目次
腰痛予防に関係する筋肉
骨盤から首までの背骨の横にある脊柱起立筋
脊柱起立筋という筋肉は、骨盤から首にかけて背骨に沿って広がる頚腸肋筋や腰腸肋筋などの9つの筋肉の総称をいいます。この筋肉は体の比較的浅い部分にある筋肉で、姿勢を維持するために欠かせない筋肉です。
姿勢が悪くなってしまうと脊柱起立筋が背骨を引っ張り、姿勢を正そうとします。
しかし、長時間姿勢を維持するために働くことで疲れてしまうため、腰痛の原因を引き起こすことも。普段から背筋や腹筋を鍛えたりリラックスするなどして筋肉の緊張をほぐすことが大切です。
骨盤から肋骨にかけての腹斜筋
お腹の横にあたる筋肉を腹斜筋といいます。腹斜筋はさらに2種類に分類され、外腹斜筋と内腹斜筋が腹壁を構成する役割をしています。横腹にコルセットのように巻き付いて体幹を安定させ、腸機能の働きをを助ける働きも。
腹斜筋を鍛えることでウェストにくびれができ、メリハリのある体になるため、腹斜筋を鍛えることで腰痛予防だけでなく、見た目も美しいラインを演出することができます。
腰椎の両サイドに位置する腰方形筋
腰方形筋といえば、ギックリ腰の原因の半分を占めているといわれている筋肉として知られています。骨盤と腰椎、肋骨にかけて広がる筋肉で、脊柱を安定させる役割をし、姿勢を維持するために必要な筋肉です。
左右対象にあるため、どちらかの筋肉が硬くなったり衰えてしまうことで、骨盤の左右の高さに差が生じてしまいます。そのため、骨盤の歪みを引き起こし、腰痛などの原因になることがあります。
お尻のインナーマッスルの梨状筋
名前の通り、梨の形をしていてお尻の深部にある筋肉が梨状筋です。股関節を外側へ動かすために働かせる筋肉で、下半身を安定させながら足を動かすために必要な筋肉です。ずっと同じ姿勢でいることが多かったり、体に過度な負担がかかる運動などをすることによって、梨状筋が硬くなってしまうことも。
その影響で坐骨神経が圧迫され、体の冷えを引き起こしてしまったり、筋肉の収縮運動に支障をきたしてしまうことがあります。
お尻の筋肉で最も大きい大殿筋
大殿筋はお尻の筋肉のひとつで、足や太ももを振るなどの歩く動作に関わっています。また、歩行以外にも椅子から立ち上がったり階段を上がったりと、お尻全体を動かすときには大殿筋にの力が必要不可欠です。大殿筋を鍛えることですぐ上にある骨盤を安定させることができるため、腰痛予防につながります。
長時間座りっぱなしの姿勢でいることにより、筋力が衰えて腰痛の原因になることもあるため、普段から意識してストレッチをすることが大切です。
太もも裏を縦にはしっているハムストリング
太ももの裏に位置しているハムストリングは、日常的に腰が丸くなってしまったりすることで筋肉が硬くなり、腰椎が背骨のカーブを維持できなくなることで腰痛を引き起こすことも。姿勢の悪化が原因でハムストリングは硬くなりやすいため、現代では慢性的な腰痛に悩まされている方が多くいます。
また、肉離れしやすい筋肉としても知られているため、普段からストレッチなどで筋肉を鍛える必要があります。
呼吸に関係する横隔膜
横隔膜と腰痛に関係が?と思う方もいるかもしれませんが、横隔膜は大腰筋とつながっているため、横隔膜が硬くなることで大腰筋に負担がいくため、腰痛の原因を引き起こすことがあります。大腰筋は腰回りを支えている筋肉なため、腹式呼吸で正常に呼吸をしている場合は、筋肉が刺激されてコリを防ぐことができます。
しかし、呼吸法が乱れてしまうことで横隔膜が使われなくなり、腰痛につながることがあります。
お腹のインナーマッスルの腹横筋
腹筋の力が弱くなると、内臓を支える力も弱くなるため、重力で下に体重がかかり、腰痛を引き起こすことに。お腹のインナーマッスルといわれている腹横筋は、お腹をへこませたり姿勢を安定させたりする役割をしているほか、筋肉繊維が横に広がっているため、体のコルセットのような役割を果たしています。
腹膜筋が正常に働き、体を支えるためにも、普段からストレッチをしたり腹式呼吸を意識することが大切です。
背中にあり体幹を支える多裂筋
