目次
運動後のストレッチの効果
体内循環を改善する
運動をしたあとには、体内の流れが滞りがちになります。運動中には、筋肉が大量の血液を必要とするため、筋肉に血液が多く集まっていきます。運動を急にやめてしまうと、筋肉に溜まった血液がそのままになり、貧血状態になってしまうのです。
運動後のストレッチにより、血流を促し、体内の循環を正常に整える効果があります。
心臓への負荷を軽減する
運動後に、急に動きを止めてしまうと、心臓に負担がかかってしまうことがあります。筋肉の動きが止まり、血流が滞ると、筋肉の分まで心臓が働こうとして、心臓に負荷がかかりすぎてしまいます。
運動をしたあとに、すぐに動きを止めてしまうのではなく、ストレッチを行うことにより、心臓にかかる負担を軽減することができます。
固くなった筋肉を緩める
ストレッチには、緊張状態にある筋肉を緩める効果もあります。運動によって使われた筋肉は、固くなり、ケガなどを引き起こしやすい状態になってしまいます。運動により緊張状態にある筋肉は、ストレッチでほぐしましょう。
筋肉を緩め、疲労蓄積やケガの起こりにくい、しなやかな筋肉に整えることができます。
血行を筋肉から心臓に循環させる
運動により、筋肉に集中していた全身の血液は、急に止まることで、筋肉に滞ります。それによって、脳や心臓が貧血状態になってしまうため、めまいやふらつき、吐き気などを引き起こすことも。
運動後のストレッチで、血流を促し、血液を筋肉から心臓へと循環させてあげましょう。体内の血流の動きを正常にし、体への負担を抑えることができます。
運動後の効果的なストレッチのやり方
運動後10分以内に開始
運動後のストレッチは、10分以内に始めることが大切です。運動をしたあと、すぐにストレッチを行わないと、身体がそのまま休息状態に入り、効果が得られにくくなってしまいます。
運動後のストレッチは、運動を終えたあとできるだけ早く行うようにしましょう。
体を緩めることを意識する
ストレッチには、さまざまな方法がありますが、まずは凝り固まった身体を緩めていくことを優先させましょう。運動によって使われた筋肉は、固くなり、ケガや疲労が起こりやすくなってしまいます。
また、運動によって興奮状態にある心を、ストレッチによって鎮める効果もあります。運動後のストレッチで、身体を緩め、心身共にリラックスできるようにしましょう。
負荷は強めから弱めへと変化させる
ストレッチで身体にかける負荷は、身体の状態によって少しずつ変化させていきましょう。初めは、運動により固くなった筋肉をほぐすため、負荷をしっかりかけて行うと効果的です。
身体がほぐれてきたら、少しずつ負荷を弱めていきます。身体の状態に合わせ、ストレッチの負荷を変化させていくことで、ストレッチによる身体への効果を高めることができるのです。
15分程度を目安に行う
運動後のストレッチは、ていねいにしっかり行いましょう。ただし、長すぎるのは逆効果になってしまうことも。運動後のストレッチは、運動していた状態から、休息状態へと調整するためのものです。
ストレッチが長すぎると、身体はなかなか休息できず、新たに疲労を重ねてしまいます。運動後のストレッチは、15分程度にとどめておきましょう。
体調を考慮しながら行う
身体の状態を整えるためのストレッチは、その日の体調に合わせて行うことが大切です。運動メニューがいつもと同じでも、体調によって身体への負担は大きく変化していきます。
痛みや疲労を強く感じる部分には、いつもより念入りなケアが必要です。無理をせず、自分の身体の状態に合わせたストレッチを行っていきましょう。
有酸素運動を取り入れる
運動を終えたあとの身体には、軽い有酸素運動で酸素を取り入れるのがおすすめです。酸素をしっかり取り入れることで、血液の循環を促すことができます。運動の内容に合わせて、軽いジョギングをしたり、ゆっくり歩いたりしてみましょう。
