目次
気になる角質粒
古い角質が盛り上がったもの
角質粒とは、小さなイボ状のもの。首や、胸元にもできることがあります。首すじにポツポツとできるイボは、老人性イボ、老人性ゆうぜい、脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう)とも呼ばれる角質粒。
皮膚の表面にできる細かいイボ状の突起や粒状のもので、大きさが1mmから4.5cmとさまざまです。角質粒ができる原因は、肥満や加齢により、肌の代謝機能が低下し肌表面の古い角質が厚くなることで、角質の表面が固く盛り上がる症状。ニキビのように炎症はしませんが、一度できると治りにくいので予防が大切です。
色は淡褐色や黒色まで様々
角質粒には、大きさや色にいくつかの種類があります。
老人性疣贅(ゆうぜい)
脂漏性角化症ともいわれ、紫外線やストレス、喫煙が原因ともいわれます。早ければ20代から出現します。肌の表面がザラザラし、角質が盛り上がり茶色。シミが変化することもあります。
アクロコルドン
首にできることが多く、色は肌色から褐色で2mmから3mm程度の小さなイボです。皮膚が柔らかい部位にできやすく、イボそのものも柔らかいです。加齢とともに増えるのが特徴です。脂漏性角化症に比べると大きくなっています。
スキンタッグ
首、脇、目の下などの皮膚が薄く摩擦に弱い部位にできやすいです。20代から発症する方もいますが、多いのは中高年層。アクロコルドンよりも少し大きく盛り上がっています。色は、肌色や茶褐色、黒など、肌質により変わってきます。できはじめは数ミリでも、大きくなり1cmほどになることもあります。
軟性繊維種(なんせいせんいしゅ)
直径が5?を超える大きなイボです。多発することはありません。肌色で体にできやすく、皮膚が盛りあがります。おしりやわきの下にできやすいのが特徴。
懸垂性繊維種(けんすいせいせんいしゅ)
軟性繊維種が垂れ下がったようになり、大きくなってしまったものです。肌色で、ウイルスは持っていません。大きくなるので、除去するには手術が必要です。
放っておいても無害
角質粒は古い角質が、肌の表面でかたまったもの。良性の腫瘍なので、急いで治療の必要はありません。ただ、痛い、かゆみがある、急に数が増えているといった場合は、ウイルス感染の可能性も。
大きくなった、黒く濃い色に変色してきたなどの場合は、悪性腫瘍や皮膚がんの初期症状なども考えられますので、まずは医療機関での診察をおすすめします。

角質粒ができやすい箇所
紫外線と乾燥による首
首は紫外線の影響を受けやすい部分ですが、スキンケアは忘れられることが多い場所です。紫外線の刺激でダメージを受けた肌はバリア機能が低下。肌が乾燥しターンオーバーに乱れが生じることで、古い角質やメラニン色素がたまり角質粒に変化します。
また、エアコンや暖房の使用による肌の乾燥、マフラーやストール、髪の毛などの摩擦も原因の1つとされます。
肌がこすれやすい脇
脇は肌同士がこすれやすい場所です。皮膚が薄く少しの刺激にも弱いので、衣服による刺激や摩擦も原因に。また、どんな衣服でも脇は通気性が悪く、蒸れて脇の下に汗をかくので、老廃物などで毛穴が詰まりやすくなります。
詰まった汚れが固まることで角質粒に変化することも。そのほかにタンクトップやキャミソール着用による紫外線も原因になります。
肥満気味の方は腹部
腹部の皮膚は薄く、少しの刺激にも弱いです。肌同士がこすれる摩擦も原因。肥満気味の方は、腹部の肌同士が重なりあってしまうため、角質粒が腹部にできることも。
そのほかに、化学繊維のぴったりした洋服を着用することで、肌と衣服がこすれ、摩擦で肌が傷つき角質が変形し、角質粒になってしまいます。
下着や肌同士がこすれやすい足の付け根
化学繊維の下着を身につけることにより、摩擦が生じ角質粒の原因になります。コットンやシルクなど肌に優しい素材の下着を身につけましょう。
足の付け根は、肌同士がこすれやすい場所でもあります。そのほかの原因としてあげられるのは、足の付け根はリンパの通り道であること。老廃物がたまりやすいので、血行不良の状態だとできやすくなります。
紫外線を浴びやすいまぶた