背中を支えている起立筋のさらに深い位置にあるのが多裂筋です。多裂筋は背骨から腰にかけて広がり、腰の部分では2倍の厚さになっていることから、腰を支えるために重要な役割を果たしている筋肉です。
横に体を回したり、体をひねったりするときはもちろん、背骨を安定的に保つために体幹を支えていることから、腰痛にも深く関与している筋肉といえます。悪い姿勢でいることによって多裂筋が衰えてしまうため、普段から正しい姿勢を意識する必要があります。
内蔵を支える骨盤底筋
子宮や膀胱などの内臓を支える役割をしている骨盤底筋は、体の中心をしっかりと定めるために必要な筋肉のひとつといわれています。骨盤が安定することによって上半身と下半身の姿勢を正しく維持することができるため、姿勢維持にも骨盤底筋の力が必要になります。
加齢や出産、妊娠などによって骨盤底筋は衰えるため、特に女性は意識して筋肉を鍛えることで、腰痛予防につなげることができます。

腰痛の原因
腰まわりの筋肉のこり
腰痛は筋肉のこりが原因で引き起こされるといわれています。普段から緊張して血行不良になってしまったり、運動不足などによる筋力の低下で、使われなくなった筋肉はどんどん硬くなることに。
腰痛の症状がある方は痛い場所をかばうために普段とは違った動きをするため、別の筋肉に余計な負担をかけ、筋肉疲労を引き起こします。疲労が蓄積されることで筋肉がこりかたまってしまうため、伸縮性や柔軟性が失われてさらに筋肉のこりもひどくなってしまいます。
腰まわりの筋肉の衰え
背骨は多くの骨が積み重なって形成されて上半身を支えているため、もともと負担が大きいといわれています。背骨の中でも腰をひねったり曲げたりする骨である腰椎は、腰椎を支える周りの筋肉によって柔軟に動くことができます。
腰回りの筋肉が衰えることによって、背骨に負担がかかり、腰痛の症状を引き起こすきっかけに。同じ姿勢でいることが多い方やいきなり重いものを持つなどして腰に負担をかけてしまうと、腰回りの筋肉に疲労が蓄積され、腰痛につながります。
腰回りの関節のゆがみ
腰痛の中には関節のゆがみによって引き起されるものもあります。仙骨とよばれる腰より下に位置している部位には神経が集結しているため、筋肉のコリや痛みを発生しやすいことが特徴です。
仙骨は体の重力を支えていつ重要な骨なため、仙骨がゆがんだりずれたりすることで背骨の痛みや肩こり、冷えやむくみなどの症状が引き起こされることも。また、股関節のゆがみによって腰に負担がかかり、体を上手く動かすことができなくなったり、腰に痛みが出ることもあります。
女性の腰痛は生理痛の場合も
女性には生理周期があるため、生理痛に伴って腰痛を引き起こす場合があります。下腹部痛や腰痛などは腰に負担をかけていなくても起こることがあるため、鎮静剤などが必要になることも。あまりにも症状が重かったり、何カ月も続く場合は、婦人科などに行って一度検査をする必要があります。
子宮は内部で炎症を起こしたり圧迫されることにより、周りの神経が圧迫されて腰痛を引き起こすことがあります。
ホルモンバランスの乱れ
生理周期以外にも女性ホルモンが減少したりホルモンバランスが崩れてしまうと、腰痛やほてり、のぼせなどの更年期障害の症状が出ることも。腰痛以外にも肩こりや関節痛など、筋力が弱くなっている部分や血行不良になっている体の弱い部位に痛みの症状が出ることがあります。
女性ホルモンの減少によってカルシウム不足に陥ってしまうため、関節などの骨の動きにも影響を与えます。

腰痛を予防する腰回りのストレッチ
仰向けの複式呼吸で横隔膜をストレッチ
横隔膜は呼吸をするために必要な筋肉です。運動不足や加齢によって横隔膜が硬くなってしまうと、深い呼吸ができず、体にさまざまな悪影響を引き起こします。横隔膜を使うためには、腹式呼吸を意識することが大切です。
体をリラックスさせるためにも、仰向けの状態で力を抜き、両手や足の力を抜いて深く呼吸をしてみましょう。鼻から息を吸い、お腹がふくらむのを意識しながらゆっくりと長く息を吐きます。腹式呼吸をすることで自律神経がリラックスするため、寝る前などにするのもおすすめです。
うつ伏せになって腹斜筋を動かす
