目次
角質について知ろう
皮膚の表面にできる主にタンパク質の表皮
角質とは皮膚を保護している、角質細胞層といわれる組織の一部のことを指しています。
角質細胞層は10~20層程に積み重なって構成されており、その間をセラミドなどの細胞間脂質で満たしています。角質層の主な主成分は、ケラチンとタンパク質で構成されているのです。
肌のターンオーバーによって、表皮の奥で新しく生成された細胞が肌表面の古い角質を押し出すことによって古い角質が剥がれ落ち、日々新しい細胞と入れ替わっています。その厚み自体ははおよそ0.02ミリ程度の非常に薄い組織ですが、肌にとって重要な役割を担っているのです。
角質の身体への役割
角質層は肌はもちろん、私達の身体にとって重要な役割を持っています。
・肌の水分を蒸発させずに保持する機能
・汚れや紫外線などの外的刺激から肌を保護する機能
このように角質は肌にとって必要な物なのです。
先ほど述べた、ターンオーバーが正常に働いている肌では、日々肌は生まれ変わり角質層はこれらの役割をしっかりと果たしてくれます。しかし、ターンオーバが乱れた肌は、古い角質が剥がれ落ちることなく、肌にとって余分な角質がどんどん積み重なってしまうのです。
間違ったスキンケアで角質が出来る
熱いお湯でゴシゴシ洗顔している
スキンケアの土台である洗顔は、正しい方法を身につけることが大切です。
まず、ゴシゴシと顔に摩擦を与えるのは絶対にやめましょう。肌の過剰な摩擦は、肌の表面に目には見えない小さな傷を多数作ります。そのことで肌の防衛反応を刺激し、肌はより丈夫な角質層を生成しようと働いてしまうのです。
また、すすぎは必ず32度~34度のぬるま湯を使用しましょう。熱いお湯で洗顔すると、肌に大切な水分や油分までも洗い流してしまいます。そのことで肌の保湿成分が不足してしまい、角質層は肌を保護するという正常な働きを失ってしまうのです。
古い角質やお化粧が残ってしまう
メイク汚れや余分な皮脂が十分に取りきれていないと、それが肌の古い角質と混ざり合って角栓となってしまいます。
角栓の成分は30%が皮脂で70%がタンパク質といわれています。よって角栓の70%は肌に残った古い角質ということになります。このように角栓とは、古い角質と皮脂汚れやメイク汚れが合体して発生するものなのです。
角栓もまた、肌を保護する作用があるため、肌には多少必要な物です。しかし、量が多いと毛穴の雑菌が繁殖しやすくなりニキビの原因などにもなります。
クレンジングや洗顔に時間を掛けている
クレンジングや洗顔は、肌への負担が大きいスキンケアになります。そのため、できるだけ素早く行うことが大切です。
クレンジング剤や洗顔料は、洗浄力が高ければ高いほど肌には負担になってしまいます。摩擦を与えたりしなくても、肌の上についてる以上それは刺激なのです。そのため肌が乾燥しやすくなり、バリア機能の低下につながります。
クレンジングや洗顔は、顔を濡らしてからすすぎ終えるまで、できるだけ1分以内に済ませましょう。
スクラブ洗顔や洗顔ブラシで肌へ刺激を与えている
毛穴の奥の黒ずみや余分な皮脂をしっかり落とせる、スクラブ洗顔や洗顔ブラシ。しかし正しい使い方をしなければ、肌への刺激になってしまいます。
どちらも、肌が敏感に傾いている時や乾燥気味の時は使用を控えましょう。また使用頻度も多くても週に2回程度にしましょう。
過度の洗い過ぎは、肌に必要な角質や皮脂まで洗い流してしまいますので注意が必要です。そして、使用後は化粧水・美容液・乳液でしっかり水分や油分を補いましょう。
保湿が足りず肌が乾燥している
乾燥した肌は水分や油分が十分に保たれないため、どんどん肌表面が乾いて硬くなっていきます。そのことで本来、剥がれ落ちるはずの角質がどんどん積み重なっていき、新しい細胞がなかなか表面に出てくることができない状態になってしまうのです。これはターンオーバーの乱れにもつながります。
また、乾燥が進みバリア機能が低下した肌は、外的刺激から自らを守ろうとする防衛本能が働くため、どんどん肌の表面の角質を厚くしようとするのです。
充分な紫外線対策をしていない
紫外線は肌の乾燥を促進させたり、肌の奥にあるコラーゲンやエスラチンを破壊します。このように肌にとって紫外線は外的刺激なのです。
紫外線対策を行っていない場合、肌は紫外線が肌の深部に侵入しないようにと、自らどんどん角質を厚くしていきます。また紫外線によって肌の乾燥が促進され、肌のバリア機能は低下していきます。
