目次
股関節に歪みがあるかのチェックと症状
歪みをチェックする
股関節が歪んでいる人は、意外と多いもの。股関節の状態は、簡単にチェックできます。やり方を見てみましょう。
1.力を抜いてあおむけに寝る
まずは、あおむけに寝ます。足は軽く開いた状態でかまいませんので、力を抜きましょう。
2.つま先の角度を見る
力が抜けたところで顔を少し起こして、つま先の角度を見てみます。
3.開いたつま先の角度が同じなら歪みはない
つま先の角度が、左右で同じであれば股関節の歪みはありません。
4.足先の開き方角度に違いがあれば歪みがある
もしも、つま先の開き方に左右で違いがある場合、股関節に歪みがあるといえます。
靴のかかとの減り方が均等ではない
まずは、普段履いている靴のかかとを見てみましょう。かかとの減り方は、右の靴と左の靴で均等でしょうか。また、左右それぞれの靴の中でも、すり減り方に差が出ていないでしょうか。
左右どちらかの靴のかかとが極端にすり減っているよう場合、股関節が歪んでいることにより、左右で脚の長さが異なってしまっているため、かかとのすり減り方に左右差が生じていると考えられます。
また、それぞれの靴のかかとのうち、外側だけすり減っている場合はO脚、内側だけすり減っている場合はX脚になってしまっているかもしれません。O脚もX脚も、股関節の歪みが原因で起こるのです。
身体の左右のバランスが悪くなる
人の身体は、歪みがなければ左右対称になっています。しかし、股関節が硬いと、背骨のバランスや首・肩・背中・脚などの筋肉のバランスが偏って緊張してしまいます。すると、肩の高さが左右で違ったり、脚の長さが左右で異なるなど、身体の左右のバランスが悪くなってしまいます。
股関節が歪んでいないか確かめるためには、全身鏡の前に立ってみて、自分の身体の左右バランスが悪くなっていないかチェックしてみましょう。
良い姿勢と悪い姿勢
骨盤が身体の中で正しい位置にある
良い姿勢とは何かを考えた際、「背筋をぴんとまっすぐに伸ばす」といったことを思いつく方もいらっしゃるのではないでしょうか。本来の背骨はまっすぐではなく、S字カーブを描いています。
その背骨は骨盤の上にのっているため、骨盤が良い姿勢の土台になっているといえます。そのため、骨盤が身体の中で正しい位置にあることが、良い姿勢ということ。
この、骨盤が正しい位置にある=ニュートラルポジションにあるという状態が、「骨盤を立てる」ことです。骨盤を立てるということは、「骨盤が水平状態」「適切な角度に前傾」「左右のねじれがない」状態のことです。こちらの3つの状態について、ひとつずつ見ていきましょう。
骨盤が水平状態になっている
まずは、骨盤が左右水平状態になっている状態が、ニュートラルポジションです。左右で高さが異なると、脚の長さや背中の筋肉の緊張などに左右差が生じ、身体にゆがみが発生してしまいます。
骨盤は適切な角度に前傾している
次に、骨盤の前後の角度です。ニュートラルポジションの骨盤は、横から見たときにやや前傾姿勢となります。骨盤が後ろに傾いているときは、腰が後ろに丸まって、猫背になってしまっている状態。
しかし、前傾になりすぎると、今度は腰が反りすぎていて、やはり良い姿勢ではありません。適切な角度の前傾姿勢を保つ必要があるといえるでしょう。
正面を向いたとき骨盤に左右のねじれがない
最後に、身体が正面を向いているときに、骨盤に左右のねじれがない状態がニュートラルポジションです。もし左右のねじれがあると、股関節に違和感が生じたり、腰痛や膝の痛みの原因となることもあるのです。
姿勢が悪いと腰痛や肩凝りを引き起こしやすい
ここまでで「良い姿勢」についてお話してきましたが、では「悪い姿勢」をとってしまっている場合、身体にどのような影響があるのでしょうか。
姿勢が悪いということは、骨盤がニュートラルポジションではないということ。つまり、歪みが発生しています。そして骨盤が歪むと、股関節や骨盤に支えられている背骨、それらに付随している身体の筋肉などに、偏った緊張や負担がかかります。
すると、緊張を長時間強いられた筋肉に痛みや凝りが発生。これが、「姿勢が悪いから腰痛や肩凝りになっていまう」ということなのです。
