目次
安眠できない悩みの症状
睡眠をとっても疲れがとれない
ちゃんと睡眠をとっているのに疲れが取れない、ということがあります。毎日の生活が忙しく、緊張感を引きずったまま眠りについてしまうと、血管が収縮し血流が悪くなるため、心を落ち着かせるホルモンが十分に行き届かなくなります。こうして、眠りが浅くなり、疲れを感じることが多くなるのです。
不眠や寝つきが悪い
布団に入って眠ろうとしても、1時間以上寝付けないなどの症状を、入眠障害といいます。これは自律神経のバランスの乱れが原因の一つです。自律神経には、休む神経の副交感神経と、動く神経の交感神経の2つあります。通常、夜は副交感神経が働くので眠くなるのですが、自律神経のバランスが乱れると、交感神経が働き寝つきが悪くなったり不眠になったりするのです。
日中に眠気を感じることが多い
十分な睡眠をとっているつもりでも、日中に眠気を感じることが多かったり、仮眠するとそのまま長時間寝てしまったり、ということが多々あるという人もいるでしょう。これは、必要な睡眠時間が取れていないこともありますが、他に、過眠症や睡眠時無呼吸症候群などの可能性もあります。
過眠症
過眠症とは、夜間に十分な睡眠時間をとっているはずなのに、昼間に耐えられないほどの強い眠気が生じ、起きているのが困難になる症状です。また、過眠症は、仕事中や食事中、人と会話しているときなど、眠ってはいけないときに何度も居眠りしたくなるような強い眠気に襲われるという特徴もあります。眠気によって、集中力がなくなるため、仕事や勉強のほか、生活にも支障をきたすことが多くなります。
過眠症の主な原因は、仕事のストレスなどです。また、仕事などの生活環境だけでなく、睡眠の質が低かったり、体内リズムの乱れ、遺伝的な原因もあると言われています。病気の1つなので、寝ても寝ても眠い状態に悩まされている場合は、専門の医師の診断を受けることをおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状は、いびきです。眠っている間に空気の通り道である気道が狭くなり、呼吸がしにくくなる病気です。睡眠中にきちんと呼吸ができないと、心臓をはじめ身体への負担がかかり十分に休息がとれません。その結果、睡眠不足になります。睡眠中のいびきの途中でときどき呼吸が止まってしまう、起きるときに疲労感を感じる、集中力が続かない、などの症状があります。肥満体型の人や、顎が小さい人に比較的多く見られます。
睡眠中のことなので、家族などから知らされないと気づきにくいですが、日中も眠いことが多いと感じたら、原因の一つとして注意し検査することをおすすめします。
寝ざめが悪い
よく眠れてはいるが、なかなか起きれなかったり、朝の寝ざめが悪くスッキリしない、二度寝してしまう、という場合も、不眠の症状です。睡眠時は、一定の周期で深い眠りと浅い眠りを繰り返しています。浅い眠りの時に目覚めると、スッキリと目覚める事ができ、逆に深い眠りの時に目覚めると、寝ざめが悪かったり、しばらく眠気が残りぼんやりすることが続いたりします。目覚めが悪い人は、この睡眠の周期と起床時間がずれている可能性があります。
寝ざめが悪い原因としてもう一つ考えられるのが、体温が低いということです。睡眠時は、自律神経の影響で体温が下がります。特に低血圧や冷え性の人は、体温の上昇機能がうまく働かず、起床時刻になっても身体が温まらないまま身体の機能が働きにくく、寝ざめが悪くなると考えられます。
睡眠時間が足りない
朝なかなか布団から出られない、目覚まし時計を繰り返しかけている、午後になると疲労感を感じる、昼寝をしないと疲れて1日を過ごせない、テレビを見ながら寝てしまう、などこれらの症状がある場合は、睡眠時間が足りていない可能性があります。睡眠時間が足りないと、身体にいろいろな不調が起こります。睡眠中は、身体は休んでいますが、脳は成長ホルモンを出したり、昼間傷ついた細胞を修復したり、と動いています。睡眠は身体と脳、そして心のメンテナンスの時間です。