まぶたにも角質粒はできます。紫外線を浴びやすく、日焼け止めなども塗ることができないまぶたは、紫外線のダメージを受けやすい部位。
また、アイメイクの汚れをきちんと落とさなかったり、メイク落としでこすったりすることも原因の1つになります。飲むタイプの日焼け止めなどを利用し、まぶたを紫外線のダメージから守りましょう。

角質粒ができる原因
肌の新陳代謝機能の低下
角質粒の原因の1つに、加齢や生活習慣の乱れ、ストレスによる肌の新陳代謝機能の低下があげられます。肌のターンオーバーのサイクルは20代で約28日。
30代は約40日、40代は約55日、50代では約75日と年代でターンオーバーの周期は遅くなります。このターンオーバーのときに、古い角質がはがれ落ちずに肌の表面にでてしまうことで脂肪とまざり固まって角質粒となってしまいます。
紫外線による刺激
皮膚は紫外線を浴びると、紫外線の刺激から肌内部を守ろうと、肌の表皮はメラニンを生成します。ターンオーバーのときに、メラニンを生成した表皮は垢としてはがれ落ちメラニンを排出します。
ターンオーバーが乱れ、メラニンの排出がうまくいかないとシミになることも。シミがあることで角質が厚くなり肌表面がかたくなり、角質粒になることもあります。
また、紫外線により皮膚が光老化という現象が起こることにより、皮膚が厚くかたくなることも原因の一つ。日焼け止めや日傘などで紫外線対策をしっかり行うことが大切です。
肌の乾燥
肌が乾燥していると、肌の内部で水分が不足するので、ターンオーバーによって排出されるはずの古い角質が、たまりやすくなります。そして古い角質は、肌の表面でかたまり角質粒に。
また、乾燥していると肌のバリア機能が働かなくなり、外部からの刺激に対して弱くなります。とくに、首筋はケアを忘れがちなので、普段から顔と同じケアすることを心がけましょう。
衣類などの摩擦による刺激
タートルネックやハイネックなどの衣類や、ネックレスなどのアクセサリーの摩擦、肌同士の摩擦で皮膚が弱ってしまうことが原因です。弱ってしまった皮膚は傷つき古い角質や皮脂がたまってしまいます。たまった古い角質が摩擦により角質粒へと変化します。
衣類は、素材にも注意。とくに、化学繊維のものは肌への負担が大きく、摩擦が起こりやすいのです。
残った化粧汚れ
化粧は肌への負担が大きいです。化粧落としが不充分だと毛穴は詰まります。この毛穴の詰まりも原因のひとつ。毛穴が詰まることで、ターンオーバーのときに古い角質がはがれ落ちず、肌表面でかたまってしまい、角質粒の原因になります。汚れが残っているので肌もくすんだ状態にも。
また、洗顔のときに肌を強くこすることでシミの原因になります。シミが角質粒に変化することもあります。
肌の老化
年代によって、肌のターンオーバーの周期は遅くなっています。20代の肌は約28日周期ですが、40代になると約55日周期とどんどん遅くなるといわれています。
また、更年期を迎え、女性ホルモンの分泌量が減少することも原因に。肌の再生のタイミングのときに、紫外線のダメージやストレスなどの要因が加わると、古い角質が肌の表面に残りかたくなり角質粒に変化してしまいます。
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角質粒の対処方法
自分で切除
小さく盛り上がっているイボを除去するには、ハサミで切り取る、カミソリで切り落とすなどの方法があります。出血もあまりなく少し痛むくらいです。
自分で簡単にできる方法で費用もかからず時間も選ばずできますが、あまりおすすめはできません。イボの種類がウイルス性の場合もあり、肌に傷をつけることになりかねないので、傷になったところから細菌やウイルスが入り込み、感染症を発症してしまう可能性や危険性を伴います。
サプリやツールを使って除去
ハトムギエキスを配合したサプリメントが多く市販されています。サプリメントには即効性はありませんが、継続して使用することで効果が得られます。
ハトムギやドグダミは飲用茶葉としても販売されており、抗腫瘍作用と言って体の内側からいぼ状のものを取る働きを強めます。よって飲用することで、身体の中から角質粒ができにくい状態にできるともいわれています。