股関節や骨盤が抱えている悩み
むくみや冷え性になりやすい
特に女性は、むくみや冷え症で悩んでいる方も多いですよね。そのむくみや冷え症、実は骨盤と関係しているかもしれません。
骨盤が歪んでいると、血行やリンパの流れが悪くなります。すると、身体のすみずみまでうまく栄養素や熱が運ばれなかったり、代謝が落ちてリンパが滞ったり、さらには脂肪がついたりすることに。そのため、血行やリンパの流れが悪くなると、冷え症やむくみを引き起こしてしまうのです。
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関節の動きが悪いとケガをしやすくなる
普段の生活の中で、足が上がりにくかったり、動かしたりするのがつらいと感じたことはありませんか。それは、股関節の動きが悪くなっているから。
股関節の動きが悪く、動作に余計な力が入ってしまったり思ったように動かせないことがあると、ケガにもつながりやすくなります。股関節の動きをよくして、ケガを防がなければなりません。
筋肉が硬いと骨盤の歪みで姿勢が悪くなる
骨盤の周りには、さまざまな筋肉がついています。この筋肉が硬くなると、骨盤が引っ張られ、歪んだ偏った位置で固定されてしまうことも。つまり、筋肉が硬いと、骨盤が歪んで姿勢も悪くなってしまうのです。
筋肉があまり使われないと衰えていく
股関節が硬くなると、股関節と骨盤のまわりの筋肉、特におしりや太ももの筋肉がうまく使われずに衰えていきます。すると歩行が不安定になり、膝に余計な力が入ってしまうなどして、膝が痛くなることも。つまり、脚の老化が進んでしまうのです。
また、脚が老化すると通常の歩行や運動を避けがち。すると、体力も持久力も低下していきますよね。このせいで体を動かさなければ、さらに股関節も硬くなり、筋肉も衰えていく…という悪循環を引き起こしてしまうのです。
生活や姿勢の癖で傾きや痛みが生じる
何気ない生活や姿勢の癖で、骨盤に傾きや痛みが起こることがあります。たとえば、座るときに脚を組んだり、脚を開いたぺちゃんこ座り、片足に重心をかけて立つなど。それから、パソコン操作でずっと前傾姿勢をとってしまったり、キーボードやモニターの位置が自分に合っていなかったり。
このような、普段あまり意識していないかもしれない、何気ない生活や姿勢の癖はたくさんあります。この姿勢を続けてしまうと、骨盤が少しずつ歪んで、傾きや痛みが生じてしまうのです。
ストレッチポールの特徴
自分一人でエクササイズを行える
骨盤に歪みがある方は骨盤を正しい位置に戻したい…と思われた方には、骨盤の歪みを調整するために効果的な道具に、「ストレッチポール」があります。ストレッチポールには、身体の歪みを正して良い姿勢を作る効果があるのです。
ストレッチポールは、ジムにある大きなマシンとは異なり、自宅にも置いておける道具です。そのため、自宅で簡単に、自分一人でエクササイズを行うことができるため、生活に手軽に取り入れることができます。
あおむけに寝っ転がりエクササイズを行う
ストレッチポールは、細長い円柱形のポールです。使いかたは、ストレッチポールを床に置き、その上にあおむけに寝っ転がるだけ。この状態でエクササイズを行っていきます。
寝っ転がる際には、ストレッチポールの端におしりを乗せて、背中の背骨がストレッチポールに沿うように、ゆっくりと後ろに倒れていきます。すると、肩甲骨が左右とも身体の後ろ側に開いた状態となり、骨盤まわりの筋肉はゆるみます。この状態になると、効果的にエクササイズが行えるでしょう。
身体の歪みを正して良い姿勢の手助けをする
ストレッチポールに寝っ転がると、肩甲骨や骨盤まわりの緊張がほぐれます。そのため、普段の身体の癖や歪みが矯正され、良い姿勢をとる手助けをしてくれるのです。
身体の奥の筋肉に働きかける
普段運動をしようとして、腹筋や腕立て伏せなどの筋トレをする方もいらっしゃると思います。このような筋トレだと、実は体幹の筋肉を鍛えることにはつながりにくいのです。骨盤の歪みで偏ってしまっている筋肉は、体のコアの筋肉。
