目次
エストロゲンの役割
バストの乳腺の働きを活発にする
乳腺は胸の中にある母乳を作る組織です。バストは主に、脂肪と乳腺、クーパー靭帯によって構成されており、胸の大きさは乳腺の数によってきまると言われています。
エストロゲンには乳腺を増殖させるはたらきがあります。どれだけエストロゲンが分泌されたかで、乳腺の発達の状態がかわってきます。したがって、乳腺が増えることでバストアップにもつながります。
自律神経や脳の働きを整える
40代後半ごろになると、卵巣の機能が低下しやすくなり、エストロゲンの分泌が徐々に減りはじめます。エストロゲンの分泌が減ると、月経周期が不安定となります。月経周期が遅れたり不安定になると、交感神経が優位な状態になり、身体の緊張状態が続いてしまいます。
エストロゲンの分泌が減ることで、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなり、自律神経の乱れが生じるのです。自律神経が乱れると、更年期症状のめまい、のぼせ、動悸、頭痛、イライラ、不眠などがおこりやすくなります。
骨の育成
女性が更年期を迎えると、閉経によりエストロゲンの分泌が低下することで、骨密度が減り、骨粗鬆症に悩まされることがあります。骨は、新しい骨を生成する骨芽細胞のはたらきと、古い骨を溶かす破骨細胞のはたらきが拮抗して育成されます。
エストロゲンは、破骨細胞を減らして骨芽細胞を増やしたり、食事や日光浴で得たビタミンDを体内に取り込みやすい形に変えるはたらきをしているため、エストロゲンが減少することで、骨の育成がされにくくなる可能性があるのです。
感情などの精神安定
エストロゲンの分泌が不安定な時期は、精神も不安定になるそうです。エストロゲンの分泌がはじまったばかりの思春期や、分泌が減り始める更年期は特に、気持ちが不安定になりやすい時期だということを把握しておきましょう。
エストロゲンが豊富にあることで、意欲増進、気分改善、行動の活発化、楽観的な積極性、精神機能の上昇などの安定した状態になり、抑うつ感や無気力などの「うつ状態」が起こりにくくなります。
エストロゲンはセロトニンを活発にする効果があります。セロトニンは脳内で気分を調整したり、衝動や依存症を抑えるはたらきをもっています。エストロゲンが豊富にあることで、セロトニンを十分に活発にすることができるので、精神の安定につながります。
血管を正常に保つ
エストロゲンは、動脈硬化の原因となる血中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の増加を抑え善玉コレステロールを増やし、動脈硬化を抑えるはたらきもあります。
エストロゲンの分泌が盛んな20代~40代ごろは、動脈硬化や心臓病、高血圧などの心・血管系疾患のリスクは男性よりずっと低いのです。しかし、更年期以降になるとエストロゲンの急激な減少により、心・血管系の疾患が急増して男性の頻度に近づくといわれています。

エストロゲンを増やす成分
植物エストロゲンの大豆イソフラボン
大豆製品や納豆に多く含まれています。大豆イソフラボンはエストロゲンと似た化学構造をしており、エストロゲンと似たはたらきをすることで知られています。大豆イソフラボンを摂取することで、エストロゲンの不足を補い、心身の不調の予防につながります。
エストロゲン分泌を促すポロン
キャベツなどに含まれるミネラル成分の一種の「ポロン」には、エストロゲンの分泌を増やすはたらきがあります。また、エストロゲンの濃度を2倍にするともいわれています。ポロンは熱にとても弱い成分なので、過熱をすると成分が壊れてしまいます。キャベツから摂取する場合は、生キャベツを食べるようにしましょう。
過剰摂取をしても問題ありませんが、1日の摂取目安量は2.1mg~4.3mgとなります。大体キャベツ約14g~30g程度となります。生キャベツのほかにも、リンゴ・ブドウ・ナシなどの果物、大豆・アーモンドやピーナッツのナッツ類、とろろ昆布・ワカメやヒジキ、昆布などの海藻類、ハチミツ、レーズンにも含まれています。
