目次
唇の特徴
口の中の粘膜が外に出た部分
唇という器官は、哺乳類にのみ備わっている器官です。その中でも人の唇というのは、粘膜が外に露出し分厚くなっているという特徴があります。この部分は薄い皮に覆われており、血流が透けて見えるため赤く見えるのです。
分厚い皮膚に守られていない
人間の唇は薄い皮一枚でしか守られていません。通常の皮膚というのは、厚い皮膚、角質層に守られており、皮脂に覆われています。この皮脂が皮膚中の水分の蒸発を防いでくれるので肌は潤いを保つことができています。
しかし、唇にはこのような厚い皮膚は無いため、バリア機能が効かず皮脂腺や汗腺も存在しません。そのため、水分が蒸発しやすく潤いが保たれにくいという特徴があります。唇は非常に敏感でデリケートな部位なのです。
刺激を受けやすい
唇には、皮脂膜や角質層が無いため外部の刺激に非常に弱く、バリア機能が他の部分に比べて低いという特徴があります。そのため、紫外線や花粉といった外部刺激をとても受けやすいのです。
また、唇は水分が蒸発しやすい構造であるため、乾燥しやすく、更に外部からの刺激に弱くなってしまうのです。唇は他の皮膚よりもとても繊細な部分と言えます。
トラブルの多い箇所
唇は他の皮膚に比べてとてもトラブルが出やすい場所です。皮脂腺や角質層がほとんど無いため、水分が蒸発しやすく乾燥状態になり易いのも一つの理由です。
その他にも、唇は紫外線の影響をとても受けやすいため荒れたり、腫れることもあります。また、体調不良や栄養失調による身体の異変に、唇は敏感に反応します。
そんな唇のトラブルの中でも一番多いのは「かゆみ」。ティッシュで擦っただけで、かゆみが発生するという方もいらっしゃいます。それほどまでに唇は敏感で荒れやすい部位なのです。
唇がかゆくなる原因
水分不足でおこる乾燥
かゆみの原因として最も多いのは、水分不足によって起こる乾燥です。唇の乾燥は、水分補給が少ないせいで起こり、かゆみが発生する割合は女性の方が多いです。また、よくある癖として多いのですが、「唇を舐める」という行為もかゆみを発生させる原因です。
唇を頻繁に舐めてしまうと、水分が蒸発してしまい唇の水分をどんどん奪ってしまいます。さらに唇を舐めると、水分だけでなく「油脂」も舐めとってしまい、乾燥を悪化させその結果、かゆみを引き起こしてしまうのです。
唇が腫れる口唇ヘルペス
「ヘルペス」とは、小さい水膨れが集まって出来た急性炎症性皮膚疾患のことを言います。そしてその水泡が唇にできた場合を「口唇ヘルペス」と言います。
口唇ヘルペスを引き起こす原因
口唇ヘルペスを引き起こすのは、「単純ヘルペスウイルス1型」というウイルスが原因です。ウイルスを持っている人と接触したり、ウイルスが付着したものを触ることで感染します。単純ヘルペスウイルス1型に免疫がないことや抵抗力が落ちていると感染する確率が途端に上がります。
口唇ヘルペスの特徴
口唇ヘルペスの特徴は、感染して免疫が出来ていたとしても再発を繰り返すことです。その理由としては、一度感染してしまうと神経細胞の中に隠れ潜んでしまう「潜伏感染」のウイルスだからです。
ウイルスが潜伏している間は、口唇ヘルペスの症状が出ることはありません。しかし、体調を崩したり、疲労やストレス等で免疫や身体が弱っていると神経細胞から出てきて暴れ出すのです。
かゆみが生じる口唇炎
口唇炎とは、口の周りや唇に発生する皮膚炎や発疹などの症状のことを言います。口唇炎は主に身体が弱っているときに発症しやすく、場合によっては赤く腫れあがったり、出血を伴うこともあります。口唇炎にはいくつかの種類があり、アトピー性口唇炎、接触性口唇炎、剥離性口唇炎などがあります。
口唇炎の原因
口唇炎を発症する原因にはいくつかありますが、多くの場合はアトピー性口唇炎と接触性口唇炎です。アトピー性口唇炎の場合は、乾燥や亀裂、皮がめくれるなどの症状が表れ、非常に乾燥し、色素沈着を起こす可能性もあります。
接触性口唇炎は、口紅、化粧品、洗顔料、歯磨き粉などが唇に接触することで発症します。主な症状としては、唇が赤く腫れあがり、水泡や湿疹、かさぶたが出来てしまいます。
唇をケアするときのポイント
唇を舐めてはいけない
唇を舐めてしまうと、乾燥する原因になってしまいます。唾液には唇を乾かす消化酵素が含まれており、水分がどんどん蒸発してしまうのです。また、唇を舐めてしまうと唇を守っている油脂までもを舐めとってしまうのでさらに乾燥しやすくなってしまうのです。唇はできるだけ舐めないようにしましょう。
