによりホルモンバランスの乱れが生じ、肌のよみがえり「ターンオーバー」の周期が乱れます。それにより、古い角質が表面に残り、厚い層になってしまいます。そして、皮脂がうまく排出できず、毛穴につまってしまい、ニキビの原因になってしまうのです。
特にUゾーンといわれるフェイスラインや口周りは皮脂を分泌するための皮脂腺が非常に多く存在するため、ニキビができやすいのです。ホルモンバランスの悪い人が特に注意したいのが「生理」です。生理前になると黄体ホルモンというプロゲステロンが多く分泌し、皮脂の分泌量を増やすのでニキビがさらにできやすくなっています。
また、生理前は体に水分をため込むようになり、体がなんとなく重く、肌の調子も悪いためストレスを感じやすくなります。そのため、さらにホルモンバランスが崩れにニキビができやすい環境になってしまうのです。また、睡眠の質と肌の機能回復は大きな関係があり、睡眠不足が続くとニキビができやすくなります。10時から翌朝2時はシンデレラタイムといわれるように、この時間帯にターンオーバーが促進され、肌の調子が整います。質のよい睡眠をとりニキビに強い体を作ることが大事です。
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胃の不調にも関係している
肌の不調は内臓からと言われますが、口周りは特に「胃」の不調が影響しているといわれます。食べすぎやお酒の飲みすぎで胃に負担を与えてしまったり、ストレスなどの精神面で胃に刺激を与えると、胃の働きが低下してしまいます。食生活を見直すことがニキビ予防にもつながります。
私も稀に唇にできものが出来て悩む事がありますが、ほとんどは食事と生活習慣、空気環境からくるものが多いと思っています。ビタミンの欠乏や偏った食事、不適切な洗顔方法、乾燥が原因な場合がほとんどです。できものが出来てしまった時は気になって触ってしまったり、色々なクリームを塗ってしまいがちですが、様々対処しようとすると返って悪化してしまうので、できものを治すというよりも原因を解消した方が治りが早く感じます。
唇にできものができた時の対処法
しばらく唇のメイクをやめる
唇にできものができている間に、着色料や香料がふんだんに使われた口紅やグロスをつけると、唇に余計な刺激や負担を与えてしまい、できものは悪化します。唇に症状が出ている間は、通常に比べて唇が非常にデリケートになっているので、しばらくは唇のメイクはやめ、刺激の少ない薬用リップクリームなどにとどめておきましょう。
油ものや刺激物の摂取を控える
熱いもの、辛いものなどの刺激物は、特に口内炎、口角炎の原因になりやすいので気を付けましょう。また、食べ物の好き嫌いが多く、食事で摂取する栄養バランスが偏っている人や、油もの、甘いものをいつも食べている人は、食生活が乱れ、胃腸に大きな負担がかかり、ニキビができやすくなるので気を付けましょう。
口周りの清潔を保つ
唇にウイルスや雑菌がはいらないように、つねに口周りを清潔に保つことが大切です。食事のあとはこまめに口周りを洗ったり、マスクなどで外的なものの侵入を防ぐなどの対策も大切です。
ワセリンを塗って乾燥を防ぐ
乾燥を防いで、唇を保湿してあげることで、症状が軽減、再発の防止につながります。ワセリンなどの保湿剤は保湿効果が高く、刺激が少ないので安心して使用することができます。
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ビタミンB群のサプリを飲む
唇のできもので色が白い場合、特に考えられるのが、ホルモンバランスや胃腸障害、体力の低下や栄養不足です。日頃の食生活では特にビタミン不足が原因となって症状があらわれるので、ビタミンB2、ビタミン6、ビタミン12、ビタミンC、リジンを中心にしっかりとると改善されます。
ビタミンB2は、特に口内炎に効果があり、免疫力を上げる手伝いもしてくれます。ビタミンCはウイルスの活性化を防ぐ役割があります。リジンは、ヘルペスウイルスの増殖を防ぐ働きもあるので、その他のビタミンB群とともに積極的にとりましょう。忙しくてなかなか食事で栄養素をとれない場合は、サプリなどを利用するとよいでしょう。
改善しない時は皮膚科を受診する
それでも改善されない場合は、早めに皮膚科で受診することが大切です。例えば、パピローウイルスにかかった場合、ヘルペスや口内炎、口角炎とは異なり、自然に治すことはできないため、皮膚科での治療が必要です。