腹斜筋はお腹の横に位置する筋肉で、鍛えることで腰痛予防だけではなく、ウェストのくびれを作る効果も期待できます。まずはうつ伏せになって寝たままの状態で手足をばたばたと動かします。腹斜筋を意識しながら体をひねったり伸ばしたりしてみましょう。
慣れてきたら足だけを動かしたりするなどして、お腹の横の筋肉をしっかりと伸ばすイメージで左右対称に行うことがポイントです。
体操座りで背中をストレッチ
体操座りで腕を交差させて膝の上に置き、そのままゆっくりと頭を下げて背筋を伸ばしていきます。今度はゆっくりと起き上がり、肩甲骨が開いたり閉じたりしているのを意識してみるようにしましょう。
あぐらをかいた体を前に動かしたり、腕を後ろに思い切り伸ばすなど、背中の筋肉を鍛えるストレッチは楽な姿勢で簡単に行うことができます。呼吸を止めないように意識しながら背中の筋肉を伸ばしていきましょう。
脚をくんだ体操座りで大殿筋をストレッチ
体操座りをして両手を体の後ろへ置き、左膝を外側に向け、かかとを右膝の上に乗せていきます。背中が丸まってしまわないように意識し、両膝の角度は90度を保つことがポイントです。
胸をしっかりと張って背筋を伸ばし、上半身をゆっくりと前に倒していきます。おしりの大殿筋が伸びていくのを意識しながら、左右それぞれ30秒ずつを目安に行ってみましょう。顔だけよせてしまったりせず、真っすぐ前を向くようにすることが大切です。
体幹を活性化させるキャットバックストレッチ
キャットバックストレッチは、猫が起きたときに伸びをするようなイメージで行うのがポイントです。まずは床に垂直になるように手と膝をつき、四つん這いの状態になります。背中をゆっくりと丸めながら上へ向かって引き上げ、おへそと顔が近づくように意識します。
次は背中を反らしながら、前方方向へ伸ばし、目線を前に向けながら首を伸ばしていきます。背骨のインナーマッスルに働きかける効果的なエクササイズです。
お尻に効く四つん這いで脚を伸ばす
お尻の柔軟性を高める大殿筋や梨状筋、太ももの裏のハムストリングのストレッチ では四つん這いで脚をゆっくりと伸ばしていきます。まずは肩幅よりも広く手を開き、左足を前に出して膝を外側に向くように倒していきましょう。膝はなるべく90度になるように意識するのがポイントです。
後ろに伸ばした右足のつま先で軽く地面を蹴るようにしながら、ゆっくりと体を伸ばしていきます。左右それぞれ30秒ずつを目安に行ってみましょう。
膝を抱えるようにしてハムストリングスをストレッチ
地面に膝をつき、片足で体を支えるようにして前を向きます。太ももとお腹を密着させながら腕でしっかりと抱えるようにし、お腹が太ももと離れないようにしながらお尻をゆっくりと下に下げていきます。ハムストリングが伸びたと感じたとことで止め、15秒ほどその状態をキープします。
伸ばしすぎて痛みを感じない程度にとどめるようにし、左右交互に行いましょう。太ももの裏の筋肉の伸び具合を意識することがポイントです。

体幹を鍛えるストレッチ
お腹をきたえるブランク
腹筋の中でもインナーマッスルを鍛えることができるのがブランクとよばれるストレッチ法です。まずは床にうつ伏せになり、肘とつま先を床につけて床から体を離していきます。腹筋に力をいれて体をまっすぐ板のように保つことを意識し、そのまま30秒同じ姿勢をキープします。
目線はまっすぐと上を向くようにし、体が曲がらないようにすることが大切です。体が震えてくる場合は最初は15秒から行うようにして徐々に長くしていきましょう。
脇腹に効くサイドブランク
サイドブランクは、ブランクが床に対して平行に体を保つのに対し、片側だけで体を支える脇腹の筋肉を鍛えるストレッチ法です。膝を伸ばした状態で床に寝転がり、肘を肩の真下に置いてゆっくりと体を持ち上げていきます。頭から背骨にかけてまっすぐ一直線になることを意識し、腰を浮かしてそのままキープします。
外側にある手は上に伸ばすようにするのがポイントです。左右交互で10秒ずつ行うようにし、慣れてきたら時間を伸ばしていきましょう。
上級者はサイドブランク
通常のブランクと違ってサイドブランクは片側だけで体全体を支えるため、ストレッチの中でも上級者向けのメニューになります。最初は通常のブランクから始めるようにして、無理のないように行うことが大切です。肩、腰、足の重心が真っすぐになることにより、脇腹の体幹をしっかりと鍛えることができます。
