目次

ニキビと吹き出物の基礎知識
基本的には同じ皮膚疾患
ニキビと吹き出物は皮脂が毛穴に詰まって発生する皮膚疾患です。どちらも発生する過程が同じ、毛穴詰まりによるものなので、明確な分け方の基準はないとされています。疾患の発生する場所で判断する場合もありますが、一般的には、10代にできるものをニキビ、20代以降にできるものが吹き出物と呼ばれています。
10代にできるものを思春期ニキビ
10代の思春期ニキビは、成長ホルモンが活発になることが原因で発生します。成長ホルモンが活発に動くことで皮脂の分泌が過剰になり、毛穴に皮脂が詰まることからアクネ菌が増殖し、ニキビが発生してしまうのです。
▼さらに詳しい解説はこちら
思春期ニキビの原因とは?皮脂と生活習慣を整えて、美肌作りを
20代以降にできるものを吹き出物と
20代以降になると、成長ホルモンによる皮脂分泌が減るため、ニキビはできにくくなります。しかし、生活習慣の乱れや外部からのストレスなど、多岐に渡った原因により肌の代謝が乱れるなどが原因となり、今度は吹き出物と呼ばれる皮膚疾患が発生します。
吹き出物は大人ニキビとも呼ばれている
10代の思春期ニキビは皮脂の過剰分泌によるニキビです。対して20代から始まる吹き出物の発生は、肌の代謝が上手く行えなくなるターンオーバーの異常などによる乾燥によって、毛穴周辺の角質が固まり、炎症が起こることが原因です。よって、ニキビ発生と吹き出物発生のメカニズムは同じでも、原因が異なることから、大人ニキビとも呼ばれています。
▼さらに詳しい解説はこちら
「大人ニキビの治し方」原因を突き止めてトラブル知らずの肌になる

ニキビと吹き出物の特徴と違い
ニキビはTゾーンにできやすい
思春期ニキビは、特に皮脂腺の数が頬の7倍とも言われている、おでこや眉の間、鼻の頭などのTゾーンによく発生する傾向にあります。皮脂腺が多いということは、皮脂の分泌も増えることにつながり、毛穴の皮脂詰まりを起こしやすくします。皮脂詰まりはアクネ菌の増殖を促すためニキビの原因となります。
吹き出物はフェイスラインにできやすい
吹き出物は、口周りやあごなどのフェイスラインを中心に繰り返し発生しやすい傾向にあります。この部分は皮脂腺が少なく、乾燥しやすいことから皮膚の角質層が厚く固まってしまうため、吹き出物の原因である毛穴の詰まりを引き起こしやすくさせます。スキンケアで肌のターンオーバーを促したり、保湿を心がけないと、なかなか改善されない傾向にあります。
ニキビは成長期が終わると自然に治る
成長期が終るにつれてホルモンバランスが整い、ニキビの原因となる皮脂の分泌は徐々に抑えられていきます。よって、成長期が終わるとニキビも自然と発生しにくくなるといえます。
吹き出物は悪化しやすく長引きやすい
吹き出物は、思春期ニキビとは異なり、様々な原因が重なって発生します。そのため、症状に合った改善方法を見つけるのに時間が掛かり、適切なケアが行えないなどが原因で悪循環に陥るなど、悪化しやすく長引きやすくなる傾向にあります。
特に皮脂の過剰分泌や、ストレス、生活習慣などが関係するため、治すには原因を一つずつ見つけて改善に努める必要があります。