エストロゲン材料のビオチン
ビオチンはエストロゲンの材料となってくれます。また、健康な髪と頭皮を保ったり、体力アップや美肌などにも役立ちます。牛レバーや豆類、卵黄などに多く含まれます。
摂取しやすい食品に卵があります。卵を過熱することで、卵黄に含まれるビオチンの吸収率が格段に上がりますが、温泉卵程度の過熱が最も吸収率がよくなります。
卵巣を活性化するビタミンE
ビタミンEは、副腎や卵巣に蓄えられ、エストロゲンの代謝にも関わっています。ホルモンバランスが乱れることで更年期障害がおこりますが、エストロゲンは黄体ホルモンの材料となるので、摂取することでほてり、発汗、イライラなどの症状の軽減が期待できます。また、血行促進作用により、冷え性や肩こりの改善にも役立ちます。
欠乏症となることはまれで、不足すると動脈硬化などの生活習慣病のリスクが高まったり、皮膚においてはシミやしわなどの症状、しびれ・知覚異常などの神経症状、筋肉の萎縮などがみられます。通常食事からの過剰症の心配はさほどありませんが、サプリメントからの多量摂取には気を付けましょう。過剰摂取すると頭痛や下痢吐き気などの胃の不快感、筋力低下などを引き起こす可能性があります。
アーモンドや落花生などのナッツ類、ヒマワリ油・ベニ花油・ゴマ油などの植物油、その他、モロヘイヤ、カボチャ、ホウレンソウ、アボカド、大豆、胚芽米、ウナギ、タラコなどに多く含まれています。
エストロゲンに似た働きをするマカ
マカは男性の滋養強壮に良いなどの効果が知られていますが、実は女性にも役立つ成分なのです。ホルモンバランスを整え、エストロゲンに似たはたらきをするため、生理不順などの症状の緩和にも効果的です。ホルモンバランスが整うと、自律神経が正しく働きやすくなるため、肩こりや冷え性の改善につながりやすくなります。
マカは植物(アブラナ科の根菜)なので、副作用の心配がありません。サプリメントなどから継続して摂取することで、疲労をためない身体づくりに役立ちます。摂取の際には、アレルギーや過剰摂取とならないように気を付けましょう。
ホルモンバランス整えるB6
ビタミンB6は神経伝達物質の合成に関わる栄養素で、精神を安定させるはたらきがあります。神経伝達物質がバランス良く機能することで、ストレスのない心を維持することができるのです。
エストロゲンは脳からの指令によって分泌されるため、ストレスの影響を非常に受けやすいです。脳がストレスを感じてしまうと、正常なホルモン分泌の指令を出しづらくなってしまいます。ビタミンB6が不足すると神経伝達物質が合成される際に使われるアミノ酸の代謝が滞り、ホルモンバランスに影響があらわれます。
含有量が多い食品としては、レバーやマグロ、カツオなどがあります。また、ニンニクやバナナにも多く含まれるため、魚が苦手な方におすすめです。
ゴマなどに含まれるリグナン
リグナンを摂取すると、体内でエストロゲンと似たはたらきをしてくれるため、ホルモンバランスが整い症状が緩和されやすくなります。亜麻仁やゴマが最も知られるリグナン源です。その他、ベリー類、野菜、全粒粉にも含まれます。
また、予防効果にも優れているので、更年期に入る前から予防のために摂取するのも良いでしょう。

エストロゲンを増やすサプリ
ネイチャーメイド 大塚製薬ネイチャーメイド大豆イソフラボン
1粒に25?の大豆イソフラボンが含有されています。大豆イソフラボンは、大豆の胚軸に多く含まれ、年齢とともに減少していくエストロゲンの補助をしてくれる成分です。より美しく快適な毎日をおくりたい方におすすめです。
香料、着色料、防腐剤は一切使われておらず、遺伝子組み換えでない大豆が使用されています。
リプサ 純大豆イソフラボン 200mg
大豆抽出物イソフラボンで不安定になりがちな女性の体調をサポートするサプリメントです。更年期が気になる方、年齢が気になる方、キレイを目指す方、元気に過ごしたい方におすすめです。香料、着色料、防腐剤は使われていません。