ストレッチポールを使ったエクササイズをすると、通常の筋トレとは異なり、身体の奥の筋肉に働きかけてくれます。そのため、骨盤まわりの筋肉にも働きかけることができ、骨盤の歪みを調整することができるのです。
ストレッチポールの選び方
身長の高さに合わせた長さと直径サイズで選ぶ
ストレッチポールにも、さまざまな種類があります。では、どのように選べばよいのでしょうか。
まずは、自分の身長に合わせた長さと直径で選びましょう。長さは、おしりから頭までつけたときに、はみ出したりしない長さを。直径は、寝っ転がってヒジを床に付けたときに、二の腕やヒジに張りを感じすぎないサイズにしましょう。一般的には、特に身長155cm以下の小柄な女性は、小さめのサイズが合う傾向にあります。
また、円柱形のストレッチポールだけではなく、カマボコ型のハーフサイズのストレッチポールもあります。底面が平らなので、円柱形だとバランスがとれずに不安を感じたり、背中周りが硬い方には、ハーフサイズを選ぶとよいでしょう。
運動量とバランス感覚の有無によって材質を選ぶ
ストレッチポールの材質は、自身の運動量とバランス感覚の有無によって選びましょう。運動量やバランス感覚がある方は、硬めのストレッチポールを選びましょう。反発力が高いため、エクササイズを行うときに適度な負荷をあたえ、効果を高めてくれます。
また、運動量やバランス感覚に不安のある方は、柔らか目のストレッチポールを選ぶとよいでしょう。反発力が控えめなので、ストレッチポールに寝っ転がったときに安定感があり、エクササイズの負荷もやわらぎます。
ストレッチポールを使ったエクササイズの効果
正しい姿勢状態の感覚がつかめる
ストレッチポールに寝っころがると、正しい姿勢状態をとることができます。この状態でエクササイズを行えば、正しい姿勢状態がどのようなものか、感覚としてつかむことができるでしょう。
骨盤の左右バランスが均衡化する
ストレッチポールを使うと、骨盤の左右で偏りがあった筋肉もゆるむため、左右バランスを均衡化することができます。この均衡化状態でエクササイズを行うと、筋肉が整い、骨盤を正しい位置で固定することができるでしょう。
股関節の動きがスムーズになる
ストレッチポールの効果は、骨盤を正しい位置に整えるだけではありません。股関節が硬い人も、ストレッチポールを使ったエクササイズで股関節の柔軟性を取り戻し、動きをスムーズにすることができるのです。
身体のむくみや冷えの改善が見られる
ストレッチポールでエクササイズをすると、肩甲骨まわりや股関節がストレッチされます。すると、滞っていた血行やリンパの流れが改善されます。これによって栄養や酸素が身体のすみずみまで行きわたるため、疲労感の改善だけではなく、基礎代謝もあがり、身体のむくみや冷えが改善されるでしょう。
筋肉をゆるめてインナーマッスルを強化する
ストレッチポールに寝っ転がると、アウターマッスル(外側の筋肉)がゆるみます。この状態でエクササイズをすると、身体のインナーマッスルに刺激が届き、強化されることになります。
インナーマッスルが強化されると、骨盤や姿勢の歪み改善だけではなく、基礎代謝もあげることができるので、痩せやすい身体を手に入れることができますよ。
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睡眠の質改善
最近、睡眠の質が良くない…と感じていたら、ぜひ就寝前にストレッチポールを使いましょう。
ストレッチポールによって筋肉の緊張がほぐれるとともに、胸が開くことによって深い呼吸をすることができます。さらに、ストレッチポールの不安定さを利用してゆらゆらと揺れることで、身体は副交感神経優位の状態になり、良く眠れるように。ストレッチポールは、睡眠の質改善にも効果があるのです。
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股関節を柔らかくするストレッチポール運動
基本の姿勢を作る
1.ストレッチポールの上に乗る