ニキビと吹き出物の原因
ニキビは成長ホルモンの活発化
思春期と呼ばれる第二次性徴期は、成長ホルモンが活発に働きます。成長ホルモンの活性化は、男性ホルモンの分泌量を急激に促すことにも繋がります。男性ホルモンの働きかけは皮脂腺を刺激し、皮脂を過剰に分泌させます。それらは毛穴の皮脂詰まりを起こし、ニキビの原因であるアクネ菌の増殖を促します。
吹き出物はホルモンバランスの乱れ
生理周期によって吹き出物が発生しやすくなる時期がある、と感じる女性は多いと思います。それはホルモンバランスの乱れによるものです。
また、同じ場所に吹き出物ができるなどの原因は、ストレスや生活習慣によって自律神経が乱れるとともにホルモンバランスも崩れ、肌のターンオーバーのサイクルが正常に働かなくなってしまうためです。改善には自律神経を整えるための治療が必要です。
▼さらに詳しい解説はこちら
エストロゲン・プロゲステロンのことを知って、女性ホルモンを整えよう
ニキビは皮脂の過剰分泌で毛穴が詰まる
ニキビのほとんどは皮脂の過剰分泌による角栓の毛穴詰まりが原因です。毛穴が詰まることでニキビの原因菌となるアクネ菌が増殖しやすくなります。皮脂の過剰分泌の原因としては、成長ホルモンによる男性ホルモンの活性化や、生理前などに乱れがちな黄体ホルモンによるものが挙げられます。改善には過剰な皮脂分泌を抑える治療が必要です。
吹き出物は乾燥による過角化で毛穴が詰まる
吹き出物は乾燥による角質の過角化によるものがほとんどいわれています。過角化とは、肌のターンオーバーに異常が起き、角質が厚くなってしまう現象をいいます。それらは皮脂や古い角質を落としにくくさせてしまう上、毛穴を塞ぎ、アクネ菌の増殖による吹き出物の発生を促します。改善には乾燥を防ぐための保湿を心掛けることが大切です。
紫外線による過角化
紫外線は肌にとってとても強い刺激があります。肌は紫外線を浴びるとバリア機能が働き角質を丈夫に厚くしようとします。紫外線から身を守るためには大切な肌の機能ですが、紫外線による活性酸素や皮脂汚れ、古い角質の蓄積に繋がるので、肌のターンオーバーが乱れがちになり、過角化の原因となってしまいます。予防には季節関係なく1年を通してUVケアを行う必要があります。
インナードライによる吹き出物
肌乾燥の中には、肌の内側の乾燥によって肌が危機を感じ、自ら皮脂を過剰分泌させてしまうインナードライという肌の乱れ方があります。実は乾燥肌なのに脂性肌だと思い込み、洗顔のし過ぎや、しっかり保湿を行わないなどが原因で発生する症状です。インナードライによる吹き出物を発生させないためにも、日頃からしっかり保湿を行いましょう。
吹き出物は原因が多岐にわたる
吹き出物の原因は多岐にわたります。食生活の偏り、睡眠不足、ストレスやPMSなどが挙げられ、それらはすべて自律神経の乱れに繋がります。自律神経が乱れると、ホルモンバランスも崩れてしまい、肌のターンオーバーを正常に行えなくなってしまいます。吹き出物を予防するためには、生活習慣の乱れを改善していく他に、ストレスやPMSに影響されない体づくりが必要となります。

ニキビと吹き出物の対処法
ニキビは汗をかいたらこまめに水洗顔
汗をかくことは新陳代謝が活性化させられ、肌のサイクルも整い、ニキビ改善に大変良いとされています。しかし、汗をかいた後のケアはとても大切です。汗にはニキビの大敵である皮脂が含まれています。
夏場におでこ付近、特に髪の生え際などにニキビができやすいのは汗をかいた際に出た皮脂が毛穴に詰まってしまい、アクネ菌の増殖が行われてしまったためです。
洗顔料での洗顔のし過ぎは肌の乾燥によるニキビの発生や、摩擦によって肌を傷めることに繋がるので、汗をかいた際にはこまめに水だけの洗顔を行うことが効果的です。シャワーなどの水圧も肌にとってダメージとなるので、手ですくった水で優しく洗うことを心がけましょう。
吹き出物は朝と夜1日2回の洗顔
顔から皮脂が出やすい人は一日に何度も洗顔を行いたくなってしまいますが、洗顔は多くても朝と夜の1日2回までが肌に1番良いとされています。
1日に2回以上行うと、皮脂の洗い流し過ぎで乾燥を招いたり、乾燥から肌を守るためのバリア機能が働きかけることから、皮脂の過剰な分泌を促してしまいます。
それらは表皮が厚くなる角化も起こしかねません。1日1回の説もありますが、吹き出物予防として肌を清潔に保ちつつ、適度な潤いも保つためには1日2回の洗顔が推奨されます。
ニキビは皮脂をコントロールする化粧水を使う
皮脂の過剰分泌によって発生するニキビには、皮脂をコントロールする化粧水を使いましょう。特にビタミンC誘導体を配合した化粧水には、皮脂の分泌を抑制する働きがあるため、ニキビ予防に効果的です。
また、皮脂が酸化することによって発生する活性酸素を除去してくれる抗酸化作用があり、炎症を抑制する力も働くため、すでに出来てしまったニキビの治療にも効果的といえます。
吹き出物は保湿成分入りの化粧水で乾燥を補う
肌の乾燥によって吹き出物ができやすくなった肌には、保湿成分入りの化粧水を使いましょう。保湿を目的として、クリームやオイルなどで肌に蓋をしてしまうスキンケア方法は、毛穴の皮脂詰まりを起こしてしまう可能性があり、吹き出物の発生に繋がる可能性があります。
肌質の改善を期待したいのであれば、肌の水分を逃さないように繋ぎ止めてくれる性質を持ったセラミドやヒアルロン酸を配合した化粧水で肌の水分量を高めていくスキンケア法が効果的です。