また、遺伝子組み換えでない大豆が使用されています。1日1~2カプセルの摂取が目安です。
小林製薬 栄養補助食品エクオール
「エクオール」を直接摂ることができる栄養補助食品です。大豆イソフラボンを発酵させることで、大豆イソフラボンの一種のダイゼインが、おなかの中の腸内細菌によって代謝されて、エクオールという成分に変換されることで、イソフラボンの効果が効率よく発揮されます。
日本人の半数がエクオールを体内で作り出すことができないために、エクオールの直接摂取がおすすめです。
大塚製薬 エクエル
女性の健康と美容をサポートする、大豆イソフラボン由来の成分エクオールのサプリメントです。大豆イソフラボンのままよりも強いはたらきをすることから、エクオールは女性を支えるパワーの源です。
ゆらぎ世代の健康や美容に役立てるには、1日10?の摂取が目安となっています。体内でエクオールを作れるのは日本人の約2人に1人といわれています。
アドバンスト・メディカル・ケア エクオール+ラクトビオン酸
近年の研究で、大豆イソフラボンが腸内で代謝されてできるエクオールが、女性ホルモンと似た働きをするとわかってきました。エクオールを産生できるのは、日本人の2人に1人と言われているので、効果的な対策としてエクオールそのものを摂取することで、ゆらぎをやわらげ、元気で素敵な毎日を目指していきます。
DHC 大豆イソフラボン
大豆抽出のイソフラボンをサプリメントにしました。ブラックコホッシュエキス、レッドクローバーエキス、コラーゲン、ビタミン類も配合されています。女性の美容と健康をサポートし、いつまでも若々しく健やかな女性らしさをキープしたい方におすすめです。
製品1日分のイソフラボン含有量は、アグリコン型に変換すると約25gです。大豆イソフラボンを摂取するうえで安全な1日上乗せ摂取量の上限値は30?(アグリコン型)ですので、過剰摂取には気を付けましょう。

エストロゲンを増やすレシピ
サラダで食べる納豆
1.キャベツを千切りにする
キャベツに含まれるポロンは熱に弱いので、生で食べることがポイントです。また、切ってから洗うのではなく、葉を洗ってから切ることで、ビタミンCの流失も防ぐことができます。
2.キャベツの上に混ぜた納豆をのせる
大豆イソフラボンの1日の摂取量は75mgまでとされています。毎日納豆をたべて、イソフラボン類を含むエクオールなどのサプリを飲むと過剰摂取となる可能性があります。
過剰摂取を避けるために、サプリをのむ習慣がある場合は納豆を1日おきの摂取にしてみたり、サプリをイソフラボン類以外のサプリにしてみたり、調整しましょう。
3.納豆のつゆやおかかのりなどかけて出来上がり
キャベツに含まれるポロンでエストロゲンの分泌を促し、タンパク質を含む納豆を合わせて摂ることで効果が高まることも期待できます。
きなこ入りパンケーキ
1.適量の小麦粉の中にきなこをお好みで混ぜておく
ベーキングパウダーとコーンスターチを加えて一緒にふるいにかけ、泡だて器などで混ぜ合わせておきます。
2.混ぜた小麦粉ときなこへ砂糖と牛乳をよく混ぜる
砂糖と牛乳を別の容器で混ぜ合わせておき、1とあわせてゴムベラを使ってよく混ぜ合わせます。
3.フライパンに油をひき焼く
中火の弱火でフライパンを熱し、油を薄く広げてから焼きます。
4.パンケーキにハチミツなどかけでできあがり
お好みでハチミツやバターを塗っていただきます。きな粉の原料は大豆で、きな粉は大豆を炒ってミルで挽いて作られています。摂取することでエストロゲンの増加につながります。

エストロゲンを増やすツボ
女性ホルモンを分泌する壇中(だんちゅう)
胸と胸の間の中央、第4肋間の高さの胸骨上にあるツボです。位置がわからない場合は、押すと痛みを感じる場所を探すことで確認できます。壇中は、ストレスの度合いをみたり、心の病の診断に使われることもあるツボです。精神的な悩みをため込んでいるときに押すと痛みを強く感じます。