ストレッチポールの端におしりを乗せて両手を床につき、背中の背骨がストレッチポールに沿うように、ゆっくりと後ろに倒れて頭をのせましょう。
2.立て膝にし足幅と腰幅は同じくらいにする
足は立て膝。足幅と腰幅が同じくらいになる位置に足を置きましょう。
3.身体を安定しリラックスできた場所を覚えておく
手足を広げたり狭めたり、伸ばしたり引き寄せたりして、自分の体が安定してリラックスできた場所を覚えておくようにしましょう。ここが基本姿勢となります。
4.準備運動をする
まずは「胸開き」。両手・両ヒジを床に付けながら、ゆっくりと胸の高さまで広げましょう。無理なく、楽な高さまで広げたら、ゆっくりと呼吸します。ひと呼吸ごとに肩が落ちて、胸が広がることを意識しましょう。
次に「膝開き」です。腕は元の位置に戻し、両膝を外に広げて足裏を合わせます。足の裏の間が開いていてもかまいません。その後、足をポールから離し、楽な位置まで戻します。身体が安定する場所で、ゆっくり呼吸します。ひと呼吸ごとに股関節がゆるんでいくことを意識しましょう。
骨盤スライド運動で骨盤周りの筋肉を動かす
準備運動が終わったら、骨盤を正しい位置にセットするために「骨盤スライド運動」をしましょう。
ストレッチポールに寝て基本姿勢をとり、腰回りを左右にスライドさせるように、ゆらゆらと動かします。腰が床と平面に動くように意識しながら、10~20回ほどゆらしましょう。この運動によって骨盤がゆるみ、左右差が解消されます。
股関節周りの筋肉を緩める片足ワイパー運動
骨盤と股関節まわりの筋肉リラクゼーションの「片足ワイパー運動」と呼ばれる運動は、基本姿勢から片足だけ伸ばし、伸ばした足をバイバイするように内外にゆすります。
5回程度行いますが、脚の付け根から動かすことを意識しましょう。次に、内側に倒したまま数秒間キープし、よくストレッチしたら足を外側に開いて力を抜きましょう。終わったら反対側の足も同様に行います。
エクササイズの注意点
ストレッチポールのエクササイズは簡単にできるものばかりですが、注意点もあります。まず、無理をして身体を伸ばしすぎたりしないようにしましょう。
また、不安定なストレッチポールの上でのエクササイズ。バランスを崩してしまうとポールから落ちてしまうこともあるので、無理は禁物です。さらに、ストレッチポールの上に長時間寝ないようにしましょう。身体に痛みがおこる可能性があるので、長くても一度に15分程度を目安としましょう。
ストレッチポールの効果をアップできるポイント
筋肉をゆるみやすくするように室温を上げる
身体や筋肉をゆるめるためには、ある程度の温度が必要です。筋肉がゆるみやすくなるよう、室温は下げすぎないよう、快適な温度を保っておくようにしましょう。お風呂上がりにストレッチポールを使うと、身体が温まっているのでおすすめです。
気分をリラックスさせるために部屋をやや暗めにする
部屋の明るさは、やや暗めのほうが落ち着いてリラックスできます。昼間にエクササイズをするときは、カーテンで明るさを調節するとよいでしょう。また、就寝前にエクササイズをするときは、照明を落とした寝室で行うと、終わってすぐに眠ることができます。
副交感神経を優位にさせるために音楽をかける
身体と心をリラックスさせ、副交感神経を優位にして眠りの質を上げるためには音楽も効果的です。ピアノやヴァイオリン、オルゴールなどのゆったりした音楽をかけることによって、ヒーリング効果が得られます。
リラックス効果のある香りを取り入れる
香りによる脳への刺激も、リラックス効果が得られます。ストレッチポールを使うときには、アロマテラピーも取り入れてみましょう。お好みの香りを選んでいただければと思いますが、リラックス効果のある香りとしては、ラベンダーやベルガモットなどもおすすめです。
ストレッチポールを取り入れて健康な身体つくりに役立てる
股関節や骨盤が歪んでしまうと、身体にさまざまな不調が表れてしまうことがわかりました。でも、ストレッチポールでエクササイズをすると、股関節や骨盤の歪みが改善され、整った健康な身体を取り戻すことができます。自宅でも手軽に取り入れられるストレッチポールを使って、健康な身体をつくりましょう。