ニキビと吹き出物の皮膚科治療
ニキビには皮脂分泌を抑制する内服薬
ニキビの原因となる過剰な皮脂分泌を抑えるには、内服薬の投与も有効です。そこで注目されているのがマーベロンです。マーベロンには、皮脂分泌を活発にさせるホルモンを抑制してくれるテストテロンという成分が含まれています。
服用して1週間程度は、突然のホルモン環境の変化により逆にニキビの症状が悪化する場合がありますが、3週間程度服用を続けていくとニキビ軽減の効果が現れてきます。ドラッグストアなどでは売っていないので、病院にて処方してもらうようにしましょう。
吹き出物には男性ホルモンを抑制する内服薬
生活習慣の乱れやストレスなどによる肌の代謝不良、自律神経の乱れによるホルモンバランスの崩れが影響する吹き出物にも、内服薬の投与によって改善が期待されます。内服薬の1つとして効果的なものに、低用量ピルが挙げられます。
低用量ピルには、皮脂の分泌を促してしまう、男性ホルモンを抑制させる効果があるといわれています。ホルモンバランスを妊娠している時と同じ状態に保つことができるので、自律神経を整えることができます。またPMSなどのイライラも軽減させることができるため、心因的なストレスによる吹き出物にも効果的といえます。
ニキビには殺菌と皮脂を抑える外用薬
ニキビの原因となるアクネ菌や、皮脂を抑える外用薬として、イオウカンフルローションというものがあります。名前の通り、「イオウ(硫黄)」と「カンフル」が配合されたローションです。
硫黄には、固まってしまった角質を柔らかくさせる効果があります。角質軟化によって毛穴の皮脂詰まりや角栓の除去が行いやすくなる上、持ち合わせた殺菌作用からアクネ菌の増殖を防ぐことができます。
カンフルは楠から抽出された成分のことを指し、炎症の鎮静に効果があります。硫黄の粉末が沈殿しているため、使用する際に肌に白い粉が残ってしまうことがあります。肌に影響がないのですが、出かける前の朝などは、白い粉を残さないよう上澄みの液を塗り、就寝前の夜は上下によく振って混ぜたものを肌に塗ると良いとされています。
吹き出物にはピーリング効果のある外用薬
吹き出物には、古い角質を除去し、肌のターンオーバーを手助けしてくれるピーリング作用のある外用薬が効果的です。その中でもディフェリンゲルというゲル状の外用薬は、アダパレンという成分が主成分となっています。
アダパレンは古い角質を剥がれやすくしてくれる作用があるので、肌のターンオーバーのサイクルを正常化させるのに効果的です。使い初めの1か月程度は、肌にヒリつきなどが見られる場合がありますが、使い続けることで吹き出物改善の効果が現れます。

それぞれの特徴に合ったケアを実践しよう
ニキビや吹き出物は、それぞれの原因や特徴に合わせ、日頃のスキンケアや生活習慣を見直したり、ストレス軽減に努めることができれば改善が見込めます。日々忙しい生活を送っているとなかなか改善に至りにくい場合もありますが、そういった時には自身の症状に合わせて内服薬や外用薬を使用してみるのも良いでしょう。