多くの人は気づかないうちでも、少なからず睡眠不足になっていることが多いでしょう。これは心身ともに危険なことです。成人の必要な睡眠時間は、7~8時間と言われています。これは実際に寝っている時間です。体のためにも心のためにも、しっかり睡眠時間を確保できるような生活を心がけましょう。

安眠に効果的なツボの種類
耳の後ろにある安眠のツボ
耳の後ろに下に向かって尖っている骨があります。そこから下におよそ指1本分のところにあるのが「安眠」というツボです。このツボは、不眠、寝不足の場合に使い、不眠の人はこのツボが凝っていることが多いです。
押し方は、頭の後ろから反対側の手を回し、中指でゆっくり指圧しましょう。少し強めに10~20秒ほど押し、5~10回繰り返すのが効果的です。
?耳の後ろの髪の生え際にある完骨のツボ
耳の後ろの膨らんでいる部分(乳様突起)から内側にずれた髪の生え際に「完骨」というツボがあります。このツボは、副交感神経を起こすツボで、刺激することで顔の周りの血行促進に効果があります。不眠の他にも、肩や首の凝り、頭痛などの症状にも効果的です。
押し方は、親指をツボにあて、ゆっくり上に押し上げるように指圧しましょう。
耳の上部内側の真ん中にある神門のツボ
耳の上部内側の真ん中(上部のくぼみ)の部分にあるツボは「神門」と呼ばれます。
このツボは、精神安定・ストレス緩和のツボです。神門を刺激することで、副交感神経が活性化されリラックス効果がありストレス緩和につながります。
押し方は、人差し指を神門に当て、後ろ側を親指で挟みます。神門をこするように押し、痛くない程度に刺激するのがポイントです。綿棒などを使って刺激するのも良いでしょう。
頭の頂上にある百会のツボ
頭の頂点にあるのは「百会」と呼ばれるツボです。詳しい場所は、耳と鼻を延長線上で結んだところで、つむじより手前にあります。指で触ると少し柔らかい部分で、つむじより柔らかいです。このツボは、不眠、眠気、ストレス、自律神経などに効果があり、抜け毛、頭痛やめまいなどの改善効果も見られます。
押し方は、ツボに左右の中指を重ねるように当ててゆっくり指圧します。
かかとの裏にある失眠のツボ
かかとの裏のふくらんだ部分の中央にあるツボは「失眠」と呼ばれます。このツボは、不眠、むくみ、冷え、足の疲れなどに効果があります。
押し方は、親指か棒状のものを使うと指圧しやすいです。温めるとより効果的です。または、イスに座って片手で足首を持ち反対側の手で握りこぶしにして、ツボを20回程度ゆっくり叩くのも効果があります。

安眠に有効なツボの押し方
1か所につき刺激を与えるのは10~20秒ほどにする
ツボを押すときは、ツボの凹みに対して垂直になるようにツボを押しましょう。ゆっくり1,2,3と数えながら、10~20秒ほど押します。少しずつ力を強くしていき、緩やかに力を抜いていきます。これを5~10回繰り返すと効果的です。
ゆっくり深呼吸をしながら行う
安眠のためにツボを押すタイミングは、リラックスしている時間が最も効果的です。安眠に必要なのは心身のリラックスです。リラックス効果を高めるには、ゆっくり深呼吸しながら行いましょう。
深呼吸は、自律神経をコントロールすることにもつながります。息を吸うときに交感神経、息を吐くときに副交感神経が調整されます。深呼吸でゆっくり息を吐くことで、休む神経である副交感神経が刺激され、リラックス効果が高まるのです。
足の裏などは硬い棒や指の関節を使って押す
足の裏のツボは、指先で指圧するより、ペンやマッサージ専用の硬い棒や指の関節などで指圧する方が効果的です。片方の足のツボだけを押すのではなく、両足のツボとも刺激しましょう。
指の関節で指圧する場合は、まずこぶしを硬く握ります。そして、人差し指か中指のどちらか一方の関節で足つぼを刺激すると、指より強い刺激を与えることができます。

安眠の質を高めるツボを押す時のポイント
痛くない程度に程よく刺激する