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顔の角質の役割とは?ターンオーバーとの関係性と正しいケアを知ろう
顔に角質ができる角質肥厚の原因
角質肥厚とは…
角質肥厚とは、肌にどんどん古い角質が積み重なり、肌表面が硬くなってしまうことを指します。
正常な肌は、保水能力を保たれ、ターンオーバーをスムーズに行うためのセラミドなどの成分が存在していますが、角質肥厚状態になってしまうとセラミドなどの成分が奪われやすくなり、肌の乾燥は加速してしまうのです。
また、硬くなった肌は化粧水や美容液、乳液などがスムーズに浸透せず、肌トラブルの悪化も懸念されます。
睡眠や食生活の乱れ
睡眠不足は肌のターンオーバーと大いに関係しています。
肌のターンオーバーは睡眠中、主にゴールデンタイムと呼ばれる22時から2時ころに行われています。この時間は新陳代謝が活発になり、成長ホルモンが多く分泌されるためです。したがって、睡眠中に私達の肌は生まれ変わっているのです。
また食事も肌には重要な役割を担っています。
正常なターンオーバを促すために、新陳代謝を活発にする働きのあるビタミンB、肌細胞を作る働きのあるアミノ酸を含むタンパク質、肌にうるおいを保つためのコラーゲンの合成を促すビタミンCは、積極的に摂取するようにしましょう。
また他にも肌の生成のためには多くの栄養素が必要とされます。できるだけバランスの良い食事を心がけ、身体の中から肌に働きかけましょう。
日々のストレスがたまっている
ストレスが身体に与える影響の代表が、自律神経の乱れです。この自律神経の乱れは、ホルモンバランスの乱れ・血行不良を引き起こし、新陳代謝の活性化を妨げます。
またストレスにより睡眠の質が下がることで、肌のターンオーバーにも影響を与えてしまうのです。ストレスをなくすことは難しいですが、適度に発散するなどして、蓄積するのを避けるように工夫しましょう。
加齢によりターンオーバーが乱れている
年齢を重ねることで、肌の細胞はどんどん働きが衰えていきます。このことは細胞自体の衰えにもつながり、ターンオーバが正常に行われなくなってきます。
また細胞自体が弱っていると、古い角質は剥がれ落ちることなく、どんどん肌に溜まっていってしまうのです。細胞の衰えに働きかける美容成分を普段のスキンケアに取り入れるなど、年齢に合わせたエイジングケアを取り入れていきましょう。
血流を悪くする喫煙
喫煙はビタミンCを破壊し、コラーゲンの生成を妨げます。そのことで肌を乾燥させて、バリア機能を低下させてしまうのです。このことで肌は防衛反応が働き、角質を積み重ねてしまいます。
また、喫煙による血行不良が起こり、細胞に充分に栄養が行き届かないことによってターンオーバーの乱れを起こします。
喫煙は肌にとっても身体にとっても、害しかありません。禁煙が難しい場合は本数を減らすなどの、対策を取り入れましょう。
季節の変わり目の環境変化
気温や季節の変化、また環境の変化は肌にとって大きなストレスになります。特に季節の変わり目の中でも、秋は夏に浴びた紫外線の影響で、肌に防衛反応が働いてしまい古い角質が増えてしまう可能性があります。
また乾燥した冬場は肌の水分が奪われ、肌のバリア機能が低下することによりターンオーバの乱れに繋がります。季節や環境によって衣替えをするように、スキンケア用品も季節によって肌の状態と照らし合わせながら変えていきましょう。

角質が顔へ及ぼす影響
乾燥や化粧崩れ
古くなった角質が積み重なった肌は、角質層内のセラミドや天然保湿因子がどんどん減ってしまいます。そのことで、肌内部の水分がどんどん奪われてしまい乾燥が進み、バリア機能も低下してしまいます。肌の乾燥が進むと、肌は自らを守ろうと皮脂を過剰分泌させます。それが化粧崩れの原因になるでしょう。
また古い角質が積み重なると、肌の表面に凸凹を作ってしまいます。そのためファンデーションのノリが悪くしてまうのです。古い角質を正しく除去し、肌表面を滑らかにすることが、大切です。
毛穴が詰まってニキビができやすくなる
古い角質が肌の余分な皮脂と結びつくことで、毛穴を塞ぐ角栓が生まれます。角栓は毛穴を塞ぐと、その中で菌が繁殖してしまい肌トラブルの原因になることがあります。