姿勢は正しい状態を保つようにし、時間は無理のない程度に設定することが望ましいでしょう。
お尻に効くハンド&ニー
ハンド&ニーストレッチは、足を大きく上げていく動作によって、お尻の筋肉や背中の筋肉を鍛えることができるストレッチです。特に後ろからのシルエットを美しくしたい方におすすめのストレッチです。ますは四つん這いになり、手を肩幅に、膝は骨盤の幅に広げます。
右足を上げて5秒間キープし、反対側の足も同じように繰り返します。踵はお尻の高さまでを意識し、腰が反ってしまわないように注意しながら行いましょう。

腰痛を悪化させる生活習慣
長時間のデスクワーク
デスクワークなどで長時間同じ姿勢になっていませんか?いくら良い姿勢を保っていても、長時間同じ姿勢を続けることによって腰の筋肉が緊張して血行が悪くなり、筋肉疲労につながってしまいます。
立っているときよりも座っているときのほうが腰にかかる負担が大きいため、1日中椅子に座っている方は特に注意が必要です。30分ごとに姿勢を変えてみたり、時々体を動かすなどして血行を良くすることを心がけましょう。
猫背でのスマホやゲームをプレイする
背中を丸めて前かがみになる姿勢や猫背の方は、上半身のバランスをとろうとするため、腰に負担がかかります。姿勢が崩れることによって背骨の自然なカーブがゆがんでしまい、腰への負担を和らげる機能も低下することに。
うつむきながらゲームをみたりスマホ画面を見る方はもちろんですが、中腰の姿勢で作業をする方は重い荷物による負荷で腰への負担が大きくなるため、注意が必要です。
片方に重心をかける立ち方
立っているときに片方に重心をかけてしまうと、体が倒れないように支えようとする力が働き、腰痛の原因を引き起こします。骨盤の歪みの原因にもなりますので、重心はなるべく中心に来るように意識し、左右均等に保つことで体への負担を減らすことができます。
休憩時間にはなるべく体を動かすようにしたり、ストレッチするなどして筋肉の緊張を和らげることが大切です。
脚を組む
普段から腕を組む癖がある方は、腕を組むことで両肩が前にでてきてしまうため、背中が丸くなってしまいます。背中が丸くなることで猫背の状態が続いてしまうと、血行が悪くなって肩こりや首の痛みにつながってしまいます。
肩回りの血行を良くするためにも、なるべく腕を組まずに手の力をぬいてリラックスすることが大切です。どうしても腕を組むときは猫背にならないように背中をまっすぐにするように意識してみましょう。
重い荷物を持つ
重い荷物を持つ場合は、いきなり持つと腰への負担が大きいため、持ちかたに工夫が必要です。一度しっかりとしゃがみ、腰が中腰にならないように曲げないようにして、体全体で持ち上げていきます。お尻は十分に落とすようにし、荷物をお腹に抱えた状態で足の力で立ち上がりましょう。
荷物を運ぶときに体に密着させて運ぶようにすることで、腰への負担を軽減することができます。
肘をつく
無意識に肘をついたり、頬杖をついたりすることはありませんか?肘をつくことによって顔が前方に出るように姿勢になってしまい、背中が丸くなって姿勢の悪化につながります。また、片方のみに重心がいくため、血行不良などによるむくみの症状を引き起こすことも。
慢性的な骨のゆがみにもつながるため、どちらかに体重をかけないように普段から意識する必要があります。ほうれい線が片方だけできてしまったという方は、肘をついたり片方に重心を置く癖がある方が多いといわれています。

ストレッチで腰痛を軽減しよう
腰痛はデスクワークや姿勢の悪化などによって引き起こされるため、普段から姿勢を意識することが大切です。また、筋力の低下によって体を支える力が弱くなり、腰痛を引き起こす原因を作ってしまいます。腰痛はストレッチなどで体幹を鍛えることによって、腰回りへの負担を軽減し、予防に役立てることができます。
筋肉は使わなくなってしまうと衰えてしまうため、日常的にストレッチを行うことを意識するようにしましょう。自分に合ったストレッチ法で腰痛を軽減し、ストレスフリーになりましょう。