押すことで女性ホルモン(エストロゲン)の分泌を促してくれるので、更年期障害の症状の緩和に役立ちます。他にもバストにハリがでたり、不眠などの状態の緩和、つわりや生理痛の緩和などの症状に効果的です。
押し方は、片手の人差し指、中指、薬指の三本をくっつけ、反対の手の同じ3本指を重ねます。息を深く吐きながら、ゆっくりと3秒押します。息を吸いながら元に戻します。これを10~15回繰り返し行います。
バストアップに渕腋(えんえき)
血行促進効果のあるツボで、血の巡りが良くなり、女性ホルモンや栄養素がバストに届きやすくなる効果があります。また姿勢を矯正する効果もあるそうです。姿勢が悪くなると、胸の血管が圧迫されてしまい、女性ホルモンが胸へと行きわたりにくくなります。姿勢が良くなることで、血管の圧迫がとれ、効率的に女性ホルモンが乳腺へと流れやすくなります。
姿勢が良くなると、血行が良くなり、リンパの流れも良くなります。リンパ管も血液と同じで、女性ホルモンを運ぶはたらきがあります。姿勢が良くなると、リンパ管の締め付けがなくなり、リンパがスムーズに流れることで、バストアップにつながるのです。
場所としては、乳首の位置から約10?くらい外側の脇の下に位置するツボです。押してみると軽く痛みを感じることで確認することができます。押し方は、左右それぞれのバストのツボを同時に左右の親指を使って押します。息を吐きながら、3秒ゆっくりと押し、3秒かけてゆっくりと力を抜きます。3~5回繰り返し行います。力を抜いて行うのがポイントです。
リラックス状態で行うとさらに効果的
身体に力が入っていると、筋肉が硬直してしまいます。力を抜いて行うことで筋肉が緩み、ツボを確認してとらえやすくなります。ゆっくり息を吐きながら行うことで、身体の力が抜けます。お風呂上りなど、血行が良くなりリラックスした状態のときに行うのがおすすめです。
注意事項としては、強く押しすぎることのないように気を付けましょう。強く押しすぎると、皮膚や血管を圧迫してしまう可能性があります。また、熱があったり体調の悪いとき、妊娠中、食後、お酒を飲んでいるときは控えるようにしましょう。

エストロゲンをとりすぎるとどうなるか
痛みに敏感になる
エストロゲンは痛みにも関係しています。エストロゲンは、疼痛をひきおこす「プロスタグランジン」という物質の合成を促すのです。過剰に摂取することで、プロスタグランジンの分泌も増えるので、痛みに敏感になるといわれています。
また、エストロゲンを摂り過ぎると、プロゲステロンの分泌が少なくなり、無月経や生理痛、生理不順といった月経異常や、妊娠しにくくなるなどの可能性があるともいわれています。
太りやすくなる
エストロゲン=内臓脂肪を分解し痩せる効果があり、プロゲステロン=皮下脂肪をふやすはたらきがある、といわれています。しかし、痩せる効果があるはずのエストロゲンを摂りすぎることにより、太りやすくなる可能性があります。なぜなら、エストロゲンが過剰に分泌すると脂肪細胞が活性化してしまい、その結果太ってしまうのです。
さらに、エストロゲンが過剰になると、ホルモンバランスがくずれ、プロゲステロンの分泌を抑制します。プロゲステロンが分泌されにくくなると、さらなるエストロゲンの過剰分泌をまねくことで、さらに太りやすくなる悪循環になってしまいます。
したがって、エストロゲンの過剰摂取に気を付け、エストロゲンとプロゲステロンがバランスよくはたらくことが理想的な状態といえます。

エストロゲンを良く知り心身ともに元気に過ごす
いかがでしたか?更年期に必要なはたらきのあるエストロゲンですが、過剰摂取もまた、問題があることがわかりました。ただただ、エストロゲンが豊富にあればよいわけではなく、プレゲステロンとのバランスが大事なのですね。
上限を守り極端な摂取は避け、適度にエストロゲン摂取を意識をしつつ、心身ともに元気な日々を送りましょう。