皮膚科で行われる治療
ステロイド剤の処方
口角炎、口唇炎などの症状はステロイド剤を投与されることがほとんどです。口の周りに塗ることになるので、弱い薬にはなりますが、1週間程ぬり続けると治ることが多いです。
抗ウイルス薬の処方
口唇ヘルペスの場合に処方されるのが抗ヘルペスウイルス薬です。症状がひどい場合は、抗生物質や鎮痛剤を処方され、同時に服用していくことになります。
抗真菌剤や抗生物質の処方
口角炎になる原因の一つとして「カンジダ」というカビの感染があげられます。この「カンジダ」は、もともと人の体の中にいる常在菌の一種ですが、風邪や疲労など免疫機能の低下や、衛生状態の悪さなどに影響して、感染症状を引き起こすことがあります。そんなときには、抗真菌剤や抗生物質を処方されます。
特殊な光を使う高周波治療
口内炎の治療は患部を消毒・洗浄したうえで、塗り薬や貼薬を処方するのが一般的です。しかし、中には「高周波治療」を行っている病院もあります。この治療は、高周波の電流を照射して患部を焼くことで、殺菌したり、炎症を鎮めたりするものです。怖そうに思えますが、一回の治療で、口内炎の痛みがほとんど消え、早く治るケースが多いといわれています。
液体窒素で患部を凍結
パピローマウイルスと呼ばれるウイルスによって唇にできたイボを治療するのに、一般的な方法は液体窒素を使うものです。冷凍凝固療法と呼ばれ、-196度にもなる液体窒素を綿棒などにつけ、患部に押し当てます。超低温により一気に凍らせることで、ウイルスを壊死させることができます。また、患部に炎症を起こさせることでウイルスにダメージを与えることもできます。
漢方薬の処方
口内炎、口角炎、唇のニキビなどに処方される薬の一つとして漢方があります。口の周りは「脾胃(消化器系)との関わりの深い部位」とされています。偏った食事や睡眠不足、ストレスなどで弱った胃を助ける漢方の処方も期待できます。
唇のできものを予防する生活
飲酒習慣をやめる
お酒は飲めば飲むほど肝臓が無理な働きをしようと作用します。そして、体力も抵抗力も低下してきます。また、飲みすぎは胃に負担をあたえ、ニキビや口内炎、口角炎の原因になる恐れがあります。特に口唇ヘルペスがあるときはお酒をひかえ、体をしっかり休めることが大事です。唇のトラブルが多い人は、飲酒生活を見直すことも大事です。
疲れた時はしっかり睡眠をとる
唇のトラブルは免疫力の低下が原因になることがほとんどです。質の高い睡眠をこころがけ、免疫力の向上や代謝を整えていくことが大事です。寝不足は体に負荷を与え、イライラするなど精神面でも大きな負担を与えます。
紫外線対策を徹底する
唇はメラニンが少なく、日焼けしても黒くはなりませんが、その分ダメージが顕著に表れる場所でもあります。唇の日焼けにより、かさつきや皮向け、かゆみ、ヒリヒリする痛みがでることもあるので、UV対応のリップクリームをつけるなど紫外線対策はしっかりとっていきましょう。日焼けの後も保湿効果のあるリップクリームをしっかりと塗ることを心がけましょう。
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家族とのタオルの共用をさける
口唇ヘルペスやパピローマウイルスのようにウイルスが唇に潜んでいると、別の箇所に感染してしまったり、他の人にうつしてしまう恐れがあります。家族とのタオルの共用は避けるようにしましょう。
軽めの運動でストレスを発散する
運動をすることで血流をよくし、代謝を上げることも大切です。体温が高まると免疫力もアップします。軽い体操やウオーキングでも代謝はアップします。ストレスも発散できるので生活習慣の一つとして取り入れていきましょう。
清潔と休養で唇のできものの再発を防ごう
朝起きてみるとなんだか感じる口の周りの違和感…。鏡をのぞみこむと口の両端が赤くはれぼったくなっていた…。人前にでるのが憂鬱になりますね。唇のできものとうまく対処していく方法は、何よりも白いできものができる前に予防することです。
乾燥対策、口のまわりや口内を清潔に保つ、そして、日頃から質の良い睡眠とバランスの取れた食事を心がけるなど生活習慣を改善していくことが大事です。ストレスを感じた時には、しっかり体を休めるなど、体と心に耳を傾け生活していくと、唇のできもの再発を防ぎ、痛みやかゆみと「さようなら」をすることができるのです。