早く直すには胃腸を整える
唇の荒れは胃腸の荒れと関係していると言われています。特に東洋医学では、唇は胃腸と関係が深いと考えられており、唇がカサカサに乾燥したり切れてしまうのは胃が疲れてしまっているサインと言われています。また、栄養バランスやストレスなども強く関係しています。
ストレスによって胃が荒れて唇が乾いて、どんどん荒れてしまうのです。そのため、唇の不調を早く治すためには、胃腸の調子を整える必要があります。バランスの良い食事をきちんと摂り、ストレスを適度に発散して身体のバランスを整えましょう。
放置したら跡が残る場合も
唇の荒れや口唇炎を放っておくと、色素沈着を起こしたり、酷い場合は跡が残ってしまうことがあります。唇は皮膚が薄いため新陳代謝が良く、傷を負っても比較的早く治すことができます。
しかし、慢性的に荒れや乾燥が起こっているときちんと治すことができずに傷となって残ってしまうのです。唇の傷は放っておかずに早い段階で治すようにしましょう。
リップクリームは症状が悪化することもある
リップクリームはどれもが効果があり、唇の荒れに効くというものではありません。唇もれっきとした皮膚ですので、商品によっては合わないものももちろんあります。合わないリップクリームを使い続けていると唇はどんどん荒れてしまいます。
リップクリームには香りのよい物や色付きでおしゃれなものなど沢山の商品が出ていますが、商品によっては唇の保護をしてくれるどころか、唇の水分量を増やすことが出来ず、湿気が入るのを防いでしまうものがあります。そういったものを使い続けっると、症状が悪化することも…
また、メンソールやミント系の商品は乾燥を防がず、逆に唇の傷を刺激し症状を悪化させてしまいます。自分の唇に合った商品をしっかりと見極め使いましょう。
徹底的に保湿する
唇の荒れ、乾燥を治すには日々の保湿はもちろん大切ですが、徹底的に保湿するために「スペシャルリップケア」を取り入れるのもおすすめです。
スペシャルリップケアとは、週に1,2回行う唇のケアのことで日々の保湿とは違い、はちみつなどを使ってパックするケアのことです。これを取り入れることで、荒れや乾燥を集中的に治すことができ、徹底的に保湿できるのでとても効果的です。
ビタミンb群を摂取する
ビタミンB群が不足すると、唇の健康に支障が出てしまいます。特にビタミンB2とビタミンB6はとても大切な栄養素です。
ビタミンB2
ビタミンB2には、細胞の発育を助け、粘膜や皮膚の健康を維持する働きがあります。唇だけでなく、肌の変更にも必要な栄養素なのです。ビタミンB2が不足してしまうと、肌荒れはもちろんのこと、口角炎や口内炎を引き起こす原因となります。乾燥予防に欠かせないビタミンなので積極的に摂るようにしましょう。
ビタミンB2が多く含まれている食品は、レバーや鮭、うなぎ、卵、納豆などです。唇があれている場合は、できるだけ毎日とるようにしましょう。
ビタミンB6
ビタミンB6は皮膚の抵抗力を高めるのに欠かせない栄養素です。免疫機能を正常に維持し、こちらも粘膜や皮膚の健康を保ってくれます。さらに、脂質の代謝をサポートし、肝臓に脂肪を付きにくくするという嬉しい効能もあります。
抗生物質を長期間服用している方や月経前症候群がある方は不足しやすいビタミンと言われているので積極的に摂るようにしましょう。ビタミンB6が含まれている食品は、にんにくやマグロ、レバー、かつおや鶏ささみです。
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たっぷり保湿リップ。乾燥に負けない、うるうるな唇手に入れよう
スペシャルリップケアの方法
蒸しタオルを唇に当てる
スペシャルリップケアに「蒸しタオル」は欠かせません熱々じゃない人肌程度の蒸しタオルを作り、唇に乗せたら、そのまま数分程度おきます。
蒸しタオルを使用することで、荒れていた唇の皮が柔らかくなります。この上からさらにケアをすることで、唇に効率よく効能を届けることができるのです。
はちみつとワセリンをつける
唇のスペシャルリップケアには「はちみつ」と「ワセリン」が必須です。ワセリンはできるだけ純度の高いものを用意しましょう。ワセリンとはちみつを同量器に入れ、混ぜ合わせます。良く混ざったら唇にたっぷりと乗せ、伸ばします。