少しずつ動きを軽くすることで、体を休息モードへと切り替えることができます。
▼さらに詳しい解説はこちら
ダイエットには有酸素運動がおすすめ。効果アップの方法や注意点も
下半身全体のストレッチ
下半身全体のストレッチ法
1. 片膝を床につけてマリオのジャンプポーズをする
血流が滞りやすい下半身は、ストレッチでしっかり緩めてあげましょう。まず、膝立ちになります。次に、右足を前に出し、膝を立てた状態にします。膝の角度は、直角よりも大きくなるようにした方が安定します。
2. ゆっくりと曲げた足に体重を移動する
両手は右膝に乗せましょう。そのまま、少しずつ曲げた右足に重心を移動していきます。左足の付け根がじんわりと伸びていく感覚を意識しながら行います。
3. 背筋はピンとした状態を維持する
重心を前にずらしていく際、背中が丸くなってしまわないように気を付けましょう。背筋を伸ばした状態で行うことで、効果を得やすくなります。
4. 体重をかけた状態で15秒程キープする
右足に体重をかけ、そのまま15秒ほどキープしましょう。左足の付け根が伸びているのを感じましょう。反対も同様に行います。
上半身はリラックスした状態を維持する
固くなった筋肉を緩め、血流をしっかり促すためには、身体の力を抜いて、リラックスした状態で行うことが大切です。下半身のストレッチでは、下半身に意識がいきすぎて、上半身につい力が入りがちです。
肩の力を抜いて、リラックスすることで、ストレッチによる効果をより高めることができるのです。
ゆっくり深く深呼吸をしながら行う
一見関係ないように思える、ストレッチと呼吸。合わせて行うことで、ストレッチによる効果を高めることができるのです。深い呼吸によって、酸素が体中に行きわたり、身体がリラックスした状態になります。
また、緊張した筋肉をほぐして緩める効果も期待できます。ストレッチを行うときには、深い呼吸を意識することが大切です。
骨盤が正しい位置になるように意識する
ストレッチをしているとき、悪い姿勢や普段の癖によって、正しい状態でないことがあります。自分で行うストレッチは、身体が曲がっていても気が付きにくく、正しい姿勢が取れていないことも多いもの。
正しい姿勢をキープしたままストレッチを行うためには、骨盤の位置を意識することをおすすめします。骨盤を立てるようにし、腰骨の位置や尾てい骨を意識して行うとよいでしょう。
痛みがある場合はやめる
ストレッチで筋肉をほぐし、体を緩めているときに、痛みを感じることがあります。痛みがあるときには無理をせず、ストレッチはやめた方がよいでしょう。痛みをさらに強めてしまうことがあります。
痛みが長く続いたり、何もしていないのに痛かったりするときには、念のため病院を受診した方が安心です。ストレッチは、運動したあとの身体の状態を確認するいい機会です。
自分の身体とゆっくり向き合って、異変がないかチェックしておきましょう。
上半身全体のストレッチ
上半身全体のストレッチ法
1. 正座し両手をまっすぐ上にあげる
肩や首など、凝りやすい上半身は、ストレッチで伸ばし、緩めていきましょう。まず、正座をし、両手を頭の上にまっすぐ伸ばします。
2. 両手をあげたまま床におでこをつけるように上半身を倒す
身体を前に倒し、おでこを床につけていきます。このとき、頭の上に伸ばした両手も一緒に倒し、そのまま手のひらも床につけましょう。
3. 背中や腕の筋肉を伸ばすように意識する
身体の前に伸ばした両手と、おでこを支えにして、背中や腕、肩周りの筋肉を伸ばしていきましょう。両手はやや前に伸ばすような感覚で、また、あごをひくようにすると、ストレッチによる効果を実感しやすくなります。
下半身は肩幅程度に開いてリラックス