また、角質粒専用のピーリングジェルを使用して除去する方法も。ジェルを塗って優しくこするだけで、角質粒がはがれ落ちる効果があります。
内服して改善
漢方薬は、症状を抑えるよりも体質改善を目的としています。角質粒に効果的な漢方はハトムギから抽出されたエキスでヨクイニンといわれます。
細胞の代謝を活発にし、肌の働きを整え血行を促進します。肌の老廃物を排出する作用もあるので、新陳代謝が促進されます。角質粒の除去のほかに美肌効果にも期待できます。ハトムギエキスとして、販売されている場合は、ハトムギエキスのほかのエキスも含まれている可能性があります。
塗布して治療
角質粒に効果があるとされる、ハトムギエキスの含まれている美容液や軟膏を塗ることで治療します。そのほかに杏仁オイルや、抗菌作用があるといわれるドグダミエキス、キハダ樹液エキスなどが配合されている、イボ専用の除去クリームや美容液を塗ることにより、古い角質に潤いをあたえ、代謝を促進するので、肌の状態が整い、角質粒も改善されます。
医療機関に相談
一般の皮膚科のほか、美容皮膚科や美容外科で治療を行います。イボの大きさや症状により、治療法は変わります。
角質粒は良性の腫瘍なので治療の必要はありませんが、ウイルス性の病気の可能性もあります。かゆみや痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。
除去方法はいくつかあり、大きさや症状によりわかれます。保険適用の施術は、イボの根元を糸で縛り数日そのまま過ごし自然に落ちるのを待つ方法と、ハサミでイボを切り取る方法です。
はさみ、糸で縛って除去
保険適用の施術は、イボの根元を糸で縛り数日そのまま過ごし自然に落ちるのを待つ方法と、ハサミでイボを切り取る方法があります。
液体窒素で凍結
マイナス20℃液体窒素で凍結し、イボを凍結させてとる方法もあります。処置時間は短くすみ比較的安価。ただ、皮膚組織を殺すので少し痛みます。
メスで除去
炭酸ガスレーザーでの除去は、保険適用外です。一瞬で蒸発させて焼き切るので、治療時間は短くすみます。注意点としては、日焼けしやすくなるので紫外線対策はきちんとしなければならないことと、治療費が高額になることです。
炭酸ガスレーザーでの除去
炭酸ガスレーザーでの除去は、保険適用外です。一瞬で蒸発させて焼き切るので、治療時間は短くすみます。注意点としては、日焼けしやすくなるので紫外線対策はきちんとしなければならないことと、治療費が高額になることです。
改善効果のある成分
漢方として処方もされるヨクイニンまたはハトムギエキス
ひと昔前、中国ではハトムギをヨクイと呼んでいました。ハトムギは漢方で使用される場合、ヨクイニンといわれます。皮を剥いだ種子をヨクイニンと呼び、イボ取りに効果があります。
ハトムギには、血流やリンパの流れを良くする作用があり、飲用すれば利尿効果や抗腫瘍作用もあるといわれ、ビタミンB群やたんぱく質、カリウムが豊富に含まれているので、肌に塗ることにより代謝を促進する効果が期待できるからです。
美肌効果がある杏仁オイルまたは杏エキス
あんずエキスは、あんずの種の中の「仁」という部分から抽出されたオイルで、杏仁(きょうにん)エキス、アンズオイル、アプリコットカーネルオイルなどの別称もあります。
肌への保湿作用があり、肌を柔らかくし古い角質を取り除きます。オレイン酸が豊富で新陳代謝を促進する作用も。また、脂肪酸の一種パルミトレイン酸が含まれています。
ヒトの脂肪組織、グリセリドに含まれる不飽和脂肪酸で、肌の水分の蒸発を抑え、ターンオーバーを助ける作用があります。
皮膚トラブルの改善にドクダミエキス
ドクダミエキスは、どくだみ草から抽出されます。抗菌作用が高いので、ウイルスの侵入を防ぎ繁殖が抑制されるので、イボや湿疹などを改善します。
また、毒素を排出する解毒作用があります。血液をきれいにするので血流が良くなり、新陳代謝が促進され肌の状態が整います。そのほかに、保湿作用や収れん作用にも効果があります。
ターンオーバーを助けるプラセンタエキス