唇にラップでフタをする
ワセリンとはちみつを混ぜ合わせたものをたっぷりと唇にのばしたら、唇を覆えるサイズに切ったラップでパックします。パックしたら5分~10分程度置いてください。
ラップを外して優しく拭く
時間が経ったら、ラップを外して優しく拭き取ります。このとき、絶対に擦ったり強くゴシゴシととったりしてはいけません。せっかくのパックが無駄になってしまいます。優しく、擦らず、ポンポンと拭き取りましょう。これでスペシャルリップケアの完了です。週に1回程度行うのが最適です。
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唇ケアはこれでバッチリ。荒れを治して健康的なプルプル唇を目指そう
腸内環境の整え方
ストレスを溜めない
腸内環境の悪化は唇の炎症に大きく関係しています。唇を治すためにも、腸内環境を改善するのはとても大切です。腸内環境を悪化させる原因として多いのが「ストレス」です。
ストレスは、自律神経に影響し、善玉菌がひっることで腸内環境を悪化させてしまいます。結果として便通を悪くさせ、老廃物を身体に溜めてしまうことも。体内に老廃物が溜まってしまうと肌荒れが起き、ニキビなどが発生する原因になります。その肌荒れは唇にまで影響し、乾燥や荒れを悪化させてしまうのです。
ストレスを取り除くためには心身ともにリラックスすることが大切。効果があるものとしては、アロマテラピーなどがおすすめです。香りにもよりますがアロマテラピーには心を鎮める効果があり、ゆったりとした気分になれます。心がゆったりとすれば自然と身体の緊張もほぐれていき、ストレスが解消していくはずです。
脂っこいものは食べない
腸内環境の悪化は、善玉菌が減り悪玉菌が増えてしまうことで起こります。腸内環境を改善するためにはこの悪玉菌を減らさないといけません。しかし、食事によっては悪玉菌が好むものがあり、逆に腸内環境を悪化させているかもしれません。
油で揚げたものやスナック菓子、特に「トランス脂肪酸」というマーガリンやショートニングなどにたっぷり含まれている油で作られた食品は要注意です。悪玉菌を異常に増殖させる恐れがあります。身体にも良くないので、これらの食品はできるだけ摂らないようにしましょう。
口唇ヘルペスと口唇炎の対処法
薬用クリームを塗る
口唇ヘルペスの場合
口唇ヘルペスになってしまった場合は、医療機関を受診し「抗ヘルペスウイルス薬」を処方してもらう必要があります。これには、「アシクロビル」という有効成分が配合されており、ヘルペスウイルスの遺伝子そのものに働きかけて増殖を抑えます。
口唇炎の場合
口唇炎になった場合は、医療機関を受診し原因をはっきりさせた後、ワセリンなどの保湿剤が処方されます。口唇炎は触らずにそっとしておけば大抵の場合は治るので、処方は保湿剤のみの場合も多くあります。
症状が重い場合は内服薬
口唇ヘルペスの場合は、症状が酷く痛みがあると鎮静剤が処方されます。また、抗ヘルペスウイルス薬は内服薬もあるので、あまりに症状が進んでいる場合はこちらも処方されます。きちんと薬を飲めば口唇ヘルペスは治るのでしっかりと処方に従いましょう。
口唇炎の場合は、かゆみが酷い時に抗ヒスタミンなどの内服薬が処方されます。さらに、症状が悪化してしまっているときには、副腎皮質ステロイド剤なども処方され治療が進みます。口唇炎もきちんと処方通りに薬を飲めば治るので処方に従いましょう。
早めに皮膚科に行く
口唇ヘルペスと口唇炎は、素人には見極めが難しい場合があります。自己判断で治そうとするのは危険ですので、医療機関を受診し医師に診断してもらいましょう。
医師は問診と視診で口唇炎は口唇ヘルペスかの判断をします。口唇ヘルペスの場合は、ウイルスの抗体を持っているか調べるために血液検査を行う場合もあります。くれぐれも自分で判断しようとはせず、唇の異変を感じたらすぐに皮膚科を受診しましょう。
肌のかゆみは早めに対処法しよう
唇のかゆみは放っておくと悪化し、傷跡が残ってしまうこともあります。かゆみを覚えたら、出来るだけ触れずに早めに皮膚科を受診しましょう。
早めに受診すれば、早期に治療ができ傷跡ができるほど悪化することもありません。ただ荒れているだけと軽視しないで異変を感じたらきちんと治療をしましょう。ケアをしっかりとすることで、綺麗な潤いのある唇が手に入りますよ。