ツボを刺激するときは、いきなり強く押すのではなく、ゆっくりと、痛くない程度で気持ちいいと感じる程度の強さで刺激します。ツボの場所によっては、痛気持ち良いと感じる程度の強さでもよいでしょう。これは人それぞれ違いますので、自分にあった力の加減を見つけてくださいね。
子供にするときは手のひらでさするようにする
子供の寝つきが悪いというときなども、安眠のツボは効果的です。ただし、ツボを刺激するときは、押さないように注意しましょう。手のひらを使い、優しくさするように撫でてあげるだけで十分です。
また、乳児の場合は、ツボ周辺を優しくさする程度の刺激で良いです。子供は、ツボが未発達なので、決まった部分を刺激するより、広い部分をさすってあげるようにしましょう。
リラックスした時間帯に行う
前でもお伝えしたように、安眠のためにツボを押すのは、リラックスしている時間帯が最も効果的です。例えばお風呂上がりや、寝る前などにツボを押すことで、より心身がリラックス状態に入るだけでなく、さらにツボの「睡眠の質を高める」という効果もあります。
さらにリラックス効果を高めるには、ゆっくり深呼吸しながら行いましょう。深呼吸は、自律神経をコントロールすることにもつながります。息を吸うときに交感神経、息を吐くときに副交感神経が調整されます。深呼吸でゆっくり息を吐くことで、休む神経である副交感神経が刺激され、リラックス効果が高まるのです。
ケガや皮膚疾患のひどい時は行わない
ケガや皮膚疾患がひどい時にツボを刺激すると、傷が化膿してしまったり、皮膚疾患が悪化する可能性があります。ケガや皮膚疾患が治るまで、ツボは刺激しないようにしましょう。

ツボ押しにプラスしたい安眠対策
よく噛んで食べて食物を消化する
よく噛んで食べると、副交感神経の働きが活発になります。そのため、よく噛んで食べて食物を消化すると、リラックス効果につながり安眠できるということです。
ただ、あまり噛みすぎると食べた物がドロドロになり、消化の働きが抑制されてしまいます。消化の働きも副交感神経ですので、過剰に噛むと逆効果になります。できるだけ副交感神経を刺激するためには、ほどほどによく噛んで食べるというのが大切です。
入浴する際はぬるめのお湯にする
入浴はリラックス効果が高まり、より安眠につながります。また、身体を自然に温めるというメリットもあります。お風呂に入ってぬるいと感じる温度は、38℃~40℃くらいのお湯で、この温度のお風呂に20~30分ほどつかり、体温をゆるやかに上げると、寝つきを良くするのに効果的です。
ただし、38℃というのは思ったよりぬるく感じるかもしれません。これはあくまでも目安なので、自分にとって心地よく感じる温度で入浴しましょう。
また、寝る直前に入浴すると体温が下がるまでに時間がかかってしまうので、スムーズに寝付けなくなります。寝る時間の1時間ほど前にお風呂から出るのが良いでしょう。
アロマオイルでマッサージをする
アロマは私たちの心に大きな影響をもたらし、アロママッサージの香りでリラックス効果を得ることができます。アロマは、自律神経の視床下部に伝わり、副交感神経を刺激し自律神経のバランスを整えてくれます。
どの香りを選ぶべきか迷うかもしれませんが、「良い香り」と感じるものが、自分の身体が求めている香りとされています。逆に「嫌な香り」と感じる場合はアロマの効果・効能が合っていても選ばなくてもよいでしょう。
参考までに、安眠やリラックスの効果・効能があるとされるアロマをご紹介します。スウィートオレンジ・マンダリン・グレープフルーツ・ラベンダー・イランイラン・ネロリ・ローズウッドなどがおすすめです。
お灸を置いて身体の芯を温める
お灸はもぐさというドクダミの葉っぱから作られたもので、もぐさを燃やしたものを皮膚の上にのせ、その周辺を温めて刺激するものです。お灸は、一般的にツボの上に置いて使用し、温熱効果によってツボを刺激していきます。
お灸はツボを刺激するだけでなく、香りでリラックス効果もあります。お灸を据え、ゆっくり過ごす時間も不眠解消には大切です。あまり馴染みがないかもしれませんが、安眠をもたらす1つの方法として、ぜひお灸を試してみてください。