角栓が皮脂の出口である毛穴を塞ぎ、皮脂を栄養とするアクネ菌が繁殖して起こるのが、ニキビなのです。この場合、皮脂をしっかり取ろうと洗浄力の強い洗顔料を使用したり、肌に刺激を与えることは逆に肌のバリア機能を低下させて、角質によるニキビの悪化を招くので注意が必要です。
化粧品の有効成分を浸透させにくくする
古い角質が積み重なると、肌表面をどんどん硬くするため、化粧水や美容液、乳液などスキンケア化粧品の浸透を妨げます。
この状態になると、スキンケア後もすぐ肌が乾いているように感じてしまったりするでしょう。また、有効成分が肌に入らないため、乾燥もどんどん悪化してしまい、どんなに高価な化粧品を使用しても効果が表れにくい…という悪循環を産んでしまうのです。
肌のくすみやごわつき
角質は積み重なると、肌に表面に凸凹を作るとともに硬くなるので、肌がごわついた感じになります。またこのごわつきは、角質が積み重なっている初期段階のサインといわれています。
そのため、ごわつきを感じる…というのを一つの目安として、角質ケアを取り入れることを視野に入れるといいでしょう。
また肌のくすみの多くは、血行不良が原因となります。古い角質が積み重なり、ターンオーバーが乱れた肌は血行不良を起こしやすく、それが肌にくすみとして表れてしまうのです。
角質が酸化し黒ずみやいちご鼻になってしまう
毛穴を塞ぐ角栓は、タンパク質と皮脂で構成されています。この皮脂は空気と触れることや、毛穴内部で菌が繁殖することにより酸化を起こします。
酸化を起こした角栓は、活性化酸素を発生させて皮膚を黒くするのです。これが、毛穴の黒ずみの正体であり、いちご鼻などの原因となります。
クレーターのニキビ跡やシミが残ってしまう
角質が積み重なることで、肌のターンオーバーが乱れてしまうと、ニキビの改善だけではなく、ニキビ跡やシミも残りやすい状態になってしまいます。
ターンオーバーは肌の表面で行われますが、ニキビや紫外線のよる炎症が肌の奥の真皮層まで及んでしまうことにより、それが傷跡となりクレーター状のニキビ跡やシミとして肌に残ってしまうのです。
こうなってしまうと元に戻すには長期戦となりますので、一刻も早くターンオーバーを正常化させ、肌表面を柔らかい状態に戻してあげることが重要です。

角質除去スキンケアの改善策
湯船に浸かり身体を温め毛穴を開く
毛穴を蒸気で温めることで、毛穴を開いてくれると同時に、角質を柔らかくし溜まった汚れや皮脂も除去しやすくしてくれます。また適度な熱が肌に届くことで、血行の促進効果や代謝を促す効果もあります。
界面活性剤が使われていないものを利用する
界面活性剤は化粧品の多くに使用されています。何種類もの界面活性剤が存在しますが、クレンジング剤や洗顔料に使用される界面活性剤の特徴の多くは、洗浄力の高さです。
洗浄力が高いということは、肌の余分な角質や皮脂などもしっかり落としてくれるように感じますが、気をつけたいのが皮脂の落とし過ぎです。肌の必要な皮脂も落としてしまうことで、肌を乾燥させてバリア機能を低下させてしまいます。
また洗浄力が強いということは、肌への刺激も懸念されます。できるだけ、界面活性剤が使用されていないものを選ぶようにしましょう。
メイクをしていなくてもクレンジングをする
ノーメイクで過ごした休日なども、クレンジングは必ず行いましょう。メイクが肌に乗っていなくても、日常生活では空気中の埃や塵はもちろん、肌の余計な油分なども蓄積していきます。それらが肌に蓄積することにより、毛穴の汚れとなったり、黒ずみへと変化していくのです。
毛穴に詰まってしまった角栓や、肌の余分な皮脂は、通常の洗顔できちんと取りきるのは難しいものがあります。そのため、ノーメイクでも日常的にクレンジングを取り入れる必要があるのです。
ピーリング洗顔で必要以上に落とし過ぎない
角質ケアといえば、代表的なのがピーリング洗顔です。しかしピーリングは正しい方法で行わないと、より肌状態を悪化させてしまいます。
ピーリングのしすぎは、肌の本来必要な角質まで落としてしまう危険性があるからなのです。またピーリング洗顔自体も、肌には刺激になりますので、肌が敏感に傾いてる方には、あまりおすすめできません。
市販されているピーリング用の洗顔料は、肌トラブルの防止のためにマイルドな効果の物が多いです。しかし使用頻度は、週に多くても2回程度にしましょう。
洗顔後は冷水で毛穴を引き締める