プラセンタエキスには、アミノ酸とミネラルが豊富に含まれています。アミノ酸は細胞の原料となり、タンパク質、脂質は身体をつくります。
プラセンタエキスの成分には、傷や炎症を治す効果があり、肌の細胞が活性化するのでターンオーバーが促進。ビタミン、ミネラルが身体の機能を正常にし、紫外線や外的ダメージから肌を修復します。

手軽にケアできるクリームやオイル
ジーランドビフー アンミオイル
杏仁オイルに含まれるパルミトレイン酸が、新陳代謝を促進し、肌を柔らかくします。この杏仁オイルは、アンズの種の中にある仁から抽出したオイル。常温生しぼり製法で抽出され、ビタミン、ミネラルなどの成分がそのままオイルにしました。
ハトムギエキスやなめらかな肌に導くヨモギエキス、甘草の根から抽出したグリチルレチン酸アテアリルを配合し、肌荒れ予防効果に期待できます。
プラセス製薬 杏のおかげ つるるんゲル
天然成分のあんずエキス、あんず種子エキスやハトムギエキスが配合されています。保湿成分のコラーゲンとヒアルロン酸なども含んでいますので、肌にハリを与えます。
オールインワンゲルなので化粧水、美容液、クリーム、化粧下地に角質粒ケアと一つでスキンケアができます。顔や首、デコルテなど広範囲の、角質粒や乾燥が気になる部分には、重ね付けをすることで効果に期待ができます。
コメテックスローランド ポロリンボ
プロテインや脂質を豊富に含むハトムギエキスで肌を整え、肌をやわらかくする効果があるパルミトレイン酸を含む杏仁オイルやヒアルロン酸が配合されているので、角質粒のケアにおすすめ。
無香料、無着色、パラベンフリー。化粧水で肌を整えた後、気になる部分にたっぷりと塗って使用します。きめが整いうるおいのあるなめらかな肌へ変化します。
リファレンス イボコロリ
サリチル酸には、かたく厚くなった皮膚を柔らかくし古い角質を落とす、角質軟化溶解作用がありその作用を利用した角質剥離剤です。
塗り薬ですが、糖尿病の治療を受けている方や妊婦、妊娠中の方は使用する場合医療機関に相談しましょう。また、顔や首などの柔らかい部分に使用できません。

角質粒の予防方法
肌に良い栄養素を摂取
ビタミンAを含む人参やブロッコリーなどの色の濃い緑黄色野菜は、細胞や粘膜の形成に必要とされます。不足するとターンオーバーが乱れ、乾燥しやすくなります。
ビタミンCは、新陳代謝を促進、抗酸化作用、鉄分やタンパク質とともにコラーゲンの生成に必要です。ブロッコリー、赤や黄のピーマン、アセロラ、オレンジなどに含まれています。
そのほか、ビタミンB群、たらこ、かぼちゃ、ほうれん草、サーモンに含まれるビタミンEは血行促進し、細胞を老化させる過酸化脂質の生成を防ぐとされます。
紫外線の対策
紫外線のダメージを受けると、肌は細胞を修復させようとターンオーバーの周期を早めます。ターンオーバーが乱れると、未熟な肌細胞が作られてしまいます。
紫外線を浴びてできたメラニン色素は排出されずに、シミとなり肌表面に残ります。シミの発生している角質は、厚く表面が固まるので角質粒の原因に。帽子や日焼け止めなどで、年間を通しての紫外線対策はしっかりとりましょう。
ターンオーバー正常化のためのスキンケア
人の肌は一定の周期で生まれ変わります。ターンオーバーと呼ばれるこのサイクルで、古い角質は自然にはがれ落ちます。
このターンオーバーが乱れることで、古い角質が肌の表面に残り、かたまることで角質粒になります。ターンオーバーを正常に作用させるためには、肌への水分補給をしっかり行います。
保湿成分が含まれている化粧水と乳液でスキンケアを忘れずに行いましょう。それから、規則正しい生活を送り、質の良い睡眠をとることもターンオーバーを正常化させるには大切です。

しっかりケアしながら除去していきましょう
角質粒は、古い角質が肌表面で厚くかたまってイボのようになったものです。良性の腫瘍なので、治療の必要はありませんが、急に数が増えたり、色が変わったりした場合は医療機関の診察をおすすめします。
ハトムギエキスやドクダミエキスなどが配合されている首イボ専用のクリームを使用し、毎日の保湿をしっかり行うなどで肌環境を整え、規則正しい生活を送ることを心がけましょう。