ストレッチや深呼吸も取り入れる
普段の姿勢で体はいつも緊張状態にあり、首や肩がガチガチに凝ったり、腰やお尻回りもかたまっています。寝る前や入浴後のストレッチで身体をほぐして寝ると、スムーズに眠りにつくことができます。
また、ストレッチと併せて深呼吸も取り入れましょう。ゆっくり息を吐くことで副交感神経が働き、リラックス効果が高まります。
▼さらに詳しい解説はこちら
ヨガやストレッチの効果は?疲れた身体を癒して快適に過ごそう

安眠するために生活で心がけること
寝ざめに太陽の光を浴びる
安眠するためには、寝覚めに太陽の光を浴びることも大切です。それは、太陽の光(特に朝日)を浴びることで、体内時計がリセットされるからです。
地球の自転は一日24時間ですが、体内時計は必ずしも24時間ぴったりではありません。人によって、23時間~25時間の幅で体内時計が備わっていて、太陽がまったく当たらない部屋で過ごすと、体内時計はどんどんずれていくそうです。体内時計が正しくリセットされると、日中はセロトニンなどの働きにより交感神経系が働くので、活発に活動することができます。
また、夕方から夜になると副交換神経系が働き始め、身体はリラックス状態になっていき、だんだん眠くなります。朝の太陽の光を浴びて、無理のない生活リズムで安眠を手に入れましょう。
寝る前はカフェインやアルコールの摂取を控える
コーヒーを飲むと目が覚めるという人も多いでしょう。カフェインは刺激物で、血液中にアドレナリンが増加し、血糖値や血圧、脈拍を上昇させるので目が覚めてきます。安眠のためにも、夕方以降にカフェインは飲まない方がよいでしょう。
コーヒーのほかに、紅茶、コーラ、ウーロン茶、チョコレート、ココアなどにもカフェインは含まれています。また、風邪薬や栄養ドリンクにもカフェインは含まれているので、要注意です。
それから、お酒を飲むとよく眠れると思われがちですが、それは間違いです。確かに寝つきは良くなるかもしれませんが、アルコールは睡眠の質を悪化させます。
アルコールを飲むと、睡眠時間が長くなる傾向があり、レム睡眠が減り深い眠りが増加しますが、睡眠の後半に交感神経の働きが高くなります。それによって変な時間に目が覚めるようになります。それから、アルコールを飲むと、トイレが近くなることも睡眠の質を悪化させます。
寝る前はパソコンや携帯電話を見ないようにする
寝る前にパソコンや携帯電話(スマートフォン)を見ると、脳は興奮状態になります。また、パソコンや携帯電話の画面から出るブルーライトは、睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を抑えてしまいます。そのため、夜にブルーライトを浴びると、脳が日中と勘違いして、寝つきが悪くなるのです。
寝る1時間ほど前からは、パソコンや携帯電話、テレビなどは見ないようにし、身体と脳をリラックスさせましょう。
午後10時~午前2時の時間帯に睡眠をとる
午後10時から午前2時の時間帯に睡眠をとると、ホルモンの分泌や体の修復が高まると言われています。また、体内時計では午後10時から翌朝8時の間が睡眠時間と認識され、寝た後の前半3時間のうちに深い眠りに入って脳や身体を休め、朝に近づくにつれだんだんと目覚めへと向かいます。
仕事の関係などでなかなか午後10時に寝ることができない人は、自然な睡眠のサイクルを作るためにも、午前0時までには寝ることをおすすめします。
▼さらに詳しい解説はこちら
安眠グッズを使えば、なかなか眠れない夜もぐっすり!

今日から毎日ツボ押し実践安眠のコツを身につけて
ツボは1、2日押したからといってすぐに効果があるものではありません。自分にあったツボを見つけ、今日からお風呂上がりや寝る前に、毎日ツボ押しを実践していきましょう。
また、寝る前のカフェイン・アルコールの摂取や、パソコン・携帯電話の使用など、毎日の生活習慣が不眠に繋がっていることがわかりました。安眠につながる生活習慣も少しずつ取り入れ、安眠のコツを身につけましょう。