洗顔後、念入りにすすぎをした後は、冷水を使用して顔をひきしめましょう。ぬるま湯で肌を洗顔した後に、冷水を肌にあてることで肌が温度差を感じ、それがマッサージ効果となって、肌の血行を促進してくれます。
また洗顔後にキュっと毛穴を引き締めることにより、毛穴に汚れが溜まりにくくなるのです。
化粧品は無添加を使用する
角質で肌トラブルを抱えている方の多くは、ターンオーバーが乱れていることで、古い角質が肌に蓄積している場合が多いでしょう。
そのため化粧品は肌本来の保湿成分に働きかける効果や、ターンオーバーを正常化させる働きのある、無添加化粧品がおすすめです。また無添加化粧品は刺激が少なく、肌の優しいのも特徴でしょう。
一言に無添加化粧品と言っても、種類は様々です。肌の状態も人によって違いますので、自身の肌に合った無添加化粧品を見つけましょう。
美容液で角質を軟らかくする
積み重なった角質で、肌に化粧水などがうまく浸透しない肌には、角質を柔らかくしてくれる美容効果が期待できる、ブースタータイプの美容液を使用するのがおすすめです。
洗顔後の肌にまずこちらを使用することにより、浸透を妨げる硬くなった角質を柔らかくし、肌の内部まで美容成分をしっかりと届けることができます。肌の内側にしっかりと美容成分を届けることにより、乾燥肌の改善にもつながりますよ。
角質除去のパックを使用する
古い角質を除去する方法として、パックを利用するのも効果的です。
一般的には
クレイパック:泥が余分な皮脂や角質を吸着して除去してくれるタイプのもの
炭酸パック:炭酸の泡が古い角質やメラニンをしっかり浮き上がらせて、それらを除去するタイプのもの
が代表的でしょう。これらをうまくスキンケアに取り入れることで、角質による肌トラブルの改善に繋がります。
また角質ケアパックとして、はがすタイプのものもあります。しかし、これらは吸着力は強く毛穴を広げる恐れや、はがす際に肌を傷つけてしまう恐れがあるのでおすすめできません。
▼さらに詳しい解説はこちら
ピーリングでできる顔の角質ケア。疲れ顔・肌トラブルを撃退しよう

スキンケア以外の改善策
寝具など顔に触れるものは清潔に保つ
枕カバーや洗顔タオルなどは何日おきに変えていますか?睡眠中は思っている以上に汗をかきます。その汗が細菌を繁殖させてしまいます。また洗顔タオルにも同じことがいえます。濡れたタオルには細菌がいっぱいです。その細菌が肌につくと炎症が起こりやすくなります。枕カバーもタオルも最低でも二日に一回は交換しましょう。
角質肥厚を起こさないような生活習慣を心掛ける
肌の角質による肌トラブルはの多くは、肌のターンオーバーと関係しています。ターンオーバーが正常に行われている肌は、新しい細胞が日々生成され古い角質がきちんと排出されるからです。
このターンオーバーを乱してしまう原因は、生活習慣も深く関わっています。睡眠や食生活の乱れ、またストレスのため過ぎなどには注意を払いましょう。質の高い睡眠を取り、肌の構成に必要な栄養素をバランスよく取り入れることで、身体の内側から肌トラブルの改善へ働きかけましょう。
美容皮膚科でピーリングしてもらう
積み重なった角質により、なかなか肌トラブルの改善が難しい方は美容皮膚科でのケミカルピーリングもおすすめです。
ケミカルピーリング
薬剤を使用し、その力で肌の表面に積み重なった角質を剥がれやすくすることにより、肌のターンオーバーを促進または正常化させます。この作用により、ニキビ跡や毛穴の開きなど様々な肌トラブルの改善に効果的です。
安全に早く効果を得たい方にはおすすめの方法ですが、金銭面や通院する頻度などの問題は出でくると思います。もちろん保険適用外の場合が多いので、ほとんどが自己負担になります。また強い薬剤を使う方法ですので、不安を抱える方もいるでしょう。
自分の肌の状態としっかり相談して、事前のリサーチを欠かさず行いましょう。

角質を整えてキレイな肌を手に入れよう
なめらかでうるおいある肌に導くためには、角質を整えることが必要です。
そのためには肌のターンオーバーをしっかり整えることが重要でしょう。ターンオーバーはスキンケアはもちろんですが、生活スタイルとも大いに関係しています。日頃から肌を意識した生活習慣を取り入れていきましょう。
またスキンケアでは刺激を極力減らし、乾燥を防ぐことが重要になります。正しい生活習慣と適切なケアで、角質を整えてきれいな肌を手に入れましょう。