上半身の筋肉をしっかり伸ばし、筋肉をほぐしていくためには、余計な力を入れないことが大切です。正座の状態にある下半身は、できるだけ力を抜いてリラックスしましょう。
膝を肩幅程度に開くことで、安定感が増し、余計な力を入れずにストレッチを行うことができます。
重心はできるだけ中心にあるように意識する
上半身を伸ばすときに、身体が左右に偏ってしまうと、十分にストレッチを行うことができません。重心を意識し、体をバランスよく整えていきましょう。重心が体の中心にくるようにイメージすることが大切です。
運動後のストレッチは痛みの軽減効果はない
痛みに効果がない理由
よく「運動後にストレッチを行うと筋肉痛を予防できる」という話を耳にします。実際に、ストレッチによって疲労を軽減することができたり、回復を早めたりすることはできますが、根拠はなく、痛みを完全に防ぐことは難しいもの。
筋肉痛は、運動により、筋肉に細かい傷ができてしまうことが原因で起こります。その傷が治っていくときに炎症を起こし、それが筋肉の痛みとして現れるといわれています。
ストレッチを行っても、傷の修復はできないため、ストレッチをしていても筋肉痛を防ぐことは難しいというわけです。
ストレッチは体の柔軟性を向上させる
痛みを取り除く効果は期待できませんが、ストレッチには体をしなやかに整えてくれる効果があります。筋肉をしっかり伸ばすことで、体の柔軟性を高め、ケガをしにくい身体へと整えることができるのです。
筋肉痛を防ぐことは難しいストレッチですが、体を柔らかくし、筋肉痛の原因となる筋肉の損傷を抑えることは可能です。普段から、ストレッチを取り入れ、柔軟性を高めておくとよいでしょう。
痛みの予防のためにはアイシングがおすすめ
ハードな運動をしたあとに、ひどい筋肉痛に襲われることがあります。痛みを軽減するためには、アイシングを行いましょう。運動によって熱く、疲労が溜まった筋肉を冷やすことで、筋肉痛が起こるのを防ぐ効果があります。
運動をしたあと、筋肉痛の心配があるときには、すぐにアイシングで冷やし、筋肉痛を予防しましょう。
マッサージも一定の効果あり
運動による疲労蓄積を防ぐためには、マッサージも効果的です。運動によって疲労し、固まった筋肉をほぐし、血流を促すことができます。マッサージにより、疲労やコリを軽減し、身体への負担を抑えることができるのです。
マッサージは、自分で行うことで、体調に合わせて調整することができます。コリの強い部分は念入りに行うなど、状態をみながら取り入れられる効果的な方法です。
入浴や食事で効果的に回復させる
ストレッチやマッサージに加え、入浴や食事も身体を回復させるのに効果的です。入浴は、全身の血流を促すことができるので、疲労回復におすすめです。ただし、運動直後の入浴は身体に負担がかかることがあるのでやめましょう。
食事では、運動によって失われた栄養素をしっかり補うことが大切です。傷ついた筋肉を修復させるタンパク質や、エネルギー補給の糖質、汗で失われたビタミンやミネラルなどを効果的に摂取しましょう。
栄養補給に関しては、運動直後がよいとされています。手軽に摂取できるものを用意しておくと便利です。
運動後のストレッチは筋肉を緩めることを意識しよう
運動を行う前の準備運動はするけれど、終えたあとのストレッチはつい忘れがちになっていませんか?運動後のストレッチは、身体の状態を整えるのにとても重要な役割があり、必ず行いたいものです。
筋肉をほぐし、血流を正しく整え、疲労を溜まりにくくすることができます。特に、ハードな運動を行うと、心拍も一気に上がり、筋肉も収縮し、かなりの負担がかかった状態になることも。
運動後のストレッチは、負担がかかった身体の状態をほぐしながら整え、少しずつ落ち着かせてくれます。エネルギーを使って興奮した精神状態を、少しずつリラックスさせることもできるのです。
運動を楽しんだあとには、ストレッチで心も身体もすっきり整えましょう。